作戦
案内された場所は資料室のような場所で、様々な資料と思われる紙や本が散乱していた。
『散らかっていてごめんなさいね。そこらで待ってくださる?』
そう言ってローラさんは部屋の奥へと消えて行った。それにしても凄いな…色々大切そうな資料が床に落ちてるよ。
人がいないところを見るにここは放棄されているようだけど、そういうときって、大事な資料とか持っていくもんじゃない?ここにある物は全部要らないんだろうか?
中身が気になって見てみたが、文字は不明な言語で書いているようで内容は理解できない。
そういえば私が最初にいた小屋の本も読めない文字だったな。私はスキルで言語理解があるから読めるはずなんだけど、どうしてだろう?何かの暗号だったりして?それか古代言語とか?
この世界で生活する上で「言語理解」は大事なスキルだ。なんたってコレが無いと会話や文字の理解が出来なくなるからね!
そんなスキルに分からないことがあるのは怖い。後で仕様を確認しておかないと。
『お待たせしましたわ。資料を持ってまいりました。』
『まずはこれ。これはこの研究所の地図よ。 入り口から出口、研究室のシステムコアの位置まで記載されている完璧なものだわ。』
そんな都合のいい地図なんてあるか?普通は大事な部分は隠すと思うけど
「これは…凄いね‥安全なルートとか丸分かりだ。でも‥これ信用できるの?」
『えぇ大丈夫よ。自分の足で確認済みだもの、罠等はないわ。』
どうやら杞憂だったらしい。
『もう一つはこれですわ。』
そう言って渡されたのはA4サイズの大きな本だった。例のごとく読めないが色々な図式が入っている為、恐らく何かの論文だろう。
『これは魔力の物質化について書かれている本よ。私には必要無いけれど貴方には必要じゃないかしら?』
確かに‥今の私にとって必要な物だ。あの技術は今後の戦闘で役立つだろうし、きちんと学んでおいて損はない。でも‥
「その‥ごめんなさい。気持ちは嬉しいのだけれど私この文字読めなくて‥」
ローラさんが目を見開く。どうやら私がこの文字を読めないのが信じられないらしい。もしかしてメジャーな言語なのか?
『貴方喋ってるのに読めないの?不思議ねぇ』
ふーん。言語理解って私の言葉が相手の見知った言語に翻訳されているのか。それなら何で読めないんだろう?余計分からなくなったな。
「私は翻訳スキルを持ってるから会話は出来ても文字は読めないです‥タブン」
『まぁ!そういうことだったのね!便利なスキルですわね。』
『ではひとまず作戦を説明しますわね。まずこの研究所は円形になっていて、中心にコアがあるわ。それから.........』
話をまとめると、まず私達の目標は研究所のシステムを動かしているコアの破壊。ただそのコアがある部屋に入るには鍵が3つ必要になるそうだ。
その鍵は施設内に有り、厳重な警備で守られている。私達はその警備を突破し、鍵を手に入れなければならないという訳だ。
警備の内容など詳しい事は現地解説だそう。
『以上がコア破壊の計画だわ。何か質問は無いかしら?』
「大丈夫。」
『それじゃぁ早速出発するわよ。研究所内は広いからね。』
突破するのは3つだけ。意外と簡単だなー…
と、思っていた時期が有りました。
「え、これ?これ突破するの?」
見るからに触れたら切れそうな赤いレーザー。辺りを徘徊するロボット、そして奥に見えるなんかごついロボット。鍵を守るにはちょっと過剰に思える程の警備だ。正直言って突破できる気がしない。
「あの‥ローラさん?私ロボット相手だと武器的に‥厳しんだけど…」
『大丈夫よ。あの警備兵全部に魔法反射装甲……魔法を弾く武装は無いから。魔法で遠距離から戦えるわ。』
どうやらロボット全てが魔法を弾くわけじゃないらしい。それなら怖いものなんてないね!
最初から全力だ!視界に入っている全てのロボットに向けて「闇弓」を一斉に放つ。
その一撃で入り口辺りを徘徊していたロボットは倒せたようだ。案外脆いねー
でも奥の方にいる個体やデカイ個体、それと視界に入っていない個体はピンピンしている。魔法の威力が足りなかったかな?
まぁいいや。これは様子見の攻撃だ。これで倒そうとは思ってないしー。次から本気なんだから!
魔力を物資に変え、それを盾にレーザーを突破する。部屋へ侵入したと同時にロボット達が警報的なものを鳴らし始めた。まぁ遅いけどね。
手前にいたロボット2体に接近し「闇斬」をぶつける。魔法を弾く装甲はついていなかった様で、きっちりロボットの腹部に命中した。さっきまで動いていた物は瞬時にスクラップへと姿を変えていた。こいつら意外と柔らかいぞ。
仲間がやられた事でこちらをはっきり認識したのかさらに警報音が大きくなり、ロボット達が一斉にこちらへ向かってきた。
数十体のロボットが一斉にこちらへ向かって来るのはホラーでしかないね。まぁ近づいてくれるのはコチラとしては好都合だけどね。
発動する魔術はこれまでと違う程の濃い闇。レベルが足りなくて使いものにならなかった暗黒魔法が、ついさっきの攻撃で攻撃技を覚えた。「暗黒球」闇魔法にあった「闇球」の上位互換の技であり、闇魔法のどれよりも魔力を使う魔法でもあった。
放たれた魔法は小さな塊で、とても強そうには見えない。ただ魔力を知覚できる者にはそれは死の球に見えるだろう。
速いとは言えない速度で「暗黒球」が飛んでいく。生き物ならば避けていたであろう攻撃は、設定された動きしかしないロボットには避けられない。金属でできているであろう装甲を、まるで紙のように貫通させて突き抜けて行く。
....上位魔法になるだけでここまで威力が変わるのか。そうなると血魔法の上位魔法が無いのは残念だなー。そんなことを考えながら残りのロボット達をサクッと倒す。
さぁ後は後ろにいるデカブツだけ!今の私を止めることなんて出来ないのさ!未だに動かず奥で佇むデカロボにむけて「暗黒球」を3つ程形成した。
さぁ終わりにしようか!発射された魔法は大きな巨体を貫通…する事はなく霧散した。
あれ?構築に失敗したかな?も、もう一回!
今度はゆっくりと魔法を構築し、放ったが命中する事はなく、消えてしまった。
明らかに魔法が効かない奴だよね?あれ?いないんじゃなかったっけ?
『あ!言い忘れてましたわ。奥の方にいる個体は特殊個体です!魔法が効かない装甲を持っているのでご注意を!』
忠告が遅いわ!!
魔法が撃たれた事でこちらを敵と判断したのか、大きなロボットは轟音を響かせながら行動を開始した。




