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工場で働いていた僕がアイドルを作ったらハーレムができた  作者: KAZU
第二章 大みそかライブへ向かって(夏~年末まで)
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第13話.宇音と結香の直之争奪戦

13.宇音と結香の直之争奪戦


 ライブが終わって数日後、僕は家でゴロゴロしている。アイドル達も大きなイベントが終わったため、練習したりしなかったりしているようだ。杏子のようなやる気のある人は毎日やっているようだ。だけど、今僕の隣にいる人は急にやる気が無くなったのか、あれからと言うものの、ゴロゴロしかしていない。


「ねえ、直之さん」

「何?」

「服が欲しい」

「いきなり言われてもな」


 これが結香や若奈だったら喜んで買っているだろう。だが、今僕の目の前にいる彼女は、身長は二メートル、褐色の肌に緑色の髪の毛、この子が着る服など売っているのだろうか。その少女の名は有浦宇音。今、僕のベッドに入ってくつろいでいる。


「それよりさ、何で僕のベッドに入ってるの?」

「だってここ、直之さんの匂いがするんだもん」

「いや、ここ僕の家なのに何で後から来た宇音がベッドに入ってて、僕が床へ寝っ転ばなければいけないんだよ?」

「だったらこっちに来てよ」

「何されるか分からないから嫌だ」

「もう、来てってば!」

「やめて! 襲いかからないで!」


 僕は宇音に襲われそうになる。ほんと、宇音は凶暴なので全然嬉しくもない。


「分かったよ。襲われるくらいなら僕の方から行くからさ」

「やったー!」


 僕は布団の中に入った。もちろん、宇音は布団の中から出ることはない。


「で、服が欲しいの?」

「うん」

「でも、宇音のサイズの服は売っていないなあ」

「そこを何とか、お願い」


 宇音は自分の胸の前で手を合わせる。


「そう言われても……」


 何か宇音と恋人のようなやり取りになっている。いや、僕達は付き合ってはいないのだが。


「ダメ……?」

「そんな顔するなよ……」


 宇音は悲しそうな顔をする。でも、うちには服を縫ってくれる人がいる。その人物に頼めば……!


「生地なら、買ってやろう」

「ホントに! やったー!」


 宇音は子供のように喜んでいた。ありがとう、浅田さん。そして、よろしく頼む。


「だけど、このまま外へ出るのもなー」

「え?今まで出てたじゃない」

「それはアイドル達の配慮があってのものだよ。僕一人ではかばいきれないよ」

「えー?じゃあ今日はどうするの?」

「宇音、ちょっと体を貸してくれないか?」


 と言うと、宇音は余計に抱きついてきた。


「いや、そうじゃなくて、ちょっと離れるけどいいか?」

「嫌だ、って言ったら?」

「我慢してよ、少しだけだから、大人しくしててよ」

「本当に少しだけだよね?」

「ああ」


 僕はせわしく衣服を探しまわった。そしてこれを宇音に着せて……っと。


「よし、完成!」


 僕の目の前の宇音は白いサンバイザーに黒いサングラス、黄色い服にロングスカートを履かせた。これで樹には見えないだろう。


「これで外へ出るの?」

「ああ」


 宇音は、僕が手を出すとすんなり出てくれた。


********


 そして、玄関から出ると、誰かいた。


「ああっ! 有浦宇音!」

「何で結香がいるんだよ!」


 結香だ。彼女は赤色のチェックのスカートに白いカッターシャツを着ている。大体いつもそんな格好だ。そして今日もなぜか機嫌が悪い。そして、来るなら連絡ぐらいしろ。


「連絡したんだけど!」

「いや、知らないし」

「携帯見て見てよ!」


 彼女が言われるがままにスマホを見てみると、確かに行くと書いてあった。


「あった! ごめん!」

「それは分からないよ。直之さんは私と愛し合ってたんだもん」

「宇音は余計な事を言わないで!」


 あちゃー、宇音のこれは結香には絶対言ってはいけない事なのに。


「有浦さん! 直くんに勝手に手を出さないでよ!」

「北原さんこそ勝手に来ないでよ!」

「ちゃんと連絡したじゃない!」

「でも、見てないんじゃ意味ないじゃない!」

「くーっ! あーもう!」

「分かったから、ケンカはやめて!」

「「あなたのせいじゃない!」」


 そこは同じ意見なのかい? 君たちは。


********


 車に乗るとちゃっかり結香が付いてきていた。話を聞くと結香も服が欲しいとのことだ。自分で買えよって思うけど、目的が一緒だから一緒に行くことにした。宇音は気に食わない表情をしている。


