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E1:ダンジョン

「「ダンジョンの探索依頼?」」



 

 俺達はダンジョンの攻略者が出たという話を聞きそのクリア者を仲間に、あるいはダンジョンで手に入れた物を譲って貰うためにこのリチュアの街へ留まっていた。


 しかし攻略されてから3日もたっていると言うのに一向に攻略者がダンジョンから帰ってくる気配がない。

 ダンジョンとは入り口と出口が必ず固定されている為攻略者がひと目で分かるのだ。それなのに3日もいないとなるとクリアと同時に命を落とした…?それともこっそり抜け出した?後者だとしたらあまりにも怪しすぎる。俺から力を奪っておいてあまつさえ逃げるなんて‥絶対に

 

「おいお前ら!ギルドから俺達に依頼が来たぞ。」


「依頼?俺たちにいったい何の。」


 さっきまで暇を持て余していた太一がガイアさんの話題に食いつく。


「あぁ。聞いて驚け?今回俺達が依頼されたのはダンジョン攻略者の捜索だ。」


 ダンジョン攻略者の捜索依頼。今の俺達にとって最高の依頼じゃないか。運がいいな。


「探索ってもしかしてダンジョン内の?それだったらやめたほうがいいんじゃない?」

 そう異議を唱えたのは委員長だった。

 

「なんでだ香澄?俺たちの目標はダンジョン攻略者にあって話をすることだろ?それなら探しに行ったほうがいいじゃねぇか。」


「簡単な話よ。私たちが探索に行っている間に入れ違いになったらどうするのよ?それに帰ってこないということはおそらく死んでしまったということだと思うの。それなら出てくるまで待って出てこなかったらあきらめる。それが効率的じゃない?」


 確かに委員長の言っていることも一理あるな。ダンジョンから出てこないとは何らかの出れない理由があるか、あるいはもういないか。この二択だ。前者である可能性もあるが後者のほうが確率的に言えば高いだろう。だが、


「いやそれだと長期的にここにとどまることになるだろうし、もし中で死んでいた場合ダンジョンのクリア者に与えられるという遺物は闇に消えてしまうことになる。回収、または救助で行った方が成功した時の成果が大きい。」

「俺はダンジョンに行くべきだと思う。」


「竜が行くっていうんだろ?んじゃぁ俺も行くかな。ダンジョン行ってみたいし。」


「……そうだな。俺もクリア者や遺物が気になる。それに入れ違いが心配なら、ダンジョンの攻略者が地上に出てきたら呼び止めてもらうように俺のメンバーにつたえるからさ。安心して探索できるぜ?」


「ならいいですけど…」

 

「うし!決まりだな。じゃぁ各自準備をして一時間後にここに集合だ。」


「「「はい!」」」


 一時間後、身支度をした俺たちはガイアさんの案内の下ダンジョンの入り口に来ていた。


「へぇこれがダンジョンの入り口か。案外小さいな。」

 俺たちが向かうダンジョンの入り口は家の玄関サイズの小さな扉で周囲はギルドに厳重に管理されているようだ。ダンジョンの扉に入るための整理列や受付がある話だったが柵が周りを囲んでいて受付や冒険者の姿はなかった。まるで侵入が禁止されているようだ。

 

「ほらこっちだ坊主達。」


 ガイアさんが安っぽい扉を開けるとそこには何も見えない真っ暗な空間?が広がっていた。奈落とかそういう表現のほうが近いかもしれない。


「ガイアさんこれに入るんすか?」


 「あぁそうだ。安心しろ?入った瞬間死んじまうなんてことはねぇからよ。ほら俺の後に続け。早くしないと置いてくぞー」


 堂々と真っ黒空間に入っていったガイアさんを追いかけ慌てて俺、委員長、太一と扉へ入っていく。

しばらく真っ黒な空間だったがふとした瞬間目が痛いほどの光に覆われ気が付けば…

 あたり一面が花にまみれた花畑だった。


 「これが……ダンジョン... !」

 

「てっきりダンジョンなんだから遺跡や洞窟っぽいのを想像してたんだが……こんなきれいなところだとは思わなかったぜ。」


 まぁゲームにもある植物ステージって感じだ。二面とかによくありそう。そんな感想だ。


「お前等、見た目がほのぼのしてるからって気を抜くなよ。ここは正真正銘のダンジョンなんだ。気を抜いたら死ぬぞ」


「「はい!」」


 気を抜くなと言われても...という感じだな。死ぬほど戦いになることを想定してたんだが、全く魔物と出会うことがない。それだけでなく罠や宝等。ダンジョンらしいものが何一つない。ここは本当にダンジョンなのか?

この世界で人が住んでいない場所は足を踏み入れた瞬間大量の魔物に囲まれるような危険な世界なんだが、まさかダンジョンのほうが魔物がいないとは思わなかったな。ん?いまそこの花動かなかったか?俺の勇者眼に魔物の反応はないしただ風で揺れただけか?いやまて ここは室内。風なんて吹くはずがない。それなら太一が危ない!

