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猫と蝙蝠

会話多めで話が進まんかった…


「小夜ナイスだニャ!最後の魔術すごかったにゃ!」

「ありがと。ミーニャも凄かった。」


 いえーい!という感じでお互いに両手を叩く。ただそんな和やかな空気は二秒と続かない。


「おい!なんの騒ぎだ!」


 そう叫びながら現れたのは数人の鎧を着た連中だ。騎士とか兵士とかそんなところかな?結構派手にやってたし通報されたとかそんなとこだろう。こいつらのことはこの人たちに任せることにしよう。


「これは...お前らがやったのか?」


 私たちの周りに転がっている人たちを見て兵士らしき人達が質問する。


 まぁそうなるよね…私たち二人がたっていて周りには沢山の人が倒れている。うん。どう考えても私たちが犯人だね。捕まえてもらうって話どころじゃねぇ、とりあえず弁明しなきゃ。


「いや、その…正当防衛というか…私たちが絡まれて…それで…」

「なるほど。つまりお前たちがこいつらをやったわけだな。」

「は、はい…」

「よし。証言は取れたね。一緒に来てもらおうか。」


 なんでだよ!!確かにやったのは私たちだけどさ?返り討ちだよ?私たち1ミリも悪くないじゃんか!

というかこいつらの顔がなにかキモイ。薄笑っていてなんだかこちらを見る目が気持ち悪い。

話が通じないなこのポンコツ衛兵!あ、腕をつかむな!気持ち悪い!


「女の子の手を乱暴につかむもんじゃにゃいにゃ」

「なんだお前?」


 強引に連れて行こうとした衛兵?の腕をミーニャが止める。衛兵?は怪訝な顔をしつつ腕を振り払おうと力を入れる。

 自分が力を入れているのに振りほどけない腕をみて怪訝な顔はだんだんと力強くなっていき、最終的には口角をありえないくらい上げて力んでいた。見事な顔芸だね。


「このっ!離せ!」

「あ~ごめんにゃ。ついつい…」

「お兄さんも腕つかまれるの嫌だったよね?じゃぁその腕離したら?」


 少し低い声でにらむミーニャ。その目つき少しおびえたのか私の腕をつかんでいた衛兵は手を放し一歩後ろへと下がる。


「糞…なめた真似を...」

「まぁまぁ怒るにゃや。周りをヨークみまわしてみにゃ?怒りに任せて拳を振るえば大変なことににゃるにゃよ?」


 私達が騒がしくしたせいで衛兵を呼ばれてしまった。ただそれと同時に何があったのかと見に来る野次馬もたくさんやって来ていた。

 そんな中で衛兵が市民に拳をふるえば如何なるかぐらいは異世界人でもわかるくらい明白だ。


「ッチ、お前らこいつらを運ぶぞ。」


そう言いながら衛兵達はこの場を離れていった。


とりあえずこの場はなんとかなったね。一難去ってまた一難。楽には行かないねー。


「ミーニャありがと。」

「お安い御用にゃ!」


それにしてもなんだか騒がしいな。そんなに衛兵がどっかに行ったのが珍しいか?それにしては何か違う気がする。

 まわりの目は珍しい物を見る目じゃなくてもっと何か別に感情を持った目だ。....例えば憎悪とか妬みか。



「なぁアレ『盗猫』じゃね?」

「マジじゃん。あの隣の子仲間かな?」

「『盗猫』のパーティーメンバーとかやばいやつじゃん絶対。


 そうはっきり聞こえた。『盗猫』ってなんのことだろうか?それに段々とこっちを見る目が冷めて厳しい物へと変わっていく...一体何なんだ?



「小夜ごめんね。」

「え?」

 ふと耳元でそうつぶやかれた気がした。隣を見ればさっきまでいたミーニャの姿はなく同時に私の腰に着けていたポーチもなくなっていた。落とした?そう周りを見渡すと私のポーチを持ったミーニャが2M先ほどで立っていた。


「あ、拾ってくれてありが…」

「こいつはもらってくにゃ。馬鹿な小夜ちゃん。」

「え?」


 突然だった。


「何を言ってる…の?」

「強いから期待したのにいざパーティーにしてみれば厄介ごとには巻き込まれるし…さんざんにゃ。」

「だからこれは迷惑料ってことでもらってくにゃ。せいぜい私みたいなダメな冒険者に騙されないようにするんだにゃ。じゃぁにゃ!」



 「災難だったな嬢ちゃん『盗猫』に騙されるなんて。」

「『盗猫』?…なんですかそれ?」

「あの獣人の異名だよ。ミーニャだっけか?あいつはダンジョンを丸々盗んだのさ。」


 ダンジョンをまるまる?そんな馬鹿な事ある?ダンジョンってあのダンジョンだよね?どうやって盗んだの?扉とかそういう話かな?


