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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第三章 飛躍するアイドルたち
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第23話 乗せて帰ろう

 結香の曲は作ることが出来た。まだその曲をどう発表していくかが決まってないので今日は通常の練習をしている。


 僕が練習場所を覗くと休み時間だった。僕と目があった若奈はこちらにやって来た。


「吉田さん、ちょっとお時間宜しいですか?」

「何だ? 若奈」

「相談ですが」

「どうしたの?」

「私は時間がなくて家でもダンスの練習をしているのですが、母に注意されるようになってしまいました。これでは家でなかなか練習ができません。そこで最近は練習に毎日参加するようになりました」

「そう言えば、最近よく来てたと思ったよ。でも、いつも遅くなるから大変じゃないか?」

「いえいえ、御心配は要りません。それに、到着も夜の八時頃なので大丈夫です」

「でも夜は危ないから駅まで乗せていこうか?」

「宜しいですか? 申し訳ありません」


 若奈は深々と頭を下げる。その日、僕は若奈を駅まで乗せて行ったのだが……。


********


「直くん、昨日大和さんと一緒に帰っていたよね? 何かあった?」

「いや、何も」

「何も無いわけないじゃない! ほら! 説明して!」


 翌日、僕は結香に捕まってしまった。若奈と一緒にいた事について説明を求められ困っている。すると、後ろから若奈の声が聞こえてきた。


「吉田さんが駅まで乗せて行って下さるのでお願いしているだけです」

「大和さん、何で直くんを頼ってるの?」

「はい。いつも遅くなるからと、私はお断りしたのですが、吉田さんが乗せて行くと仰るのでお願いしました」

「直くんも忙しいんだから、バスで帰ればいいじゃない!」

「そうですよね、申し訳ありません」


 結香はそう言ったきりどこかへ行ってしまった。若奈は結香の言う事に関して納得したようだ。僕は若奈が心配だから送って行こうかと言っている。別に忙しくはないんだが……。


 でも本当に若奈は結香の言い分に納得したのだろうか?


「結香はああ言ってるけど、大和さんはあまり遅くなると親が心配しそうだから、早く返した方がいいかなと思って……」

「お気遣い、ありがとうございます。嬉しいです」


 若奈はそう言いつつ、明るい顔でこちらを見つめていた。


「だったら早く帰れば良いと思いますが、申し訳ありません。これからも駅まで送って頂けますか?」

「分かったけど、結香の言う事は?」

「ごもっともですけど、気にしていないです」


 気にしてないのか。ひょっとして、若奈は気の強い女性なのかもしれない。


「今日もよろしくお願いします」

「えー!? 一緒に帰るの!?」

「まだいたのか?」


 その時、後ろから結香の声が聞こえてきた。どこか行ったんじゃないのか?いつ戻って来たんだよ。


「いたよ! あなたたちからちょっと離れてたけど。戻ってきたらあたしが無視されてた」

「無視って言うなよ」

「だって、直くんと一緒に帰るんでしょ?」

「はい、折角乗せて下さると仰っているのですから乗せて貰わないと申し訳ないと思いまして……」


 若奈はそう結香に説明した。乗らないと申し訳ない。いい子だ。


「別にそんな遠慮しなくていいのよ! 改めて言うけど、バスで帰りなさいよ」

「結香、そんなに僕と若奈が一緒に帰るのが行けないの?」


 僕は思い切って聞いた。なぜ結香は僕と若奈が一緒に帰ることを阻止するのか。何か理由あるのか?


「え? いや、だって直くんも遅くまで仕事をして疲れてるんじゃないの?」

「いや、若奈を乗せて行く体力だけは残っている」


 その間に宇音を乗せて帰るというイベントがあるが。


「いや、無理しなくていいから」

「吉田さんも行けると言っているんですからいいじゃないですか」


 いつも丁寧な物言いをする若奈がこんな言い方をするなんて……。見た目では分からないけど、もしかして怒っているのかな? 感情の変化が分かりにくい若奈だが、結香の理不尽な言い方には誰でも怒りたくなるよな。


「それとも、北原さんも一緒に送って行って貰うというのは如何でしょうか?」

「ううう……」


 結香は突然唸り始めた。


「あ、あたしは学校にも行かないといけないから、直くんに送って行って貰うのは悪いし……」

「すみません、そうでした」


 若奈は言ったことを反省しているようだ。


「すみません、少し取り乱してしまいました」


 若奈が感情的になるのは珍しい事だが。


「学校があるからね。あたしも直くんとは出来るだけ長くいたいんだけれども」

「そうなのか?」

「分からないの? 直くんがあまりにも有浦さんと一緒にいるから、あたしの入る場所がないじゃない」

「宇音の方から来るんだよ」

「あたしがずっと直くんにくっついていればいいのか」

「それは暑苦しいからやめて」

「あ、な、何を言ってんのよ! 暑苦しいって」


 ずっとくっついているのは暑苦しんだもん。ただ、宇音も常にくっついて来ている。

実際、今は結香に腕を取られているわけで……。


「北原さんは吉田さんの事が大好きですね」

「え!?」

「な、なによ急に!」


 僕の腕に当たっている結香の顔が熱くなっていく。


「見ていて微笑ましいです」

「全然楽しくないんですけどー!」


 結香の顔はさらに熱くなっていく。


********


 こうして、若奈を送って行こうとは思ったのだが、そんなに遅くまでやらせるのは申し訳ないな。他のアイドルと同じく夕方で帰ってもらおう。これなら若奈も一人で帰れるだろう。


「若奈、もう遅くまで練習しなくていいから、その代わり練習の時に頑張ろう。普段から頑張ってるとは思うけど」

「頑張ります」


 若奈はあまり表情が無いのだが自分の胸の前で両手を握りしめる。


「吉田さんに送って頂けないのは残念ですが」


 若奈はそう僕の耳元で呟いて去った。何か悪い事をしてしまったな。


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