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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第二章 大みそかライブへ向かって(夏~年末まで)
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第15話-2.目を合わせてPARTY NIGHT

 後日、宇音の服を回収しに浅田さんの元を訪れると、結香と浅田さんが談笑していた。


「それでさあ、直くんったら全然泳げなくてさあ、二宮さんに泳ぎで潰されちゃって」

「そうなのー?」

「おい、人の悪口言って盛り上がるなよ」

「あ、直くん、聞いてた、ごめん」

「ごめんじゃねーよ。何でここにいるんだよ」

「海音ちゃんのアップデートについて話してた」

「嘘つけ!」

「最初はそうだったよー。海音ちゃんの事が気になって私に聞きに来たんだよねー」

「うん」


 そうなのか? まあ、信じないけど。


「じゃあ、服だけ取ったら帰るよ」


 と、僕は服だけ回収して帰った。何だよもう。人の気にしてる事を話すなよ。


 なんだか気分が悪い。作曲でもして帰ろうか? 宇音は公園に置いて来ているけど。


 自分のパソコンを置いているので資料室に来た。作曲をしようとパソコンを立ち上げたが、何も浮かんでこない。


 作曲は諦めて、家に帰ろうとしたが、最悪な事が起きた。


「あ、直くん、見つけた」

「見つけたじゃねーよ」

「まだ怒ってるの? 本当にごめんなさい!」


 結香が頭を下げている。どうやら本気で謝っているようだ。結香は時々失礼な事を言うが、こういう事が出来るから嫌いではない。だったら、あの事を聞こう。


「で、海音のアップデートが何だって?」

「あたしも立ち会う事になったの」

「え? また、どうして」

「一応、IT系の学科へ通ってるから、直くんよりは詳しいよ」

「一言余計だ」

「まあまあ、それが水曜日にあるから」

「明後日か」

「そう、あたし、がんばるよ! 海音ちゃんを立派にするから!」

「あ、ああっ……!」


 結香が去ろうとしたが、言い忘れたことがあるので、僕が声をかけて止めた。


「ん? 何? 直くん」

「もしよければ、海音の足のステップがもつれそうになること、横歩きとかで。それも考慮してくれないかな」

「分かったよ。なんとかしてみる」


 結香は今度こそ去った。それにしても、今の結香は頼もしかった。大学へ行って結香も大人になったな。


 僕も自分の事をやらなければと思って資料室に戻ってもよいメロディーが浮かばなかったので帰るしかないのだが。


 あ、そうか。前は海音の目の前で曲を作ったな。だったら哲子の目の前で作ればいいんだ。


********


 そのために僕がしたことは、エブリディフィットネスの一室を借り上げ、哲子と一緒に曲を作るというものだった。


「あんまり変なことはしないでね」


 そして、当然啓子もいた。むしろ啓子は点検係として残っていた方がいい。


「分かりました。啓子さんにも協力してほしいけどいいですか」

「え? 何をすればいいの?」

「出来た曲や歌詞をチェックしてほしいんです。啓子さんの感覚でいいか悪いかでいいから」

「明らかにおかしいことがあれば言うけど、そんなこと哲子に聞いた方がいいんじゃない?」

「はい、明らかに違ったら突っ込んでくれればいいです」

「突っ込めばいいのね。分かった」


 啓子がまた真剣な目をしてこちらを見ている。相変わらず怖い。


 哲子があまり音楽に詳しくないため、僕がなんとなく考えたものを、哲子にこれでいいか確認を取って、おかしい所があれば啓子に修正してもらいながら作業を進めて行った。


 だが、


「直之さん、ちょっといいですか?」


 突然、杏子がやって来た。そして見れば分かるように彼女は怒っていた。ただ、僕は怒られるようなことはしていない。何で?


