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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第二章 大みそかライブへ向かって(夏~年末まで)
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第19話-1.大みそかライブのリハーサル

 結香がまた遅刻してきたもののこれでみんな揃った。僕は遠巻きに練習を見ようと思ったら、結香に横腹を突かれた。


「直くん?」

「何? 結香」

「公園で何をするの?」


 僕達は元いた公園から移動して緑の家へ向かっている。


「これから屋内に入って練習だ」

「屋内ってどこよ」

「あそこにあるだろ」


 僕がそう言って緑の家を指差す。結香はそれが見えた時、歩みを止めた。


「ここって!」

「緑の家だ、今日の練習はここでする。本番前だからすぐ終わるけど」


 僕がインターホンを押すと家の中から織田さんが出てきた。織田さんはよくここにいるからもう何も思わない。


「おはようございます」

「織田さん、朝早くからすみません」


 ここを最後の練習にしたいと織田さんに言ったらOKしてくれた。


「さあさ、こちらへ」と織田さんに案内されて僕とアイドル達は玄関を通過してリビングへ集合した。九人並んでみると圧巻……ではなく、窮屈そうだった。



「ちょっと、あっち行ってよ」

「無理、これ以上行けない」

「ちょっと有浦さん、あなたが大きすぎるからよ」

「そんな仕方がないことを言わないでよ!」


 当然アイドル達は揉めている。ただ、一番騒いでいるのは結香だった。


「直くん! なんでこんな狭いところで練習しなきゃいけないのよ!」

「仕方なかったんだよ。大みそかでいつもの練習場所が閉まってて取れなくてさ」

「それでもちょっとは広い場所があったじゃない!」

「大和旅館とかも考えたんだけど大みそかで取れなかったし、工場内もできる場所がありそうだけど、ほとんどの場所が入れないし」


 工場内には自動で扉が開く場所もあり、鍵も大体上司に許可をもらって借りないといけないので出来れば避けたかった。


「そうなるとここしかないと思って、ほら、資料室の荷物を持って行くことになるからここが便利だと思ったんだけど、予想以上に狭いな」


 僕が結香に説明している間もアイドル同士、互いの体を外へ押しのけている。


「吉田さん、こんな状態で踊れるのですか?」

「机を避けた方がいいですね」


 真凛の疑問と若奈の助言を受け、僕と織田さんは机を避け、アイドル達の間隔を広げた。

これでアイドル達の窮屈さもないはずだ。


「これだったら大丈夫そうよ」


 結香がそう言うので僕はOKを出した。


 その後、一通り曲を通してみたらOKだった。あまり気になる所はないから、あとは本番に臨むだけだ。


 次に机を元の位置に戻して昼食を食べたのだが、やっぱり窮屈だった。


「あ、これ、紅藤さんが作ったの?」

「そうですよ」


 結香の質問に織田さんが答えた。それを聞くと僕は最初緑が来たときに弁当を分け与えていたことを思い出した。料理が作れるとは、緑も成長したな。僕は緑をチラッと見てみた。すると、近くにいた宇音が目に入る。宇音はテーブルに置いてある天ぷらを食べているが、体が大きいからか体勢が窮屈そうだ。宇音が僕の視線に気付いてこちらを向いて微笑んだ。


「吉田さん、どうしたのですか?」

「いや、何でもないです」

「どうせ有浦さんの事でしょう? いっつもこんな感じなんでしょ?」

「いや、それは……」


 僕は哲子や結香の質問にそれ以上言えなかった。家に帰ると宇音に毎晩抱きつかれて、なかなか思い通りに動けないのだ。しかしそれを言ってしまったら結香は暴れ出してしまうだろう。だからこの場では口が裂けても言えない。


