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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第二章 大みそかライブへ向かって(夏~年末まで)
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第19話-4.初詣へ行こう

 ライブ終了後に辺りを見回すと、結香と哲子は舞台裏で泣きながら抱き合っていた。


「結香ちゃ~ん!」

「哲子さん!」


 いいなあ、こういうの。やっぱりアイドルのライブはこうでなくちゃ。


「吉田さん、ちょっといいかしら?」


 突然、啓子はそう言って僕の前を強引に横切って哲子の方へ行った。それにしても危ないな。ぶつかるかと思った。


「哲子! お疲れ様」

「村原先輩!」


 啓子は哲子の所まで行って抱きついた。その反動で結香ははじき出されてこちらに向かって来た。ってかこっちに来るのかよ。


「直く~ん!」

「結香、ちょっと、やめろ」


 結香は僕に抱きついてきた。何でこうなるんだよ。この状況をどうすればいいんだ?


 とりあえず僕は結香の体を押し出してみた。


「ちょっと! 何するのよ!」

「結香、離れてくれ! 恥ずかしい!」

「やだ! もう少しこうしていたい!」


 と言って、結香は僕を抱きしめる力を強めた。僕は抵抗が出来なくなって結香に抱かれたままになってしまった。


「みなさーん! 控室で打ち上げしますよ!」


 タイミングの悪いことに、杏子が呼びに来た。


「な、直之さん!?」

「あ、これは、その……」

「後で来て下さいね!」


 抱き合っている僕にセリフを吐き捨てるようにして杏子は走って控室へ向かった。


「結香、一体どうしてくれるんだよ」

「どうもこうもしなくて、早く行こう!」


 結香はさっと僕から離れてとっとと控室へ行ってしまった。


********


 控室に着いたら杏子が僕を案内してきた。


「あ、来た来た。直之さん、さあ、真ん中へ」


 僕は杏子に案内された真ん中の席へ座る。良くみんなの顔が見えてなんだか照れる。


「それでは、プロデューサーの直之さんから挨拶を! あまり時間もないから早くしてね」


 杏子から挨拶を任された上に、せかされる。いや、挨拶はそんな一瞬で思いつくものじゃないが。


「あの、みなさん、お疲れさまでした! カンパーイ!」


 と、これくらいしか思いつかなかった。


 改めて席に着くと正面にいる結香が頬杖をついてじとーっとこちらを見ていた。


「直之さん、急がせてごめんなさい」

「ああ、この後初詣があるからな」

「はい。此処にも長く居られないしね。さらっと食べたら出ましょう」

「そうだな」


 何か物を食べるような場所ではなさそうだからな。その後、すぐに帰るようになるのかな?


 早速僕と杏子は今日の戦果を振りかえる。


「今日はお客さんが多くて良かった」

「杏子はいつも心配しているもんな」

「するよ。最初は十人くらいしか入っていなくて悔しかった」

「最初? 最初は四人だけど」

「え!?」


 杏子はビックリしてこちらを見てるけど、最初は四人だ。


「ほら、最初にホールを使ったのは」

「あ、そうだった、あの時は凄く緊張してて、ライブって感じはしなかった」

「あたしもそこでライブを観たね」


 そう言えば、結香も観客として来てくれた。


「抜き打ちライブもやったね」

「そうだな、杏子の思い付きだったけど」

「思いついちゃった」

「あと、ライブと言えば」

「ゲリラライブもやったね」

「本当にあの時は申し訳ありませんでした」


 若奈が深く頭を下げたが、あまり空気は変わらなかった。


「大和さんが悪いわけじゃないわ。家の仕事も大変だったのに良く踊るわよね」

「空き時間に練習をしていましたから」


 啓子のセリフに若奈はそう答える。よく空き時間に練習すると思う。僕は家に帰ったら好きな事をしていたぞ。アイドルを作るまでは。


「私は家に帰ったら踊る気力なんてないのに」


 それが普通なのだと啓子は言う。


「あたしも最初のうちはそうだった」

「結香はするようになったな」


 結香は最初やる気がなかったが、杏子と衝突してからは家で毎日練習しているらしい。


「悔しかったから」


 結香は下を向いて答えた。それは本当に悔しそうな顔をしていた。今でも悔しいのか?


「だから、今日は楽しかった」

「今日はお客さんが多かったよね。私はびっくりした」


 杏子はそう言う。そして話を続ける。


「直之さん、そういえば本番前に話したこと覚えてる? 私の仕事先で作曲してくれる人が現れたって」

「うん、何か言ってたな」

「今日、その人がこの会場に来てたようなんだけど」

「来てたの?」

「ちゃんと来たのかな?」

「そう言う人なの?」

「うん、ちょっと癖が強いって言うか、協力してもらうにも苦労したよ」

「えー? 僕は来年、見学に行くんだけど大丈夫かなあ?」


 癖が強い? どんな人なんだろう?


「でも、協力してくれるんだからいいと思う」

「吉田さん、良かったですね。何を協力するんでしょか」


 織田さんはそう言うが、さっきから左手でずっと緑の頭を撫でている。ペットみたいだ。


「作曲です」

「それじゃあ少しは楽になりそうですね」


 杏子の答えに織田さんはそう言うが、


「それだったら他の事に注力できそうだ」


 僕は次にできそうなことを探したい。


********


 ライブハウスから出ると、初詣に行く人だけが残るようになった。


「俺と緑はこれで帰ります」

「はい、織田さん、今年も一年ありがとうございました」


 緑も横でお辞儀していた。


「こちらこそありがとうございました」


 僕達は車数台に分かれて神社へ向かった。


 待ち合わせは神社の鳥居の前だ。ちょっと早いが、早くいかないと渋滞するから今から行く。


********


「みんな、そろったね!」


 杏子が確認してからみんな揃ったようなので初詣に行く。


「明けましておめでとう」


 僕は一緒の車で来た真凛、宇音、海音に挨拶する。


「明けましておめでとうございます」

「明けましておめでとう、直之さん」

「明けましておめでとう、ございます」


「今年はどんな年になるか……」

「あ、直之さん! おみくじ!」


 宇音が僕の手を引っ張る。


「ちょっと良くないみたいだね」


 宇音は引いたくじを見ながら戻る。海音が宇音の方を睨みつけている。海音はいつから宇音が嫌いになったんだろう。


「さあさあ」


 宇音はまた僕の手を引っ張りながら拝殿まで移動する。


 今年はどんな一年になるのだろうか、『カフェファクト』がさらに有名になることを祈る。


「直之さんとずっと一緒にいられますように」


 何か聞こえてきた。まあ、いつもの事なんだけど。


「宇音、何をお願いしてたんだ?」


 僕が聞くと宇音にキスされた。


「直之さん、聞いてたでしょ?」

「うん、ばっちりな」

「さあ、帰りましょ」


 宇音はさっさと歩いて行った。僕はそれについていく。


「何か納得いかないなあ」


 宇音はそう言って歩いている。僕はそれについていくが宇音が速すぎてばてそうだ。


********


 ヒロイックに到着した。僕は衣装やラジカセを資料室に置いて、海音を送って行った。


「海音、おやすみ、良いお年を」

「よいお年を」


 海音は部屋の中に入って行った。続いて真凛を送って行って、僕と宇音は二人きりになった。


 宇音は予想通り僕にくっついてきた。「運転中だから危ない!」と、じゃれるのを押し切ったが、「直之さん、構ってよ!」と言われてしまう。


 今年もこんな調子で一年経つんだろうな?

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