「盗むっていっても…ダンジョンは建物ですよ。…とれるわけないです…」

「あぁそういう意味じゃないよ。あいつはダンジョンがある場所を秘匿しているんだ。俺たちからね。」


 ダンジョンの場所を隠してるってことか。まぁそりゃそうか…でも


「なんで?」

「なんでって…俺らにはわからないさ。まぁ一つ言えることはあいつは碌な奴じゃない。かかわるのはやめときな。嬢ちゃんだって痛い目見たでしょ。」


「おじさんたちはミーニャの知り合い?」

「ん?知り合いではないよ。」

「そう…ありがと」

 

ひとまずこの場を去りつつミーニャについて思考を凝らす。

 

 なんでこのタイミングで急に裏切るムーブをした?それもわざわざ人がたくさんいるところで堂々と。こういうことをやるなら普通は人のいないところを選ぶはずだ。なのになぜ?人に見られてほしかった?なぜ?私が被害にあってるかわいそうな奴に見せたかった?自分とは関係ないとアピールしたかった。きっとそうだ、そうに決まってる。


 本当にやるならあのタイミングじゃなくていいはずだ。それに盗られたポーチには今回の依頼書しか入っていない。それはミーニャだってしっている。それなのにわざわざあれをとる必要なんてないんだ!


 場所もよくわかってない街を必死に走り回る。普段はやらない精霊の目の常時使用を行う。

 一歩踏み出すたび頭が痛い。情報が頭をひしめいて今にも爆発しそうだ。それでもこれがないと探せない。がむしゃらに走って走って、日が暮れたころようやくその名前が頭をよぎる。


「ミーニャ!!」

「小夜?にゃんで...」

「なんでってそりゃどっか行っちゃうし…追いかけた。それだけだよ。ほら?帰ろ?」


 そう私が話すとありえないものを見るような目でミーニャが睨んできた。


「小夜は騙されたにゃよ!?騙されてものを盗られて…それなのにもしかしてそれすらきづかにゃい大馬鹿者なのかにゃ!?」


「いや違うね。ミーニャは私を騙してなんかない。私は違うって信じてるよ。根拠は...ないけどね。ミーニャが『盗猫』と呼ばれようが私は気にしないよ。」


「誰かから聞いたのかにゃ…ならなおさらなんで追っかけてきたにゃ。みゃーと一緒にいたら小夜が不幸になるにゃ。だから離れるにゃ。」


「別に不幸になんてならないよ?ミーニャ以外の他人に何を言われようが私は気にしないし。別に王都を出てほかで活動するってのも最悪良いよ?私がもといた町だってあるしね。」


「なんでそこまで…にゃーと小夜が出会ってまだ二日しかたってないにゃよ?それなのにどうしてそこまで信頼できるの?」

「20日くらいのうち二日だよ?十分の一だよ?それはたったじゃ済ませられないよ。」

「20日?何をいってるにゃ?…」


 何を言っているか全くわからない様子でミーニャが首をかしげる。

 

「この世界で生きた日数だよ。私はこの世界で生まれたわけじゃない。別の世界からやってきたんだ。」

「別の世界…なにをいってるにゃ?」

「こっちに来て私は一人で、何もかもわからなくて怖くて、それでも頑張って生きて、戦って一人で頑張ってきた。怖くて泣きたくて逃げだしたくて、それでもテンションを上げて自分をごまかしてここまできた。」

 「途中でたくさんの人と出会ったけどずーっと別れる一方だった。いつも対等じゃない。いつも隣にいてくれるわけじゃない。結局最後は私一人だった。でもミーニャと出会ってパーティーを組んで…少しだけど一人じゃなくなった。それにミーニャとは対等だ。そんな人が自分のために自ら私の元を離れようとしてる。」

「ミーニャがいたら私が不幸になる?私が白い目で見られる?そんなんどうでもいいよ!私にとって他人の目なんかどうでもいいし、冒険者にどうみられようがどうでもいい。一緒にいてくれもしない、対等ですらない赤の他人なんかより隣にいてくれたミーニャのほうが大事なんだよ!」


 絶句。ミーニャの顔はそれ以外の表現がないほど驚いていた。たった2日の関係だ。それなのにここまで言う。そんな小夜に心底驚愕している。


「そこまで言うにゃらみゃーのやったことはあまりにも馬鹿らしいにゃ…」

「そうだよ。だからそんな馬鹿な事やめてまた一緒に。」

「…そうにゃね。今度こそよろしくにゃ小夜。」

「よろしくねミーニャ。」

 


 

もしこの作品が恋愛物なら小夜ちゃんはヤンデレヒロインです。

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