ひとやすみ
先の戦いから体感半日がたった今、進行状況はというとボス一人にさえ出会っていない。何故かって?それは私達が迷子だからさ。
「あの…ローラさん?さっきもここ通りましたよね?やっぱり迷ってませんか?」
『……おかしいですわ。こんな道は地図には無かったのですが‥』
『この場所が作り変わっているのかしら?ひとまずは歩き回って原因を探りましょう。』
その後暫く歩き回りわかった事がある。それはどの道を行っても何故か今いる大通りに戻ってしまうのだ。明らかに異常だ、何者かが意図的に私達を閉じ込めているとしか思えない。一体いつからだ?ここから早く抜け出さなくちゃ。
「ローラさん。こんな事が起こる事って頻繁に有るんですか?…それともこういう罠があったんですか!?それとも‥」
『小夜さん。焦らず一度落ち着きましょう。今の所同じところをグルグル回っているだけでこちらにダメージは有りません。それならこの機会に一度体を休めたりしましょう。体が持ちませんからね。』
「でも!‥分かりました。確かに焦っても仕方がないですね…」
確かに慌てすぎたと自分でも思う。というかなんでさっきあんなに取り乱したんだ?私そういうタイプじゃ無いんだけど。
なんか自分の感情に違和感があるが…まぁ気のせいだろう。私は気にしない事にした。
それにしてもなんかこの時間気まずいな...体を休めるといっても別に私あんまり疲れてないんだよね。やることが何もないこの無言な時間...かといって陰キャの私には話しかけることも恥ずかしくて無理!あぁきまず。
そんな空気を読み取ったのか、ローラさんが私に提案をしてきた。
『小夜さん?せっかくですしこのお時間にお茶でもしませんか?』
そういって何もない空間からテーブルと椅子、それにポットが飛び出てきた。お茶というのは魅力的だがそれよりも見逃せない事がある。
「ローラさん!今のどうやって出したんですか?」
『今の...あぁ空間魔法のことですね。』
空間魔法 古今東西どんな異世界ものでだいたい最強の魔法。無限インベントリとか最強に決まってる!できるなら習得したい魔法だ。
「その空間魔法...私が覚えたりできるんですか?」
『うーんそうね…あなたに空間属性の魔法適正があれば覚えられると思うわ。』
「魔法適正?なんですかそれ?」
『ご存じないのですか?冒険者登録等をする時に検査するのが規定なはずですが...?』
「そんなものがあるんですね。私の時はステータスを検査されました。」
『そうですか…でしたらきっと廃止されたんでしょうね。技術の発展はすさまじいですわね。』
?なんか変な言い回しだな。まぁいいや。空間魔法か…適正うんたらが合っていたら覚えたいなー。
そんな会話をしているといつの間にか机の上には温かい紅茶とクッキーのようなものが用意されていた。
温かい紅茶なんてどうやって煎れたんだろうか?水魔法の応用とかかな? あ、クッキーおいしい。
『そういえば聞いていませんでしたわ。小夜さんはなぜここにいらっしゃったんですか?』
「私はダンジョンに潜っていたつもりだったんですが‥いつの間にかこんな所に来ちゃいました。まさかダンジョンの地下にこんな所があるなんて…」
「それじゃあローラさんは一体何故こんな所に?」
私がそう質問をするとローラさんは顔を暗めてしまった。良い理由で来た訳じゃないのだろうか?
「変なこと聞いてごめんなさい‥」
『いえ‥大丈夫ですわ。私もお話をするべきですし。』
『私は攫われてこの研究所にやってきたの。このおぞましい場所へ。』
そこからの話は聞いていて気分の悪くなる話だった。この研究所はより強い魔物を生み出すために作られた魔族の施設だそうだ。ここには様々な種族の人や魔物を収容していて、日々事件を行っていたらしい。そんな中ある時危険な薬剤が漏れ出す事故が発生したそうで、この研究所は放棄されたらしい。そこにいた実験体も含めて。
そんな危険に満ちた空間で生き残ったのは精霊の血を引くローラさんだけだったそうだ。ローさんはすぐにでも逃げ出そうとしたそうだが、被検体は逃げ出さないように魔術がかけられていて逃げられず、今この時までここで暮らしていたそうだ。
「そうだったんですか……嫌なこと聞いてごめんなさい。」
『いいえ大丈夫よ。せっかく助けてもらっているんだし、このくらい大したことないですわ。』
「そうですか。わかりました。」
「ところでローラさんって本当に精霊なんですか?」
『えぇそうよ。正確に言うと人とのハーフだから半精霊ね。まぁこの体は混ざりすぎててもう精霊とは言えないけれど。』
精霊か。もしかしてローラさんが言っていた特別な魔法って精霊魔法のことなのかな?精霊魔法は精霊と契約していなければ使えないとあったけど、自分が精霊なら使えるのかも。少し話を聞いてみるか...
「ローラさんが使っている魔法って精霊魔法なんですか?」
『えぇそうよ。それがどうかしたかしら?』
「実は……」
『精霊との契約方法ねぇ...方法は知っているけれども複雑だから今は難しいわ。ここを出て時間ができたら教えてあげるわ。』
どうやら教えてくれるらしい。また一つここを出る理由が出来たね。しかし出ると言ってもなぁ…
「ローラさん私達こんなにもリラックスしてますが大丈夫なんですか?今って閉じ込めてますよね?」
『えぇ。大丈夫だから少し休みましょう。信じてくれるかしら?』
そこまで言うなら何か策があるのだろう。ここはローラさんに甘えてゆっくり休むとするか‥考えてみればずっと戦ってばかりで、まともに休んでいないなー。そう考えるとなんだか眠くなってきたな‥流石にそこまでリラックス‥する訳には‥いか‥ない....