「どうしたのよ?」


 だけど結香はしつこく聞いてくる。結香が暴れるから言わないんだが。


「ほら、結香も天ぷら食べれば?」

「話を変えた! いっつもこんな感じなのね!」

「は、はい」


 僕は結香に返事をしてしまった。


********


 それからというものの、食事中は結香にずっと突っ込まれていた訳だが、思ったより早く昼食時間が終わった。これで結香から解放される。早く荷物を取りに行こう。


 僕と杏子は資料室に荷物を取りに行ったが、人数が足りない。すると、道中で哲子と海音を発見した。


「哲子、海音、今いいかな?」

「いいですよ。なんですか?」

「はい」

「ちょっと資料室に荷物を取りに行きたいんだけど、手伝ってくれるかな?」


 二人から返事をもらい早速資料室へ向かった。


「CDは持ってる。杏子はそこの衣装と小物、哲子はこっちのフライヤーを持ってくれないかな?」

「ああ、これね」

「はい、分かりました」


 杏子と哲子は荷物を取りながら返事をした。


「それで、海音は、はい」


 海音には直接ラジカセを渡した。何故か海音にはラジカセが似合う。


「直之さん、行くよ」


 そう言うことを考えていたら、杏子から声が掛かった。海音に見惚れている場合ではない。僕は資料室を出て準備を急いだ。


 別々に行く杏子と哲子からは別れて海音と車に向かった。僕は海音からラジカセを預かり、トランクへ乗せた。


「あ、直之さん、来た!」

「行きましょう」


 公園前の駐車場に着くと宇音と真凛が車の前で待っていた。二人にしては珍しく話をしていなかった。


「行こう」


 僕は海音と一緒に車に乗った。あとは宇音と真凛。四人で会場に向かった。今日は誰も話そうとしない。緊張してるのかな?


********


 僕達は会場に着いた。会場に着いたら先回りしていた啓子から控室側から入るように言われたのでみんなで控室に向かう。


 僕達は控室で杏子達と合流すると、真凛がお菓子を配り始めた。


「吉田さんもどうぞ」

「ありがとう。自分で買いに行ったのか?」

「はい、歩く練習がしたかったので」


 最近、真凛は歩く練習をしている元々人魚の真凛。足が生える訳ではないが、正体を隠すためにも上手く歩けるようにならないといけない。


「そういえば杏子、結香たちはもう準備してるのかな?」

「ここにいないってことは、そうね」


 僕は会場にいる啓子と結香の様子を見に行った。彼女達は受付の準備をしていた。


「準備は順調?」

「あ、直くん。順調だよ」

「吉田さん、いい所に来た。机動かすの手伝って」

「え?」

「この机を動かしたいの」

「はい」


 どうやら僕は啓子に捕まったようだ。仕方がないので僕は机を啓子と一緒に動かした。


「お待たせしました!」

「哲子! ありがとう」


 哲子はフライヤーを持って来た。


「あ、吉田さん、フライヤーはここですね」

「うん」


 哲子はフライヤーを机に置いた。今回はワインレッドのフライヤー。なんかお洒落でいい感じだ。おっと、こう言う事をしている場合ではない。


「あのー、僕はそろそろいいかな? やらないといけないことがあるし」

「そうね。哲子も来たし。今はいいわ、ありがとう」

「分かりました」


あら、また敬語が出てしまった。敬語は使わないように気を付けてるんだけど、啓子だと思うとつい出てしまう。もう癖になっているな。


 僕は観客が入る前の会場へ移動してフライヤーのサンプル、来年やりたいことのメモ、アイドル達のデータ、そう言ったものに目を通ししていたら杏子がやって来た。


「直之さん?」

「杏子」

「直之さん、忙しそう」

「みんなは?」

「一応自由時間」

「杏子は何でここに来たの?」

「お知らせがあります」


 杏子は急に改まった。そう、こんな時の杏子は何かしらの重大発表をするのだ。


「私の元の仕事先で作曲してくれる人が現れました」

「本当?」


 僕はびっくりしたが、作曲をしてくれる人がいるって言う事は僕ももっと効率よく作業が出来るようになるかもしれない。でも、本当に信用できるのか。それを見極めたいので、僕は杏子にこう尋ねた。


「どんな人なの?」

「真面目に仕事してくれるから。作曲を引き受けた以上はやってくれる人だから心配しないで」

「わかった」


 杏子の言ったことを信じていいんだな?


「どうしても気になるなら、私の元の職場を見学しますか? 上司と交渉しないといけないけど」

「……行こうか」


 別にそこまでする必要はないけど、杏子の職場がどんなところかは興味があった。


「直之さん、あと来年はまだライブは未定にしておくね」

「何かあったのか?」

「うーん。ちょっと基礎練習がしたいかな。今まで忙しかったから、しばらくの間ゆっくり練習して個々の力を伸ばしたいって思ってる」

「それでいいんじゃないか?」

「いいんだけどね。早く日程を決めなくちゃ! って思ってたんだけど、なかなか決まらなかったから」


 杏子は複雑な表情で話すので、何かいろいろあったとは感じている。


「そろそろ時間か。私は準備するね」


 杏子はさっと立ち上がり、他のアイドルの所へ向かっていった。

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