異世界人と出会う!
しばらく走った後、たどり着いたのは一軒のログハウスだった。外に焚き火の跡が有り、つい先程まで燃えていたようで、ここが人の住む場所だというところを教えてくれている。
しかしどうしたものか。私には知らない家を尋ねるコミュ力はないし、第一に今の自分の状況を伝えれても助けて貰えると言う保証も無ければ、異世界から来たなどという突拍子のない事を信じて貰えるかも怪しい。
そもそもこういう時はどう尋ねると良いんだろうか…?助けて下さい!道に迷って!的な感じで切羽詰まったような言い方がいいかな?それとも道に迷ってここが何処かわからないので助けて下さい的な感じで余裕を持った感じが良いのだろうか?
そうこう考えてたら扉から出てきた初老のおじさんと目があってしまった…
場に絶妙な雰囲気が流れる。なにこれきまず。
「お嬢さん?どうしたんだい…?」
数秒おじさんと見つめ合うという絶妙な雰囲気が続いたがおじさんの一言で話が進みそうだ。
ナイス!おじさん!グッチョブ!
しかしどう答えたらいいのだろうか?‥迷ったとでも言えば良いのだろうか…30秒程考えるが結果は出なかったので無難に行くことにしよう。
「迷子?みたいな感じ…でづ」
噛んじゃった…恥ずかしい。
え何?30秒考えた答えがこんなものだって?しょうがないじゃないか!多分生きててこんなシチュエーションに出会ったの初めてだし一生こんな状況にならないだろうから何言えばいいかわかんないよ!
「そうかい。迷子か、お嬢さんどこの街から来たんだい?道を教えて上げるよ。」
どうやら助けてくれるらしい。ただあいにく私はこの世界に来たばっかりなので街など知らないし…ここは思い切って異世界から来たと話してみるか。
今の自分の現状とどこから来たのかをおじさんの話してみたが、何とすんなり理解してくれた。異世界人は珍しくないのかな?
さらに外では寒いだろうから家に上がって良いと来た。このおじさん滅茶苦茶優しいな。
「お邪魔します」
質素だがとても住みやすそうな家だ。何だろう、森の中に別荘を建てるならこんな感じになるのかもしれない。
リビングっぽい場所でこの世界について色々おじさんに話を聞いた。まずおじさんの名前はウィーゼルと言うらしい。名字が無いのは当たり前らしい。
ここはサヴァラ大森林という場所で国の管理する森らしい。ここで言う国とはミレウス王国という国でこの世界でいちにを争う大国らしい。
そしていま世界は魔族と戦争をしているそうで、ヴィーゼルさんは争いが嫌で山で暮らしているそう。
ウィーゼルさんだと堅苦しいし、ウィル爺でいいか。
ウィル爺の話によれば異世界からは度々人が迷い込むことがあるそうで異世界人は結構メジャーな存在らしい。
それとステータスは特殊なスキルか魔導具でないと見ることができないらしい。ここには無いので街へ行き冒険者ギルドに行けばステータスが分かる魔導具が置いてあるそう。冒険者ギルドがあるという事は冒険者が存在するという事。
やっぱり異世界といえば冒険者だよね!冒険者になれば食う程度なら困らないらしいので冒険者を目指すのが第一目標かな。
話を聞いた私は冒険者になる為に街へ向かうと告げた。するとウィル爺は街への地図とちょこっとのお金と食料、そして魔物よけのお守りを渡してくれた。魔物よけのお守りはゴブリンぐらいの魔物が近づかなくなるものらしい。
どこからどこまでも迷惑をかけてしまったが、おかげで助かった。ウィル爺には感謝しなきゃね。
「街へ行こうと思います!色々教えてくださりありがとうございました!」
お礼を伝え家を出た。さぁ異世界の第一歩。冒険者になる為に街を目指すとしよう!
森の道なき道をひたすらに進む。お守りの効果なのか魔物らしきものとは全く遭遇しない。ものすごい効果だ。
こんなにすごい効果を持ったものを私なんかにあげて良かったんだろうか?
いつか恩を返さなきゃね。そうこう考えていると道のようなものが見つかった。どうやらここら辺りから人が通る道になっているようだ。
無機質だがどこか温かみを感じる声が頭の中で聞こえてくるレベルアップの告知だ。
《熟練度が一定に達しました。スキル疾走Lv2を獲得しました》
お!スキルのレベルアップだ。ただ走っただけで獲得出来るようなスキルだしきっとしょぼいのだろう。イマイチ効果は分からないがあって損は無いだろうし嬉しい限りだ。
そうこうしていると遠くの方に建物二階分ほどの高さの壁が見えてきた。おそらくあれが街の防壁なのだろう。
お、門が見えてきた。石造りで木製の格子がついているよくある門だ。てっきり小さな街だと思っていたがどうやら想像していたより随分大きな街らしい。
街の全貌は見えないが東京ドーム一つ分以上は確実にありそうだ。門の前には甲冑を着た兵士は二人ほど立っていたが入るための検査がある訳では無いようで、普通に入ることができた。
確か今は魔族と争っていると聞いているが、こんなザルな警備で良いんだろうか?簡単に入られてしまいそうで心配だ。
ウィル爺によると冒険者ギルドは石造りの大きな建物らしい。おそらく道の奥に見えているあの大きな建物だろう。ひとまずは自分のステータスも確認してみたいし冒険者ギルドへ向かうとしよう。
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