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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第三章 飛躍するアイドルたち 恋の飛躍編 ~私を旅館に連れてってー!~
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第30話-1.センマイコーヒー物語【杏子視点】


 私は最近、あまり練習に参加できていない。理由は二階堂さんとよく会っていたから。好きだから一緒にいたというより誰かに奪われたくないって言う思いの方が強かった。


「どうしたんだ最近。俺だって忙しいんだぞ」

「でも、いつも会ってくれてるじゃないですか」

「一応二宮に任されていることもあるからな。で、今日は何だ」


 実は特に用事はない。でも、会っていないと誰かに奪われそうな気がする。私は今思いついた用事を言った。


「そういえば、そろそろ夏だから、夏ソング作りませんか?」

「GARDEN CALLがあるだろ」

「それとは別に、作りましょう!」

「分かった。作ってやる」

「ありがとうございます!」


 良かった。助かった。


「で、有浦宇音の事はどうするんだよ。いつ会わせてくれるんだ」

「またその話か……」


 私は二階堂さんにばれないように小さく呟いた。


「だってなかなか二宮が引きあわせてくれないだろ」

「あのですね」


 いやー。何て言えばいいのか。


「有浦さんは吉田さんが好きなんだから諦めた方がいいと思いますよ」

「またか……」


 またかって言われた。でも二階堂さんの事が好きだから有浦さんの所には言って欲しくない。


 私は諦めたくない。


********


 二階堂さんが有浦さんのことばかり気にしていることに納得いかなかった私はプロデューサーの直之さんにその悩みを打ち明けた。


「なかなかうまく行かないなあ」

「何を悩んでいるんだ?」

「どうすれば二階堂さんに振り向いてもらえるのかな?」

「まだ悩んでるのか」

「なんで振り向いてもらえないの?」

「え? 杏子はかわいいから振り向いてもらえるんじゃないの?」

「私かわいいのかな? 言われたことないんだけど」

「僕はそう思う。そこは自信を持って。もしダメならかわいくして会えばいい」

「それ! それよそれ!」

「何が」

「もっと好きになってもらえるようにメイクアップしなきゃ」

「ああ……」

「でも、どうしよう。どんなメイクすればいいんだろう?」

「それなら啓子が詳しそうだな。人生の先輩だし」

「人生の先輩かー。言ったら怒りそうだなー。それは黙っておくから、村原さんに聞いてこよう!」


 私はすぐ直之さんの元から離れてそ、村原さんの元へ向かった。


********


「村原さん、ちょっと時間よろしいですか?」

「あら? 二宮さん、どうしたの?」

「ちょっと悩みがありまして」

「何よ?」

「私が今好きな人がいるんですけど、他の人が好きみたいで、でも私の方をむいてほしいんです」

「それは恋の悩み? 二宮さんが? 以外ね」

「え? 私だって恋しますよ」

「そうね。二宮さんも女の子だもんね」


 女の子じゃない。私は大人なの!


「それで、その彼から振り向いて欲しいわけだ」

「はい! お願いします!」

「それにしてもお化粧したら上手く行くなんて誰が言ったの? 他にも方法があるのに」

「それは私が考えました。直之さんにかわいいって言われたから」

「なにアイツ、そんな事言ってるの。気持ち悪っ……」


 村原さん、それは言いすぎな気がしますけど……。


「まあ、練習もしないといけないから、お化粧、始めるわね」

「はい」


 今日は村原さんにメイクアップしてもらいながら学ぶことになった。


「薄めにしておくわね。二階堂さん、薄めが好きそうだから」

「どうしてそんな事が分かるんですか?」

「宇音ちゃんもメイクは薄いと思うから」

「はあ~。そうなんですね」


 私は納得した。確かに相手の好きな人と同じメイクをすればいいのかもしれない。


「あと、アドバイスとしたら、宇音ちゃんみたいに素直に愛する事かしら」

「素直に、愛する」


 私は村原さんの言った言葉を無意識のうちに言っていた。


「ほら、宇音ちゃんって吉田さんにすごくくっついているじゃない。すごく素直に恋してると思うのよね」

「はあー……」


 村原さんの話はすごく納得できた。二階堂さんのことは好きなんだけど、もっと攻めないといけないのかな?


