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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第三章 飛躍するアイドルたち 恋の飛躍編 ~私を旅館に連れてってー!~
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第29話-1.転生のススメ

 僕は今、緑の家の外にいる。そう、また織田さんに呼び出されたのだ。果たして今日は何を言われるのだろうか?


「吉田さん、さあ、上がって上がって!」

「いや、一体何なんですか?」

「いいからいいから」


 何で織田さんは上機嫌なんだ? 何も分からないまま僕は緑の家に上がった。


 そして僕は織田さんから話を聞くのだが……。


「紅藤さんの実家に行くことになって」

「あの、何言ってるんですか?」


 地球外にある緑の実家に行くという、何やら意味の分からないことを言っているのだ。


「紅藤さんの実家に行くんですよ」

「無理でしょう」


 僕は緑を配慮しようと思ってこれ以上言うのをやめた。


「分かってますよ。でも、資料室からなら行けるはずです。借りてもいいですか」

「はい」


 そう言っておかないと織田さんの事だから断っても借りるだろう。


「あと資料室の壁が本当に移動できるかどうか吉田さんに行って欲しいんです」

「絶対嫌です!」


 確かにあの資料室の壁はどこか別の空間とつながっているとも言われている。実際に杏子や緑もそこから転移してきた。でもそこから転移してくれと言われても困る。僕が転移に失敗したらどうするんだ?


「いや、吉田さんには星へ行って欲しいんではなく、別の所へ行って欲しいんです」

「いや、そうじゃなくて」

「そこから現場に応援に行ってもらってよろしいですか?」

「そうじゃなくて、僕は転移をして帰ってこれなくなるのが怖いんです」

「分かりました。ワープして現場には俺が行ってみましょう」

「怖くないんですか?」

「大丈夫と思いますよ」

「どこからその自信は湧いてくるんですか?」

「俺は大丈夫と思うんです。詳しくは言えないんですが」

「言えないんですか?」

「はい、またそのうち話すことになると思いますが」


 織田さんは成功する自信があると言うが、理由は教えてくれない。


「それにしても、現場には普通に行ってもいいと思いますけど」

「仕事はついでですね」

「それ、絶対松田さんに言ってはいけませんよ」

「ワープの事ですか? 分かりました」


 いや、何か話が噛み合っていないが、めんどくさい事になりそうなので僕は少し資料室に立ち寄って練習場所に戻った。


********


 次の日、僕はまた織田さんの所に行って本当に緑の星へ行くのかについて聞いてみた。


「吉田さん、昨日は実験できませんでした」

「どうしたんですか?」

「松田さんに見つかってしまいました」


 それはそうだろう。それなのに、織田さんは諦めてなかった。


「吉田さんはダメなので、今回も俺が行きます」

「まだやるんですか」


 まだ懲りないのか。今はこう言う話をしている暇じゃないんだが。


「それで、織田さんは緑の星へ行って何をするんですか」

「いや、ただ紅藤さんの実家に行くだけですよ。俺は仕事もあるから緑の星では暮らしませんよ」


 それならひとまずは安心だ。本当に緑の星へ一回行くだけならそれでいいんだけど。


「帰るんですね。ちょっと俺も用事があるんで一緒に行きます」


 と言って織田さんはついてきた。帰る前に一旦資料室に用事があるので寄ることにする。


 その資料室に入ろうとしたところで、杏子がやって来た。


「直之さん! ちょっと戻ってきてほしいんだけど」

「杏子、どうしたの?」

「どうしたの? じゃなくて、ちょっと時間がかかりすぎ」

「ごめん、っていうか良くここが分かったな」

「有浦さんから聞いて、最近はこっちに来ているって」

「あ、吉田さん、二宮さんもいたんですか?」

「げっ」

「ちょうど良かった」


 織田さんが急に来たから変な声が出てしまったじゃないか。それにしてもちょうど良かっただと? 嫌な予感がする。


「二宮さんにこれから転移の実験をしてもらいたいんです」

「転移? 実験?」


 杏子はしきりに首を傾げているが、まあ何のことか分からないだろうな。


「これからこの部屋の壁を使ってセンマイコーヒーへ行ってください。行けたら連絡して、その後ここへ戻ってきてくれませんか?」

「これからですか?」

「はい。絶対成功すると思います」

「いや、だからその自信は何なんですか?」

「松田さんからそう言われたからです」

「人の言う事を信じるんですか」


 僕と織田さんはそう言うやり取りをしているが、杏子は横で頭を抱えていた。僕は織田さんが変な自信を見せたので止めようとしただけなんだけど。


「杏子、頭が痛いのかな?」

「いや、直之さん達の話についていけないだけ」

「ええっ?」


 何か、杏子から呆れられてるぞ。どうするんだよこれ。


「ここで火事があったと言う話は松田さんが仰ってましたよね? そこで人が移動していたようなんですけど、その移動した人は自宅で見つかったんですよ」

「自宅で? ですか?」

「はい、後で上司から何で勝手に帰ってんだよ!? って怒鳴られたようで……」

「まあ、そりゃそうですよね」

「話が難しすぎます。どう言う事ですか?」


 杏子は織田さんに説明を求めた。


「彼がずっと家に帰りたいと思っていたんですよ。今の場合はセンマイコーヒーの本社に行きたいんですよね。そう思っておいてください」


 僕は意味が分かった。杏子もなんとなく分かってきたようだ。


「まだ完璧に理解できていないんですが、それならこの壁からセンマイコーヒーまで行ってみましょうか? 確か最初に来た時はそうやって来たような気がする」


 杏子は来た時の事を思い出して、感覚をつかんでみると話して壁の前に立った。すると壁が光り始めて光が資料室を覆った。それはあの時に見た光と一緒だ。そしてその光は久しぶりに見た気がする。


 光が収まった時には杏子はいなかった。そして杏子から連絡があって、センマイコーヒーの会社内の画像が送られてきた。転移は成功したようだ。


「成功したようですね」

「松田さんの言ったことが立証されましたね」


 織田さんは言った。思い出したくない事なのだが、織田さんの言った通りで間違いない。


 その後、杏子は光とともに戻って来た。


「どうだった? 杏子」

「本当に行けた。元々転移でここに来たんだけどね」

「俺は無事成功すると思っていましたよ。でも、ありがとうございます」

「え? あ、ど、どういたしまして……」


 杏子はしどろもどろに織田さんのお礼に対して挨拶する。


「じゃあ、帰りましょうか」


 杏子は、ものすごい笑顔で僕にそう話しかけた。恐い。


********


 杏子と一緒に練習場所に戻っている途中に文句を言われてしまった。


「遅い!」

「ごめん、杏子。織田さんとさっきの転移のような話をしてて……」

「すぐに帰って来るって言ったのに……」


 僕は杏子に謝罪をするのだが、今日はかなり言われた気がする。杏子は怒らせたら怖いのだ。


********


 そんなこんなもあったが、僕は練習場所に戻って来た。もし、織田さんと緑が別の星に行こうとしたら止めなければならない。真凛を説得出来たので、緑も説得できるものだろうか。


 資料室の壁から転移できることが立証されたので織田さんはそれを使って緑の実家へ行くと考えてよい。


「あ、直之さん、戻ってきてる」

「宇音」

「最近、何でヒロイックばっかり行くの? 寂しいよ」


 宇音はいつものように僕に巻きついてくる。


「ちょっと、織田さんに用事があって」

「緑ちゃんの事ね。大丈夫よ。何かあったら私も説得するから」


 緑は僕の唇にキスしてきた。それにしても織田さんが緑の星に行くことは宇音も知っているんだな。


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