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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第三章 飛躍するアイドルたち
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第26話.Kyoko

「次のライブは3月26日の日曜日です」


 杏子は次のライブの日程について説明していた。あと一ヶ月しかない。


「最初は『ソラヘ』、次に華南さんの新曲、『Tetsuko』です。最後に『GARDEN CALL』か。うーん、自分で考えたんだけどもっと曲が欲しいな」


 最近は、最初が『アイの日常』か『ソラへ』。最後が『GARDEN CALL』で、間に新曲っていうパターンが多いが、このままだとお客さんが飽きそうだな。


 とは言え、現在、結香の曲はPV制作中だし、発表できる曲はそれぐらいしかない。


「今回はこのようにしていきたいと思います。何か質問はありませんか?」

「質問というか報告よ。私の友達にも声をかけてるんだけど、なかなか賛同してくれなくて……。皆さんの力にあまりなれないようなの」

「村原さん、言いにくいんですけど、センマイコーヒーからは十人くらい来てくれるそうです」

「……すごい」


 啓子はそう関心をしていた。僕は横から啓子を見ていたが、目つきは鋭かった。


「そうね、二宮さんに、二階堂さんもいるもんね」

「村原先輩……」

「二階堂さんはイケメンだけど、モテそうよね」

「何言ってるんですか!?」


 反応したのは哲子じゃなくて杏子だ。


「あ、すみません。村原さん、話を逸らさないで下さい」

「ごめんなさい! つい……」


 杏子は顔を赤くして恥ずかしがっているが、啓子は悲しそうな顔をしていた。その顔は綺麗だが、あまり悲しい表情は見たくない。


「満員まではまだまだだし、もっと人集めを頑張らないと」

「村原先輩、ダンスの練習もですよ」

「そうね、それもそろそろ始めないと」

「村原先輩、踊ってる時も上の空ですから」


 そんなになっているのか? この集客もなんとかしないといけないな。どうすればいいんだろう?


「あと直之さん!」

「は、はい!」


 僕はいきなり杏子に呼ばれて飛び上がった。


「PVはライブが終わってからでいいですか? それくらいに日程組みます」

「分かりました」

「今回はこれで終わりです」


 杏子はいきなり大声を出すから恐い。PVを撮影してくれるのは嬉しいが。


********


 それから一ヶ月間、ライブに向けての練習を頑張った。僕は残りのPV撮影を結香と海音と一緒に頑張った。


「早く撮影終わらせないとな」


 撮影もすぐに終わるわけではなく、あれから何日か行った。杏子に急かされているので時間はかけられない。


「直くん、なんか言った?」

「いや、早く終わらせないかな?」

「ホントよ。もう、何回目なの!?」

「僕が拘ってるのが悪いんだけど」


 いろいろやりたいことはあるが、多分今日で終わる。


「ああっ! 今日もやってる!」


 いつも僕達の様子をなぜか見に来る二人組のうち、背が低い方の女子に話しかけられた。最初に話しかけてくるのは決まってこの背の低い方の女子だ。


「今日で終わりだぞ」

「ええっ!?」


 ここは二人揃って反応を示した。


「で、一体君たちは誰なんだ?」

「それは内緒」

「何でだよ」

「何でもだよ。また今度、会えたら、私たちの事を話すね」


 二人組のうち、背が高い方の女子がそうやり取りをしてくれたが、彼女達の正体は最後まで分からなかった。それは次回会ったときに明かされると背の高い方の女子が言っていたが、本当に彼女たちと次回会う時が来るのだろうか?


********


 家に帰った僕は疲れ果てた。杏子の要望には疲れるからだ。今日の場合は「早くPV撮影を終わらせて」だ。ちょっとこだわりたいところもあるのでなかなか終わらないのに、早く終わらさないといけない。


「全く、杏子のテンションにはついていけないよ」

「うん、直之さんが好きなのを我慢なんてできないよ」

「でも、人前で抱きつくのだけはやめて欲しいんだけど」

「ええっ!?」


 出来れば人前では抱きつかないでほしいが、多分言っても無駄だと思う。


「もっと杏子と仲良くしたいんだけど」

「私がいながら、二宮さんと仲良くするの?」

「あ、まずい」


 宇音には他のアイドルと仲良くしたいとは言えないな。


「ごめん、でも、付き合いづらい」


 こんなこと、宇音に言っても無駄なんだろうな。


「元気出そうよ」

「宇音……」

「私はあまり元気のない直之さんは見たくないよ。二宮さんは厳しいけど、いろいろ決めてくれて頼もしいよ。明るい人だから、私もそんな人になりたいって思うよ」


 宇音が人って言ってる所に引っかかってしまうが、逆を言えば僕がプロデューサーなのに全部杏子に任せっきりって言う事だ。アイドルに運営を任せるなんて、本当に何をやってるんだろう?


