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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第二章 大みそかライブへ向かって(夏~年末まで)
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第14話.真凛のファッションショー

 九月、やっと暑さにひと段落つくような季節がやってきた。


「いや、外は暑いぞ」


 涼しいのは車の中だけだった。車はクーラーが聞いてるからそりゃ涼しいよな。


 今日は日曜日だが、着いた場所は会社……の、隣にある公園だ。


 あ! あれは、織田さんである。挨拶しなければ。


「織田さん!」


 返事がない。無視されてるようだ。何故無視する。


 まあ、織田さんには今は用事がないから無視されてもいい。今回は公園の見回りに来ただけだ。このように僕は公園を何かないか定期的に点検するパトロールしている。


 まずは僕が無視された原因が見えたような気がした。織田さんは緑と一緒だった。このツーショットは意外とよく見かける。だけど、織田さんと緑がなぜよく一緒にいるかが分からないから、あとで聞いてみよう。


 次に飛び込んできたのが緑の家。ここはまあ緑も外に出ているだろうからまあいいか。次は真凛の所か。早くも最終目的地だな。


「おはよう」

「おはようございます。いつもお疲れ様です」

「真凛、何も問題は無いかな?」

「はい。最近はあまり練習にも行けてなくて」

「ライブが終わった直後だからな」

「そうですよね。私の場合は水から上がるのが難しいからいけないんですが」

「それで来れなかったんだ」

「本当にごめんなさい。だから陸上で動く練習をしなければ、皆さんを困らせてしまいますよね」

「今はやってるの?」

「たまにですけどね。もっと本格的にやりたいから」


 真凛はそこで深呼吸をした。人魚らしい長い深呼吸の後で、彼女はこう言った。


「スカートが欲しいです」


 ん? スカートが欲しい? 歩く訓練と何の関係があるんだ?


「やっぱり陸上だと鰭が乾燥して辛いんですよ。歩く練習がしたいのに脚に力が入らなくなって……」

「なるほど、そりゃ辛いな」

「スカートは濡れてた方がもっと良いです」

「スカートを濡らすのか?」

「はい」


 それは受けが悪いかも、スカートを濡らさずに真凛の鰭を守るにはどうすればいいんだ?


「だったらさ、濡れたタオルを鰭に巻き付けて防水繊維を巻いてその上から履こうか」

「それでは、防水繊維だけでいいのでは?」

「スカートを履いたら人魚だという事が分からない。それは真凛も望んだことなんじゃないのか?」

「はい、忘れてました。吉田さんの考えているような衣装でいいですよ」

「だったら早速買い物へ行こうか? その前にちょっといいかな?」


 僕は公園を出て、スカートがなかったのでワンピースを借りてきた。


「これを着て」

「鰭を隠すためのものですね? わかりました」


 真凛のお出かけの支度もできた。早速行こうか?


********


 真凛を車に乗せて、ショッピングモールへ向かう。駐車場に着いたら僕は真凛を降ろすために、助手席の方へ回った。何故かというと真凛に車内の中で上手く歩けないから肩を貸してほしいと頼まれたからである。真凛は車から出てきたら僕の肩を持つ。


「ありがとうございます。買い物の間はずっと捕まっていますけど宜しいですか?」

「うん、そこは気にしないで」

「ありがとうございます。いつまでも吉田さんには迷惑をかけられませんので早く一人で歩けるようになりたいです」


 真凛はいい人だった。僕にあまり迷惑をかけたくないんだって。


「でも、宇音ちゃんが見ていたら怒りますよね、うふふっ」

「そうだな」


 宇音が怒る場面を想像したら僕まで笑えてきた。


「宇音ちゃんがちょっと最近攻撃的だから、ちょっと心配なんですよ。誰も傷付けなければいいです。あ、吉田さんが原因だとは言っていませんよ」


 それは言って欲しくなかった。自分は確信犯だと思っていたから。


「どうかしました? 吉田さん」

「いや、何でもないよ。そろそろ売り場だから」

「はい、どうしましょう?」

「どんなスカートがいいかなと思って」

「そうですね? お洒落なスカートがいいです」

「わかった」


 僕は女性服売り場に入った。それにしてもさっきからずっと真凛に肩を貸しているので周りからはどう見ても仲の良い恋人同士にしか見えないのではないか?