「私はどうなんですかね?」

「二階堂さんに対して素直にに向き合えばいいんじゃない?」


 ……答えになっていない。私は二階堂さんと素直にに向き合っているのだろうか?


 そんな話をしているとメイクが完成したみたいだ。


「はい出来た。こんな感じかな?」


 村原さんから受け取った鏡で顔を見てみた。確かにいつもと雰囲気が違っていた。


「これいいかも! ありがとうございます!」

「はい。で、毎日こんな感じですればいいんじゃない。今日は私がやったけど。コツは濃すぎないことね」


 濃すぎないこと。それにいつもより少し褐色なメイクだ。ちょっと有浦さんっぽいかも。明日からこれでやってみるか。


********


 メイクをした私は直之さんからの批評をもらいに走った。


「直之さん! どう!? どう!?」

「……」


 直之さんは何も言わなかった。何でだろう?


「直之さん、どうしたの?」

「すっごくいいと思う! 二階堂さんに見せてやってよ。絶対気に入るって」

「そうなの!? 嬉しい!」


 直之さんはとても喜んでくれた。これで大丈夫よね。


「だったら今度からこのメイクで行くよ」

「今日じゃないのか?」

「今日はもう会って来たし」

「最近よく会ってるな」

「そうかな?」


 確かに直之さんが言うように最近私たちはよく会っている。それは二階堂さんに好かれるため。彼が有浦さんの元へ行かないため。


********


 今日は二階堂さんに会う日。この日のために服も買った。カバンも新しいものにした。メイクも村原さんの言った通りにやってみた。これで二階堂さんに振り向いてもらえれば。最高!


「こんにちは!」

「二宮、いつもと違うぞ」

「イメージを変えてみました」

「うん、いいんじゃないか、じゃあ行くぞ」


 ……それだけ?


 納得いかなかった私はお店に入った後改めて聞いてみた。


「あの、イメージ変えてみたんですけど、どう思いますか?」

「いいんじゃないか」

「かわいいと思いますか?」

「何を言わせたいんだ?」


 二階堂さんがイライラしてきている。何で、何も言ってくれないの?


「話を始めるぞ、そのために来たんだから」

「そ、そうですね」


 私たちは夏ソングの話をした。


「夏ソングの話だが、有浦宇音の曲にしようと思う」


 え? また、有浦さんの話?


「どうかしたのか?」

「いえ、何でもないです。続けてもらえますか?」

「ああ、一回本人に確認取りたいから会わせてくれ」


 え? どうしよう? そんな事いきなり言われても。


「条件があります」


 上司のはずなのに、有浦さんと会わせたくなかったから私は思わずそう口走っていた。私の想いは言葉となって止まらない。


「私と大和旅館に泊まってもらえませんか? いい所だから。そうしたら有浦さんに会わせます」


 こんなことは言ったらダメだ。それは分かってるけど口から出てしまった。嫌われても仕方ないか。でも会わせたくない。


「大和の家だろ? 行こうじゃないか」


 え? すんなりと乗ってきた!


「私とお泊まりですよ? それでもいいですか?」


 普通は好きでもない人と一緒にお泊まりしたくはないだろう。これで有浦さんの事は諦めてくれれば。


「大丈夫だ。それで有浦宇音に会えるのなら」


 ……。どれだけ会いたいのよ。


「私はあなたと一緒にいられるのが嬉しいです。今週末でも大丈夫ですか?」

「あ、ああ。大丈夫だ」


 え? 今、一瞬動揺したよね? よし、もう少し攻めてみよう。


「どうかしましたか」

「いや、何でもない。楽しみにしてるぞ」

「私も楽しみです」


 とにかく、二階堂さんと有浦さんを近づけないようにしないとと必死だった。でも、二階堂さんが一緒に来てくれる以上有浦さんと会わせないといけない。それまでに私の魅力を二階堂さんに知ってもらって告白しよう。そうすれば二階堂さんは有浦さんを諦めるはず。

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