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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第三章 飛躍するアイドルたち
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第24話 Look At Me More


「直之さーん!」


 僕が練習場所にいると、杏子がこちらにやってきた。それにしても僕を呼んでいるがとんでもない大声だな。元から声大きいのに。


「次のライブが決定しました」

「決めたのか」

「うん、三月の終わりにしようと思う。今度こそ満員にしてみせるから」

「期待してるよ」


 杏子は啓子の与えた目標を達成しようと頑張っている。僕も作曲を頑張ろうと思う。そう思って僕はパソコンのある部屋に向かおうとした。


「あと!」


 そうしたら、また大声で杏子に止められてしまった。


「はい?」

「直之さん作曲してるの?」

「あ、いや、その」

「作曲してるでしょ?」

「あ、な、何で分かったの?」

「見れば分かるよ。そう言う話も聞いてるし。画面に楽譜が映ってたし」


 え? しまった! それは見つかるよな。


「事前に言ってくれればいいのに」

「いや、二階堂さんが作曲禁止していたからさ」

「禁止じゃなくて、直之さん作曲に慣れてないから無理をするなって……」


 そ、それでは僕は作曲が下手だと言う事ではないか。まあ、作曲が上手でないのは分かっている。でも他人に言われるとやっぱりショックだ。


「二階堂さんは禁止してないから。一緒に報告しよう」

「わ、分かった」


 隠れてやっていたこともあるから二階堂さんにはあまり報告したくないんだけどな。


「絶対満員にして見せるんだから」


 僕の隣にそんな事を言っている杏子がいる。だが、大みそかライブの時は会場の半分も満たされていないのだった。満員への道のりはまだまだ厳しい。


「満員にできそうなのか」


 僕は杏子に聞いた。杏子のその意気込みは届くのだろうか。


「村原さんと華南さんは観客になってくれそうな人を集めてるみたいだけど、上手く行ってないみたい」

「うーん、難しいなあ」


 そちらも上手くいっていないようなら、やっぱり満員にするなんて無理なのかな?


「曲が出来たら私に聴かせて」


 杏子は僕にそう言った。それにしても、杏子に黙って作った曲なのに、見つかってしまうとは。


********


 結香は練習場所で個人練習をしていた。


「直くん、練習終わったら学校行ってくるね」

「何かあるのか」


 結香は最近、冬休みに入ったばかりだ。どうして学校へ行くのかな?