 

「太一!後ろ!」


 振り向いて太一に注意するとちょうど何かが太一に攻撃を仕掛けているところだった。一足遅かったらしい。


「うわっ!」

 地面から急に蔦が出てきたかと思えばそのまま太一に向けて襲いかかった。


「何だこいつ!」


「太一落ち着け!竜は太一の蔦を切ってやれ」


「はい!」


 俺は急いで太一にかけより剣で蔦を切断した。意外と簡単に切れるな。


「キシャァァ!」

蔦を切ると痛かったのか地面から2Mくらいの大きな花が飛び出てきた。花の部分に口がついていて植物園版クリオネという感じだ。


「わりぃ竜助かった。にしてもこいつ急に現れやがって...」

 

「よし怪我はないな。嬢ちゃん!こいつの弱点は火だ炎魔法を!」


「赤は炎。燃え盛る炎はすべてを焼き尽くす現象。赤を解明し巨大な火で焼き尽くせ!『火球(ファイアーボール)』」


 委員長が発動した魔法がクリオネもどきに命中し爆ぜる。叫び声をあげながら体を振り回しやがて燃え尽きて消えてしまった。


「ナイス委員長!助かったぜ。」


「おい太一!油断するなって言っただろう?次は死ぬかもしれないんだからな?」


「わかってますってガイアさん。次は油断しないっすよ。」

 

 こっちに来て初めてのダンジョン戦闘。どうなることかと思ったがこの人達となら問題ないのかもしれない。俺はそう思いつつ仲間の後を追った。


一時間ほどダンジョン内を探索した俺たちはつぎの階層への扉を見つけた。階層の扉といってもそんなたいそうなものではなく枠組みが木製の普通の扉だ。入口もそうだしダンジョンの扉ってこれが普通なんだろう。そんなことを考えながら俺たちは次の階層へと足を踏み入れていた。


「石造りの壁。立ち阻む罠の数々。うんやっぱりこういうのがダンジョンだよな~。なぁ竜?お前もそう思うだろ?」


 次の階層は竜が言った通り物語やゲームで出てくるTHEダンジョンそのものな造りになっていた。


「まぁ俺からしてみればさっきのような罠のない階層のほうが楽だけどな。」


 そんなことを言いながら罠も解除や探索などをしてくれているのはガイアさんだ。


「ガイアさんっててっきり剣士なんだと思っていましたが斥候なんですね。」


「あぁ悪いか?」


「いえ、別に…そういうわけではないのですが冒険者のリーダーというと強くて頼りがいのある人物。的なイメージがあったので、後衛職がリーダーなのが驚いただけです。」


「竜や、言葉は柔らかいが言ってることはだいぶひどいからな⁉」 


「そうですよ竜君。いくらガイアさんがガサツであれっぽくていかにも剣士や格闘家ですよ~みたいな風貌なのに実際は忍者みたいな斥候だからって、言っていいことと悪いことがありますよ!」


「なぁ香澄嬢ちゃん?もしかしてわざとやってるそれ?」

 そんな和気藹々とした会話を続けながら歩いていると太一の足が突然止まった。


「ん?どうした太一?疲れたか?」


「いや、なんか身体が動かないっす!」


 確かに太一は片足を中途半端に上げたまま止まっているという不思議な格好をしていた。不思議に思ってよく観察してみると周囲には細い糸のようなものが張り巡らされていて、松明の光に反射してキラキラ光っている。

「こいつは…アプカーネの巣に踏み入れちまったらしいな。」


「あぷかーね?魔物の名前ですか?」


「あぁ。こいつは蜘蛛型の魔物でな、こうやってダンジョン内に巣を張ってかかった冒険者を食い殺しちまうのさ。そこそこ厄介な魔物だな。」


「食い殺すって!俺危ないじゃないっすか!早く助けてくださいよ!」


 太一が焦って手足をばたばた動かそうとしているががっちりと固定されているようでピクリとも動かない。太一が動いたことによる振動のせいかはわからないが糸の奥のほうから何かの生き物が近づいてくる。まぁ十中八九この巣の持ち主だろう。


「おい太一動くな!今助けてやるから。」

 

 少し焦ったようにガイアさんが太一の周りに松明で火をつける。まるで油が塗ってあったかのように一瞬で火が回り糸は焼け落ちていった。


「ちょっとガイアさん!熱いじゃないっすk」


「太一!落ち着け。今はそんな場合じゃない。お前ら戦闘態勢だ。どうやら俺たちは運が悪いらしい。こいつはただのアプカーネじゃねぇ。上位種バロンアプカーネだ!」


 暗闇の奥から出てきた魔物は体長が3メートルはある巨大なクモだった。

 

 

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