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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第三章 飛躍するアイドルたち
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第27話.哲子の新曲と難しいライブ

 そして、ライブ当日、


 『GARDEN CALL』のインスト版楽曲が流れ、アイドル達は舞台に向かって走り出した。

 それと同時に幕が開く。これは前回と一緒だ。


「皆さんこんばんはー! カフェファクトの杏子です! 大みそかライブ以来のライブになりました。お待たせして申し訳ありません」


 杏子はそうナレーションをする。今回は三ヶ月ぐらい間が空いている。


「今回、新曲の発表があります。その前に……」


 今回も新曲を作った。その名は『Tetsuko』だが、この曲の作曲者は僕ではない。


「まずは『ソラへ』です! 今回も最後までよろしくお願いします」


 杏子が自分の立ち位置に戻って行ったら曲が始まる。今回の杏子の立ち位置は海音の後ろだ。海音は前の中央だ。ちなみに立ち位置は途中で変わる。


『ソラへ』のゆったりしたリズムが流れる。この曲のメインヴォーカルが海音だ。この曲は踊りがゆったりしていて、最初にやるにはちょうどいい曲なのかもしれない。


 海音は前回『ソラへ』を歌ったライブの時と比べて歌い方がかなり変わっている。その間に行われた海音のアップデートによって声に強弱が付けやすくなったため、メロの部分は優しく、サビの部分は力強く、安定して歌えるようになっていた。


 さらに海音は足の動きも改良されているが、この曲はあまり歩くパートがない。


 次はまたもや新曲だから、しばらくお客さんにはこの曲で癒しを与えよう。


 『ソラへ』が終わって次はいよいよ新曲『Tetsuko』のお披露目だ。


 これは二階堂さんが作った曲だが曲調はジャズテイストで、『目を合わせてParty Night』とは違ってかっこよく出来ている。


 アイドル達は配列を変える。ここからは哲子が主役だ。


「次は新曲です! 新曲のセンターは前回と同じく華南哲子さんです!」


 杏子は哲子を前に誘導して、哲子は客席から拍手を浴びる。哲子は自然にマイクを取って話し始めた。僕もこのやり取りが自然すぎて驚いた。


「こんばんは。只今二宮リーダーから紹介を預かった華南哲子です。また私、曲を持つことができました。今回の曲は『Tetsuko』という、私の名前を曲のタイトルにしてもらいまして恐縮です。ですが、折角書いてもらった曲を恥ずかしがって歌わない訳にはいきません。今回も一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします!」


 僕はこの光景を見守っていた。哲子は説明を続ける。


「この曲は、作曲は二宮さんと交流のある二階堂さんが作った曲です。二階堂さん、ありがとうございました」


 杏子と交流のある二階堂さんに依頼して作られた……、か。何か悔しさみたいなものを感じるのは何でだろう?


「今回も衣装は赤色ですが、前回に負けず情熱を燃やしていきますので、皆さんよろしくお願いします」


 哲子は今回も赤い衣装を着ているが、前回の赤いドレスとは違うTシャツ風の衣装だった。その服は何か僕も知らないうちに出来ていた。前回は哲子と他のアイドルで別の衣装を着ていたが、今回はみんな同じ衣装だった。



 哲子が自分の位置についたと同時に『Tetsuko』が始まった。僕はよくアイドル達の練習を見ながらこの曲を聞いていたが、意外といい曲だと思った。勝負はしていないはずなのに負けた気分だ。悔しい。


 哲子の魅力がぎっしり詰まっていた歌詞だった。でも二階堂さん、哲子と会ったことないのに何でここまで哲子の事を分かっているんだ?


 そして哲子の歌い方も大みそかライブの時と比べてかなりうまくなった。


 今回の並びの不思議に思ったところは、啓子が哲子の真後ろにいる事だ。その代わりに隣には海音が来ている。これは不思議だ。


 『Tetsuko』もサビに入った。この曲のサビは曲調こそ変わらないものの、明らかに盛り上がっている。アップテンポであるため、その分アイドルは激しく動く。練習でも大変そうだが本番でも大変そうだ。


 一通り曲が終わってアイドルを見てみると、みんな躍動していた。胸のあたりが大きく動いているアイドルもいる。呼吸が荒くなっているようだ。僕はこの振り付けは踊っていないのでどれくらい大変なのかはよく分からない。


「ありがとうございます!」


 哲子が呼吸を整えた後、客席に向かって大きく感謝した。会場からは大きな拍手が聞こえた。


「みんな! 楽しんでる!?」


 今度は後ろから声が聞こえてきた。


「さあ、最後は『GARDEN CALL』で締めます! 今回もみなさん、ありがとうございました! 最後までよろしくお願いします!」


 ここは杏子のセリフだった。杏子は曲が終わっても呼吸が乱れている様子がなかった。やっぱり杏子は体力があるなあ。


 今回も最後は『GARDEN CALL』だ。僕もいい加減飽きてきたが、杏子にそれを言ってどう返事が返ってくるか分からない。曲のレパートリーがなかなか増えないのは僕も悪いが。


 『GARDEN CALL』が流れ始めた。今回歌うのは海音だけで、杏子は歌わないようだ。哲子は後方の右端に入った。ちなみに隣は啓子だ。


 この歌はまずサビから入る。ただ、この曲はこのようなメロディーが延々と続く。よくそんな曲を歌えるし聴けるな、とは思うが、海音を見て作った曲だから、彼女に惚れ込んでこのメロディーだけが浮かんできた。海音の曲も哲子の曲も本人を見ながら作ったが、たまには別の作り方もした方がよさそうだ。


 後は、次回のライブまでには結香の曲もやりたい。そう言えばこの曲は結香を見ながら作ってない。また気持ち悪いって言われるからかな? もう付き合いが長いからか。


 気が付くとまだサビだった。少し違う事を考えていたのでどこのサビか分からなくなった。今回は海音しか歌っていないので特に場所が分からないのだ。


 続いて、メロに入った。サビもメロも同じメロディーなので歌詞で判断するしかない。


 ただ、やっぱりヴォーカルに杏子は必要だ。メロディーが同じものばかりでアクセントがない。


 ここからまたサビに入る。ここからは延々とサビが続くのだが、この曲自体が六分以上あり、かなり長いのだ。みんな疲れてないのかな?


 長い最後のサビが終わり、盛大な拍手と共に幕が閉まる。


********


「お疲れ様!」

「お疲れ様!」

「お疲れさまでした」


 啓子と哲子が挨拶してきたので僕も挨拶をしておいた。


「吉田さん、二宮さん」


 ライブが終わってまだ時間がそれほど経っていないのに、啓子が呼ばれた。しかも杏子も一緒だ。


「今日の成果を発表するわね」

「「はい」」


 僕は息を飲んだ。杏子も合わせて息を飲んでいるように見えた。


「今日はね、三分の二くらいかしら」

「……」


 杏子は何も話さない。またショックなんだろうか。


「難しいね」


 杏子は一言だけそう言った。


「でも、少しづつ増えてるわよ。もう少しじゃない」

「まだこの三分の一も入れないといけないなんて……」


 杏子にとってそれはまだまだ遠い道のりである。


「僕も、いいライブが出来るように頑張ります」

「吉田さん、次はすごくいい曲を期待しているわ」

「そんなに期待をかけられても何も出ないですよ」


 啓子、それは僕が緊張するからやめてほしいのだが……。

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