「直之さん、最近アイドルの練習の参加率が少ないから、そう言う事は練習時間外でやってよ!」

「え?」

「私たちもしっかり練習して、いいステージにしたいの。だから折角来たアイドルを連れて行くのはやめてくれない!?」


 杏子は僕の顔を間近で睨みつける。こ、これは……。ここに連れてきたのが悪いというわけか。


「ごめん、勝手に僕が連れてきてしまった。謝るよ。続きは夕方ってことか? 残業しないといけないな」

「悪いけど、そうしてくれないかな?」


 杏子は優しい表情に変え、僕に理解を求める。そう言われたら僕はこう言うしかない。


「分かったよ。これからしばらくそうなりそうだけど、啓子も哲子もいいかな?」

「私は大丈夫ですよ」

「私もそれでいいけど、あまり遅くまではしたくないわね」

「一日一時間にします。それ以上はしません」


 僕はそう言って、これは自分への決意でもあるけど、これで、早めに作曲しようとした。


********


 杏子に言われたことを反省し、そこからは僕は一日一時間、練習が終わった後に作曲をした。


 それにしても杏子を怒らせると怖いな。ダンスが踊れなかった時の結香の気持ちが分からんでもない。


 ただ、そう言う事もあってか、時間はかかったがとてもいい曲が出来た。


 それが、「目を合わせてPARTY NIGHT」と言う曲である。幻覚か妄想かは知らないが、僕の目にはパーティー会場が映っている。そこで踊るパートナーは哲子で。僕は想いを伝えることができるのか?


 という、イメージの曲。


「なかなかやるじゃない」


 啓子はそう褒めてくる。


「改めてがんばります!」


 哲子はそう言うので嬉しい。


「さあ、この曲をいつからするかだ。次のライブまではあと二週間しかないから無理だ。じゃあ未定な次のライブまでに完成させようか」


 僕は結局その曲の発表を延期せざるを得なかった。じっくり練習して発表しなくちゃいけない。


********


 次の本番までに、まだすることがある。それは、海音の動作の確認だった。


「みんなごめん、日曜日に呼び出して」

「二宮さんがピリピリしてるからね」

「それはそれとして、今日は海音の動作を見てみようと思って」


 実は最近、練習をあまり見ていない。練習を邪魔するような感じがしてなかなか入れなかった。だから、今日は個別でどういう動きなのかを確認したかった。結香は付き添いで来ている。


「二宮さん、今日はいないね」

「ああ、今日はお店に販売の応援だって」

「うわぁ、本当に休みがないね」


 結香は驚いているが、杏子の場合は自分から率先して仕事を入れてるような感じがする。

それにしても、杏子の制服姿、一回見てみたいなあ。


「直くん、なにニヤニヤしてるの? 気持ち悪い」

「気持ち悪いはマジで落ち込むからやめて」

「だって気持ち悪いんだもん」

「じゃあ本題に入るとして……」

「ああっ! 流した! それについてコメントは無いの!?」

「ノーコメントで」


 僕が気持ち悪いことについて何でコメントしないといけないんだ。自覚してるのに……。


「ごめん、海音、待たせたな」

「こんにちは、早速、踊るの?」

「うん。踊る前に、アップデートしてからどう?」

「前より、声が、出るように、なったし、動きやすい」

「それはよかった。ちょっと、『GARDEN CALL』を踊ってみてくれるかな?」

「はい」


 返事した後に、海音は踊った。今日は足の動作の確認が主なので、歌については注目して聞いていない。足のもつれが解消して動きがスムーズになっていた。


 上出来だ! 僕は遠くにいる結香にOKサインを送った。結香はウインクして親指を立てた。


「海音、良かったよ」

「海音ちゃん、頑張った甲斐があったね」

「結香もありがとう。ちゃんと考えてくれたんだな」

「うん、業者の人にも、『足の動きを特にお願いします』とは伝えたよ」


 結香はちゃんとやってくれていた。僕の幼馴染みは実は頼もしい奴だった。


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