「吉田さん? どうしたんですか?」

「いや、何でもない! 早く服を探そう」


 考え事をしていたため、動きが止まっていた。とりあえず服を探そうか。


 スカートを見ながら歩いていると、真凛が突然ぐいぐい引いてくる。


「真凛?」

「吉田さん、あの赤いスカートが欲しいです。ぜひ買ってもらえませんか?」

「これか? いいんじゃないか?」


 僕は濃い赤色のスカートを取った。


「じゃあ、これで決まりだな。さあ、帰るか?」

「吉田さんはいいと思うスカートはないですか?」


 真凛にそう質問されても困る。僕は咄嗟に思い浮かんだ言葉を言う。


「真凛の好きなものを選べばいいよ」

「それでいいですか?」

「いいよ」


 真凛は歩き出した。でも、なかなか決まらないようで、売り場を一周して元の場所に戻ってきてしまった。


「決まらないか」

「吉田さん、ごめんなさいね。吉田さんはどういうスカートが似合うと思いますか?」

「どういうものって言われても……」


 僕が振り返ると真凛は僕の方をずっと見つめている。顔が近くて恥ずかしいけど、僕の考えは決まった。


「ま、真凛のイメージとして、青がいいかな?」

「はい、青いスカートを探しましょう」


 真凛は青いスカートを探して買った。


********


 公園へ着いたら早速さっき買って来たスカートを着て確かめる。店に返品する必要はない。何せうちには浅田結菜がいる。


 真凛は池に沈んでスカートを履いていた。イメージは履くまでのお楽しみ、という事なのだろうか? 池の中からスカートを履いた真凛が出てきた。


「ぷはっ! どうですか? 似合ってます?」


 スカートを履いた真凛はとても綺麗で、モデルのようだった。それほど上手く着こなせていた。真凛は池を一周し、戻って来た。確かに水中で歩く練習をした方が負担なく出来るかも。次に、ワインレッドのスカートを履いた真凛のファッションショー。もうこれはファッションショーでいいや。歩き方を直せばモデルになれるんじゃないか?


でも僕は早く帰らないと宇音に怒られるので帰ろうと思う。


「真凛、似合うよ」

「ありがとうございます。重ねて今日はありがとうございました。楽しかったです」

「それは良かった。また欲しくなったら僕に言って」

「分かりました。あ、あの、スカートを置く場所を決めてもいいですか?」

「あ、いいけど」

「ちょっと、緑ちゃんの家に置かせてもらおうかと」

「いいのか?」

「緑ちゃんはいいって言っていましたよ」


 だったらいんじゃないか? 陸へ上がった真凛は緑の家へ向かった。ここには、インターホンがないのでノックする。すると中から織田さんが出てきた。


「何で織田さんが出てくるんですか!?」

「ちょっと緑に用があってですね」


 用事って何だよ? と思いながらも、中へ入れるかどうか交渉し、入れてもらえた。


「クローゼットを使ってください」

「ここですね。ありがとうございます」

「ところで、一着は履いてますね」

「はい」

「似合っていますよ」

「ありがとうございます」


 スカートを緑の家に置いて今日は終わり。それにしても、織田さんが女性の扱い方に慣れているのが気に食わない。


********


「吉田さん! 聞いてください!」

「織田さん、どうしたんですか!?」


 資料室で作業をしていると織田さんがものすごい勢いで入って来た。最近は、作曲や次のライブの準備など、何かと忙しいのに……。


「最近青海さんが変わりました。いつもスカートを履いてて、ファッションショーみたいな事を池でやっています」

「真凛がスカートを気に入って良かったんじゃないですか?」

「いえ、最近見られなかった行動だったのでつい気になりました。他にも、よくクローゼットにスカートを取りに来てますよ。で、洗濯は俺がやってます」

「え!? 織田さんが!? 出来るんですか?」

「洗濯機でしています。使えるようになりましたよ」


 織田さんが洗濯機を使えるとか、織田さんの変化だろ? まあ、公園にいる面々も少しづつ変わっているって言う事か?


「みなさん、有浦さんに会いたいって言ってますので、また連れて来て下さい」

「宇音……ですか?」

「公園の卒業生ですから」


 公園の卒業生。変な単語だが、多分同じカテゴリに入っているらしい。それにしても、宇音を連れて来られるかな?


「宇音を動かすのは難しいですけど、話してみます」


********


「宇音、公園に行ってみんなと会わないか?」

「いやだ。私は直之さんにしか興味がないから」


 いつものような感じだった。でも、宇音は次にこう言った。


「でも、真凛さんには会いたいかな?」

「いいよ。真凛も最近変わったからな」

「そうなの?」

「いや、そう思うよ」

「そうね。私も見てみたい」


 良かった。何か追及されるかと思った。


 池に行くと、宇音は真凛のスカートを褒め、喜んでいた。これでいいんだな。


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