王都への旅路
王都のたびに出てから1週間がたった。馬車の揺れで痛かったおしりも今はすっかり慣れていたくない…ってなったらよかったけど馬車の揺れはいまだになれない…痛いよおしり…
この一週間でいろいろなことが分かった。まずワイロさんたちのことだ。ワイロさんたちは宝石やアクセサリー、日用品などを主に扱う商人で、主に王都で活動しているそうだ。馬車にいる間、色々なことを話したのだが案外気さくな人らしい。この世界も常識を色々教えてくれた。
話してみると意外といい人だったな。やっぱり名前なんて関係ないね!ちなみに私は普段積み荷がある馬車の後ろあたりに座っている。常にあたりを見渡しちょっとの魔力も見逃さない厳重警備だ!まぁ魔物が襲ってきたことないけどね今のところ。
このままあと三日ぐらい?平和に進めるといいねー。ん?馬車が止まったな。それになんか騒がしくない?魔力の反応はないけど…何かあったのかな?
「あの...ワイロさん、どうしたんですか?」
「あぁ。なぜか馬の脚が止まってな。周囲を確認してくれない?魔物が潜んでいるのかもしれないね。」
魔物ねぇ…少し集中して魔力の探知をするか。ローラさんと契約してから感覚として把握できる魔力の範囲がひろまったからね。魔力を感じることに集中すればもっと遠くまで探知できるはず。
うーん...魔物みたいな魔力を持っている生き物は周囲にいないっぽいけどなぁ。もしかして地面とか?それとも空?…予想的中先の空に数匹大きな魔力の反応がある。この距離なら肉眼でも見えるんじゃないか?
「前方の上空になにかいるみたいです。」
「空?…な!?あれは...ワイバーンの群れか!?ここらへんでは出ないはずなのに...」
「ワイバーン?そんな魔物がいるんですね。倒してきましょうか?」
「何馬鹿な事言っているんだ!ワイバーンはDランクの魔物だ。それも群れとなるとCランクに匹敵する!小夜殿では危険だ。それに幸いワイバーンたちは別の馬車を襲っているらしい。私たちは巻き込まれないように後ろへ下がろう。」
別の馬車を襲ってる?ほんとだ!ワイバーンの下に高そうな馬車がある。護衛っぽい服装の人とワイバーンが戦ってるな。見たところ空飛ぶワイバーンに手も足も出ないってところか。危ないね。
「私!助けに行ってきます。」
「だめだ。危険すぎる、私たちは下がって様子を見るべきだ。気の毒だけどね。」
下がるって…見捨てるってこと!?そんなの私にはできない!私だけでも助けに行かなくちゃ!
そう考えると同時に私の体は襲われている馬車へと動いていた。ワイロさんの静止が聞こえたが無視だ。依頼より人の命が大切だ。
あ、まずいな。護衛の人に致命傷が入った。このままだと間に合わない。気をそらさなくちゃ!
私は上空に向けて闇魔法を放つ。魔力に気が付いたのか、ワイバーンたちはこちらに向かってくる。
「ドラゴンもどき!襲うならこっちにしなさい!」
さぁ先手必勝。最初から全力だ!
魔力を足元に集中して物質化する。それを足場にして空中へ進んでいく。ローラさんと契約してから魔力の操作が確実に向上している。古いリモコンから最新のコントローラに変わった感覚だ。前より早くより正確に魔力を操れる。
因みにこの空中へ行く技を『空歩』と名付けてみた。なんかかっこいいじゃん?こういうのは気分が大切だからね!。
おっと、余計なことを考えすぎたな。今は戦闘中だ。
私が、人間が空を飛んでいる事に驚いているのかワイバーンが空中で固まっている。戦闘中に固まるなんて間抜けすぎるね!...(私もだけど。)
私に一番近かったワイバーンの首をナイフで切断する。さすがオーダーメイドの品。切れ味抜群だね。
仲間がやられて我に返ったのか残った数匹のワイバーンがこちらに向けて魔法を放ってきた。風魔法かな?ふっふっふ…そんな威力の低い魔法今の私には効かないんだよ!『吸魔』発動!
