第28話-3.みんなで『お客さん』を集めよう
結香の提案によりライブで告知することで決まったが、問題はファッションショーをライブ前に設定してしまったことだ。ライブ後に出来るよう申請し直すのは可能だろうか?
「杏子、そうなるとライブの日程をずらさないといけないな」
「うん、そうね、日程を変えられるか受付で聞いてみよう」
この件は受付の人と相談することになった。ただ、延期できないと困ることになる。
「じゃあ、PR方法も決まったし、早速ポスターを作ろうか」
「えー?」
結香は嫌がった。嫌がるなよ。
「ここで作るの?」
「そう。ちょうど机とかあるし紙も、ほら」
「杏子、作るつもりだったんだな」
「うん、ここに貼るつもりだったから」
それを僕が貼り辛くしたからな。でも結香に言われて貼ることにした。
「結香、じゃあ描こうか、ほら」
「鉛筆まであるの!?」
僕は結香に鉛筆を渡した。結香は嫌そうに了解した。嫌そうに。
「はいはい、描けばいいんでしょ! 描けば!」
「かわいくないなあ」
「何よ、前はかわいいって言ってたじゃない!」
「そういうことじゃない」
「どういう事よ!」
「素直じゃないなあと思って」
「だってめんどくさいもん」
「僕も手伝うからさあ、めんどくさがらないでよ」
僕も鉛筆を持って結香と一緒にポスターを描いていった。
「どんな感じにしようか?」
結香に問いかけられたが、僕はそこまで決めていなかった。
「うーん、真凛のシルエットでも描くか」
「背景は?」
「プール? 青と白の楽園」
「それだ!」
結香が肯定の声を上げたので青と白の楽園に決めた。『GARDEN CALL』の歌のイメージでもある。
「じゃあ、僕のイメージで書いたらこうか」
とりあえず僕は今頭にある南の島のイメージの絵を描いた。
「青と白の楽園って、南の島だったの?」
「そんな感じになったよな」
青と白の楽園は海音を見ながら描いたものなので楽園のイメージを考えてはいなかった。それで今考えたイメージがこれだった。
「初めて知った」
まあ、今考えたんだからそれはそうだろう。
「じゃあ、真凛のシルエットを描いてみようか」
「待って、真凛さん呼ぼうか?」
うーん、なんか本人を呼んでまでしなくても……って思ってたら結香の姿がなかった。真凛を呼びに行ったのか。本当に行動が早い奴だ。僕は思わず頭を抱えてしまった。
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「真凛、忙しいのにごめん」
「いえ、私の我儘に答えて下さってありがとうございます」
真凛は頭を下げた。僕としては真凛の「ファッションショーがしたい」という要望に答えず真凛が辞めてしまう方が困るから、我儘ではないだろうと思う。
「こんな感じでいいですか?」
真凛は頭の上で両手を組むポーズを見せた。よし、これで描こう。
「直くん、何を見惚れてるの?」
「じっと見ないと描けないだろ」
「あまり見ないで」
「分かったよ」
結香がそう文句を言ってくるが、真凛の方を見ないと描けない。だがそれを言うと後からめんどくさいので僕は結香の言った通り真凛をあまり見ないようにシルエットを描いていった。
「「できたー!」」
最後は僕と結香でポスターを無事完成させた。
「できた? すごい! じゃあ、印刷してもらおうか?」
杏子の指示でポスターを印刷して無事この施設に貼ることが出来た。
その後、書き直した書類を申請しに行った。もし受理されなかったらどうしようと不安だった。
でも、いざ申請を行ったら「大丈夫ですよ!」とあっけなく受理された。なんか心配したのが損だった気分がしたが、無事日程を変えられてよかったと思う。
次に、ライブ会場に置くポスターと広告を印刷した。
広告は入場時に全てのお客さんに行きわたるよう、プログラムの中に織り込んで一枚ずつ渡すことにした。広告は手抜きに思われるかもしれないがポスターと同じデザインだ。広告作りを終えてから真凛の練習をどうするかを杏子と話し合った。
「あとは真凛の練習だけど」
「真凛さんはファッションショーの練習はしてるのかな?」
「ファッションショーの練習はしていないけど、池でファッションショーごっこみたいなものはよくしてるからな」
「池か。プールで出来るのかな?」
「一回リハーサルをしたら感覚がつかめるんじゃないか? プールは水泳教室が無い時間は使えるから。まあ、あまり目立たないようにすれば大丈夫じゃないか?」
「でもそれだと、服は持って入れないのね」
「そうだな。普段は禁止だ。今回は特別に許可してもらったけど。その交渉で時間がかかったんだけど」
真凛のファッションショーはプールで行う。ただ、この前池でやっていた時は、服を着たまま池へ飛び込んでいた気がする。
まさか、それをここでもやるんじゃないだろうな? いや、やるなあ。公園でやってた時も池の中に入ってたし。飛び込みOKなんだろうか気になったが、プールでファッションショーを開けるようになって良かった。