「あんまりそれ以上は言わないでほしいな。確かに僕は悩みすぎなのかもしれない」

「もうちょっとふんわり考えたらどうかな?」

「ふんわり、か。っていうか宇音からアドバイスを受けるなんて……」

「私は直之さんの事が好きだから、よく直之さんに近付いているけど、近づいているのは体だけじゃない。心も近づけているんだよ」

「宇音……」


 それはありがたい。宇音が僕にアドバイスするのは意外だが、折角家にいてくれるんだったら宇音に相談するのもありかも。


「明日からも、頑張ろうね」

「ああ」


 こう言って宇音は僕の元に飛び込んでくるのだが、今日は宇音を突き放すなどしなかった。


********


 杏子の態度について他のアイドルはどうかと言うと、やはり彼女が苦手なアイドルは他にもいた。


「はあー! 久しぶりに運動した!」

「杏子、久しぶりに運動って……」

「はあっ、センマイコーヒーに用事があって、会社からここまで走って来た」

「結構遠いだろ」

「ここまで走って十分だよ」

「そんなもんか」


 しかし、よくここまで走って来るよな。


「さあ、練習しようか!」


 今日の杏子は張り切り過ぎている。


「二宮さん、張り切りすぎ」

「はあー、ついて行くのに大変なんだけど!」


 海音と結香は杏子についていけてなかった。


「大体、まだ人集めなんかやってるの? もういい加減諦めて、いろんな曲を踊ろうよ!」


 結香も張り切ってないか。僕が結香の曲を作ってだけに、いろんな曲を踊りたいと言って来た。


 それでは、対する杏子の方を覗いてみよう。


「私の方は一人来てくれることになったの」

「あまり力になれなくてすみません」

「いや、それはいいよ。お疲れ様。それで、今は十一人か。あとヒロイックの社員にも声は掛けてあるわ。他に、どこだっけ?」

「それくらいじゃないかしら」

「難しいなあ、人集め、誰か集め方を教えてよ」


 と言うところで杏子と目が合ってしまった。


「直之さんは知り合いとかいないの?」

「いないよ」

「はあ、もう使えないわね」

「使えないってなんなんですか?」

「ごめんなさい。言い方が悪すぎたわね。学生の時の友達とかそんな人でいいの。いないのかな?」

「あ、親にライブのお誘いしたことがなかった。今度聞いてみる」

「返事待ってるよ!」


 杏子には急かされるが、なんかこう観客を自分たちで集めていたら感動しないんじゃないか? と思う。


 思えば一番最初は観客も現在のアイドルの一部だけ。実質ゼロだった。今でもまだ会場の半分くらいしか観客が来ていない。


 だから身内に頼るのは仕方ないのだが、仕方なくないとしたらどのような方法になるのだろうか?


 ただ身内に声をかけても上手く行っていないと言うのが今の状況だ。


「二階堂さんが加わったからセンマイコーヒーからはお客さんが来るようになった」

「二階堂さん効果だったのね」

「二階堂さん、かっこいい方だったから無理もないですね」


 その時、杏子が高速で哲子の方を振り返るが哲子は気付いていない。


「あら? 二宮さん、二階堂さんの事どう思ってる?」

「それは……その……」


 話がちょっと別の方向へ行き出したため僕はそこを離れた。


 今、一つ疑問に思っているのが、もし目的を達成したら啓子たちは辞めてしまうのではないかと言う事だ。前、ホールの求人を出されたりしていたし。


 PVの収録が終わったので結香と海音を練習に合流させる。運営方針についてアイドルの間で若干違いがある中で上手くやっていけるのだろうか心配だ。


 僕は結香に声をかけて練習場所へ入った。そう言う不安もあるので、これからはなるべく練習場所に入ろうと思う。


 そして僕らはライブまでの間に新曲『Tetsuko』を発表できるように練習した。


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