ガウスさんが打ってくれた短剣には三つのスキルが付与されている。一つは魔法伝達。剣に魔法やスキルなどを流し込み能力を発動できるスキルだ。二つ目は自動回復EX。耐久がたくさん回復するぞ!そして最後の三つめが吸魔。能力はシンプルに魔力を刀身に吸わせることができる。つまりこれを使えば相手の魔法を無効化できるのさ!さぁどんどん撃って私の糧となり あ、いたぁ!!
あれ?なんか吸魔で全然魔法吸えてない!全然食らってる。ダメなのこれ!?私の読解力の問題だった?せっかくかっこいい武器のお披露目だと思ったのに…恥かいちゃった。
えぇぇい!吸魔の恨み!こいつで死んじゃいな!精霊魔法『水霊の槍』!
魔力が水に、水が槍に。日の光に反射してキラキラと輝くいくつもの槍がワイバーンを襲う。何匹かは体をよじり、直撃は避けたようだが大半は魔法に突き刺され、静かに落下してきた。血で赤く染まった槍が地面に落ち、水たまりへと変わる。直撃を避けた個体も羽や尾に当たり、飛ぶのが難しくなったのか地面へ落ちてきた。
飛べないワイバーンなんてただのトカゲだね。ちょっと大きいけど…
翼竜についてるような小さな足だけでは素早く動けないのか、よろよろとこちらに向きながら風の魔法を放ってくる。今度は対応を間違わない。魔力を物質化し、盾にしながら前へと進んでいく。ワイバーンに近づく度襲ってくる魔法の量が増えるが盾を突破できる威力は無いようだ。手前の個体の首を切断し、残りの個体も作業のように首を落としていく。
自分より弱い個体と戦うとなんだか作業みたいだな。まぁ強いのと戦うのも御免だけどね。
『経験値が一定に達しました。個体名 小夜のレベルが15から16になりました。』
『各種ステータスが上昇しました。』
倒したワイバーンの素材どうしようか?魔石と牙だけ頂いてあとは焼いちゃっていいかな?まぁいいや全部収納しちゃえ!よしこれで一件落着…あ、忘れてた。襲われてた人大丈夫かな!?戦ってた人怪我してたし…
「あの…大丈夫ですか?その…ワイバーンは倒しましたけど…」
さっき私が来るまで戦ってた騎士みたいな人に声をかける。パット見た感じ深い傷はないみたいだしひとまず大丈夫そうかな?
「あぁすまない。私では空にいるやつらには無力でね。君はすごいな...ワイバーンの群れを一人で倒すなんて。さぞ名の通った戦士なんだろう。」
「あ、そんなこと…ないですよ。無事でよかったです...」
「クリス!無事か!?」
奥の馬車から何やら声とともに一人の青年が顔を出してきた。
金髪の髪に緑の瞳。とても高そうな服にアクセサリー。まるで乙女ゲームに出てくる攻略対象みたいなイケメンだ。実在したんだこんなイケメン。なんか心なしか光って見えるよ。うん。
「殿k、坊ちゃん!顔を出しては危険です!」
「いいであろう。護衛であるクリスが死んだらどのみち私だって死ぬさ。」
「そういう問題では…」
「そこの君。誰だか知らないが助かった。ありがと…
美しい...」
「君!名は何というのかね?その絹のように白い髪。ルビーのように赤い瞳。さぞ良い家に生まれたのだろう。姓は?なんという?」
「ひゃ!、あ、あの...その…」
ま、眩しい!こんな王子様みたいなイケメンに話しかけられるとか、普段でさえ緊張でまともに喋れないのに。こんなお息するだけでつらいって!もうむりぃおうち帰る!
「ごめんなひゃい!依頼中なので!!」
そういい切って全力でワイロさんの下に戻る。追ってこないでね!
「!?待ってくれ麗しい白の君よ!」
ひゃぁ!そんなきざなセリフを普通に使わないで!こっちが恥ずかしい!