「最近予定が入ることが多いからかぶらないかどうか見に行こうと思って。どのくらいここへ来れるか知りたいから」

「うん、助かるよ」


 結香がこうやって気を使ってくれるのは一番助かる。それとは別に言わないといけない事がある。


「結香。曲を少し作り直したからまたでいいから聴いてくれないかな?」

「え? 今でもいいよ」

「ああ、ちょっと待ってて。取りに行ってくるから」


 それならちょうどいい。曲のデータは他の部屋にあったので、取りに行こうとしたら結香がついてきた。


「ちょっと。どこよ」

「この部屋だ」


 僕は結香にデータを渡したら「予定を確認だけしたら帰ってくる!」とだけ言い残してさっさと行ってしまった。


「ったく……。結香のやつ。データが無くなったじゃないか」


 結香以外にも海音や杏子にも聴かせなきゃいけないのに……。それからは作業や練習の様子を観察しながら結香の帰りを待った。


********


 結香が帰って来た後、感想を聞いた、いや、聞かされた。


「前とあまり変わってないんじゃない?」

「そうかな」

「本当に少しだけ変わってるけど」


 結香は何か不満そうなので編曲失敗したのかな。


「前の方がよかった?」

「前のよりはマシだけど」

「マシっていうなよ」

「あれはひどかった」

「ひどいって言うな」


 結香と来たら……。口さえ悪くなければいい子なんだけどな。


「タイトルも付いてるね。『Look At Me More』だって。どう言う意味?」

「結香のよく言ってる『もっと私を見て』の英語読み」

「馬鹿にしてるのかな?」

「いやいやとんでもない。よく結香が言っているから結香らしさが出るのかなと思って」

「……私が何でそう言う事を言うか分かってないでしょ?」

「注目されたいの?」

「いや、そのままの意味よ」

「そのままかい!」


 『もっと私を見て』か、絶対に注目されたいんだと思うよ。この人は。


「次にも聴かせないといけない人がいる。返して」

「分かったわよ。次って海音ちゃん?」

「当たり! でも杏子にも聴かせる」

「でも二宮さんにはまだ言ってないよ!」

「大丈夫! もうばっちりばれてるから」

「うそ!?」

「いや、これだけ堂々とやってたらばれるから」

「それで、許してくれたの?」

「うん、二階堂さんも作曲禁止とは言ってなかったし」

「よかった~」


 結香は安堵した顔でこちらを見た。あと少し。あと少しでこの曲も完成する。


「というわけで、海音の所へ行くから」

「あ! あたしも連れて行ってくれないかな?」

「一人で行こうと思ったんだけど」

「それはダメ、ほら、早く行くよ!」


 結香に背中を押されながら僕は海音の元へ向かった。そして、僕達は保管倉庫の西の部屋に行って海音に曲を聴かせた。


「いいですね、良くなってる」

「ありがとう」

「結香はあまり変わってないとかいうけど」

「結香ちゃん、こう言う曲、好きだから、そう思うんじゃ、ないかな」

「前も言っていたね」

「結香ちゃん、何か、聴いてて、楽しそう、だった」


「そうかなあ?」

「私には、そう見える」


 海音には結香も見えていない部分も見えているのだろうか?


「あたしもね、直くんがあたしのために曲を作ってくれたのは嬉しいの」

「そうだったんだー。私も、作ってほしいな」

「海音ちゃんには『GARDEN CALL』があるでしょ?」


 『GARDEN CALL』は海音のために書いた曲ではない。でも海音から連想しているから間違いではないな。


「直くん、あたしはまた練習してくるね」


 結香は元気よく走り出していった。まあ、元気になって良かったんじゃないか。


********


 僕は、最後に曲を聴いてもらおうと杏子のもとへ向かった。


「杏子は練習場所にいるから……っと」


 僕は練習場所に入ろうとしたら若奈とぶつかりそうになった。


「うわっ!」

「申し訳ありません!」

「若奈、すまない! ちょっと浮かれててよそ見してた」

「こちらこそ……そのCDは何でしょうか?」

「あ、これは杏子に聴かせようと思って持って来た曲だ」

「私も聴きたいです」

「聴く?」

「はい」


 こうして、若奈にも聴いてもらうことになった。僕と若奈は練習場所に入るが、杏子は最近厳しいから、何て言われるだろうかと緊張した。


「杏子、曲が出来たよ!」

「あ、もう出来てたのね」

「早速聴きたいんだけど」

「ちょっと待ってて、確認したところがあるから」


 しばらく待つと、杏子と一緒にCDの聴けるPCのある部屋へ移動した。


「直之さんはデータで持って来てるのね」

「そうだけど」

「音源にしたら、練習場所のCDでも聴けるのにと思って」

「ごめん、忘れてた。次回からは音源にして持ってくるよ」


 曲を聴いている間、杏子は真剣な顔をしていて、何を言われるかと緊張していた。曲が終わって杏子は感想を言った。


「私はこれ、いいと思う。北原さん、喜んでた?」

「び、微妙だなあ。作ってくれてありがとうとは言ってたけど」

「煮え切らない返事」


 杏子は細い目でこっちを見ながら言った。もっとしっかりした感想言えよ! と、そう言われているような気もした。


「若奈はどう思う?」

「宜しいのではないですか? 曲のイメージも北原さんに合っていると思います」

「そう思うの?」

「はい」

「海音もそう言ってるんだけど」

「宜しいことではないですか」


 やっぱり、結香のイメージと会っているようだ。


「よかった。だったらこれは採用してもいいかな」

「それは直之さんで決めて、私も二階堂さんも反対はしないから」


 この返事は僕にとって意外だった。今までは杏子がスケジュールを組んでいたので採用される曲も杏子が決めていた。なので、勝手に決まっていたこともあったが、今回、使用許可は僕が出さなければならない。あまりに急だったので翌日返事をすることにした。

ちなみに採用するなら二階堂さんに挨拶しないといけない。


「直之さん、今回は会場を満員で出来るようにがんばりましょう!」

「あ、ああ」


 杏子の観客に賭ける意気込みはすごいものだった。


「練習も終わりだな。そろそろ帰るか」

「はい」


 若奈は帰る支度をし始めたが、杏子はもう少しやることがあるようだ。


「見つかってましたね」

「作曲の事か、僕の不注意だけど、あれだけ堂々とやると見つかるか」

「私は後の方になって気付いたのですが。やはり二宮さんはその辺りが鋭いですね」

「そうだな」

「それで、この曲は採用するのですか?」

「一晩、考えてみるよ」

「はい。聡明な返事をお待ちしております」

「ん? それは杏子のセリフな感じがしますが」

「私も気にはなるものです。バス停はこちらなので、失礼致します」


 何で若奈が結香の曲の心配をしなければならないんだ? それは不思議に思ったが、一晩考えておこう。

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