「坊ちゃん。私たちも行きますよ。会談まで時間がないのです。」
「あぁ...そうだったな。...」
イケメン王子(?)一行は私たちの馬車とすれ違う形で去っていった。とりあえずいつもの平穏が私に訪れた..
「小夜殿?何か私達にいうべきでは?」
「あ…勝手に行ってしまってすみません。」
「そうだね。君は依頼の途中なんだ。今回はうまくいったからいいが、もし君がやられてしまったらどうするんだ?私たちの護衛は?冒険者たるもの受けた依頼を優先にするべきだ。たとえ人の命がかかっていたとしてもね。それがマナーだ。」
「すみません…」
「まぁ今回はうまくいったし良しとしましょう。次は気を付けてくださいね。」
「はい。」
冒険者の責任か…確かに私は勝手な行動をしすぎたな。私が死ぬなんて考えてもいなかったけど常に最悪を想定するべきだったね。さっきも吸魔で失敗したし。ちょっと強くなってから警戒心と慎重さが抜け落ちたね。気を引き締めていかないと。
「さぁ依頼主としての話はここまで。ここらは商人としての話をしましょう」
「君がさっき倒したワイバーンなんけど、私達に売ってくれないかい?」
ワイバーンの素材か…別に使わないから良いけど相場が分からないからなぁ‥変に値切られても嫌だし。どうしようか。なにか他の物と交換とかできないかな?武器とかポーションとか。アクセサリーとかもいいな。ワイロさんたちは宝石やアクセサリーも扱ってるて言ってたし交渉してみるか。いうだけ言ってダメだったら普通に売ればいいしね。
「わかりました。ただ…その…条件があります。お金じゃなくて物品と交換しませんか?」
「ぶつぶつ交換というわけですね。...いいでしょう。何が欲しいのですか?」
「たしかアクセサリーも取り扱っているという話でしたよね?…それを売ってくれませんか?」
「いいでしょう。こっちの積み荷にいくつかアクセサリーがおいてあります。気に入ったのがあったのなら、それと交換いたしましょう。ついてきてください」
「はい!」
「これが今あるアクセサリーですね。」
...すごいな。やっぱりどこの世界でも宝石はきれいだね。消しゴムくらいのサイズの宝石がついているブレスレットや何かわからない水色のきれいな宝石が入ったネックレス。それにこっちはダイヤかな?これは...魔石!?どれもきれいで素敵!地球にこんなアクセサリーがあったのならきっと一億はくだらないものだろうね。一体何カラットあるんだ?これ。
ワイロさんから提示されたアクセサリーについている宝石は、どれも地球では見たことのないサイズも大きな宝石ばかりだ。この中の一つをもらっていいだなんて…良い取引をしたもんだ。どれにしようかな♪
「気に入ったものはありましたか?」
「はい!どれも全部きれいでしたがこれが一番かわいかったので…これにしました!」
私が選んだのは髪留めだ。ほかのアクセサリーみたいに派手な宝石はついていないし、控え目なデザインだけどその分シンプルでかわいいデザインをしていてこれが一番私に似合いそうだ。ほかのやつはちょっと派手だったからね…
「魔水晶の髪留めですか。そのアクセサリーにはステータスを隠す効果があるのですよ。いい品を選びましたね。」
ステータスを隠す効果…偶然だけど私にピッタリな効果だ。
「ありがとうございます!大切にしますね!」
「いえいえ。取引ですので」
よーし!いい物ももらったし残りの三日くらい集中して護衛するぞ!!
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「あの女。美しかったな。それに強い。」
思い出すだけでそそるな。あの髪、あの白い肌。まさに絶世の美女だった。
「ほしいな。実にほしい。あの女のすべてが。強者が泣きじゃくり喘ぐ姿が!美女が私にひざまずき飼い猫のように甘える姿が!あぁ!考えただけで興奮する。最高の気分だ。」
王都にもどったら兵をあげて探すとしよう。私はほしいものはすべて手に入れる。金も地位も王座も女も。すべてだ。