「そのかわり、自分で選べよ」

「直くんに選んでもらいたいんだけど」

「だって今日はほら、元々宇音の服を買いに行くんだし。だったら結香も一緒に選ぶか?」

「絶っ対やだ!」

「そんなに強調しなくても……」

「服は一人で選ぶものなの?へえー」

「宇音のはみんなで選んで欲しいなと」

「もう! 訳分からない! 何よ! もう!」

「いや、そう言う事だよ」

「何で有浦さんの服だけ選ぶの!? もう!」

「分かったよ。結香のも選んでやるよ」

「ありがとう」


 結香は笑顔になった。服ぐらい自分で選んでくれよ……。


********


 僕達は駅前にやってきた。ここでは人が多かったので僕と結香は宇音を隠すために囲い込む。


「直くん、それで、これで有浦さんがばれないとでも思うの?」

「大丈夫だろう」

「無理よ、こんな気持ち悪い格好して」

「気持ち悪いって何? いきなり押しかける方が気持ち悪いと思うんだけど」

「どの辺が気持ち悪いんだよ」

「サングラスかな? 余計に怪しい」

「他は」

「服がピチピチなのも面白いけど、それはそれで小さく見えていいかも」

「私抜きで話を進めないで!」


 宇音がどんどん怒ってきているのでこの辺でどうするか決めよう。


「うーん、サングラスは取ろう。あとサンバイザーも」


 宇音はサングラスとサンバイザーを外した。


「これで良し、か」

「うーん、大きいよね」

「何?」


 宇音が超絶イラついている。こんなに怒っている宇音を見るのは初めてなのかもしれない。


「直之さんも、何でこんな女を連れてきたの!?」

「だって、来たいって言うんだから、ほら」


 僕は宇音に薄色の服を羽織らせてやった。


「似合ってるよ」

「ありがとう!」


 宇音の機嫌は一瞬で直り、僕を抱きしめた。


「はーいはい、さっさと行きましょうか?」


 結香は宇音を引き剥がして僕の隣へ来た。


********


 女性用の服を売っている場所にやってきた。まずは宇音の服を選ぶのだが、服じゃなく生地を選ばなくてはいけない。その生地を持ったうえで浅田さんに依頼を掛けることになる。


 それにしても、生地といってもいろいろあるもので……。


「これは宇音に似合うんじゃないか?」

「でも、今着ている服と似てない?」

「そうか。これ着せたことないからな。実は今日が初めて」

「そうなの」

「うん」


 結香は黄色い布を指差した。


「直くん、これはどう?」

「これも、今着ている奴と似ているな。二つ組み合わせるって言う手もあるけど。宇音は?」

「これかな?」


 宇音の選んだのは髪の色と同じ明るい緑色の布。


「お、似合うんじゃないか?」

「悔しいけど、いいセンスしてるよね」


 僕達は満場一致で宇音の選んだ生地がいいと思った。分かった、買ってやろう。でも、何かを忘れているような気がする。


「直之さん、ありがとう! さあ、帰ろうか?」

「あなた、ちょこちょこ悪いこと言うよね」


 そう、これから結香の服を選ばなければいけない。これは長くなりそうだ。


「結香、この服どう?」

「嫌だ、子供っぽいもん」


 僕はピンクと白のチェックの服を出すと断られた。今着ている服と大して変わらない気もするが、童顔の結香が着ると見事に似合っているのだ。


「この服は?」

「嫌だ、安っぽい」


 これは白いフリルのついた服だが、結香に安っぽいと言われてしまった。この服が可哀想だ。


「これはどうなの?」

「無理、アイツと同じような服じゃない。あと、これもね」


 黄色と緑の服も却下だ。だったらどうしろというのか。


「じゃあ結香が選んでよ。これもどれもダメだったら自分で選べば?」

「何よ! ……いや、あたしも連れてきてもらってるんだから、分かったよ。あたしが選ぶわ」


 結香は何かを悟ったらしく、自分で探す気になったようだ。結香が売り場の方へ進んだ。


 結香が服を探しに行ったら、宇音が文句を言ってきた。


「あれ、自分が悪いのにね」

「争うのはやめてよ。でも、やっぱりこうなるとは思ってたけどさ」

「そうよ」


 宇音は結香の悪い所を僕に言ってくる。僕は普段からさんざん仲良くしろと言ってきてるのだが……。なぜこうも上手くいかないのだろうか?


「こっちも独自で結香の服を探そう」

「え? そんなことする必要はないんじゃ……」

「でもあいつがまともに服を選んでくるとは思えないから、僕も手伝わないと」

「ちょっと待って!」


 僕は結香の服を探しに行くと、そのまま宇音もついてきた。しばらくその近くで服を探していると、自分の服を探しに行った結香が戻って来た。


「直くん、これしかなかった」


 結香が持ってきたのは赤と黒のチェックの服。今の結香が来ているのと大して変わらないものだった。


「これはダメだよ」

「何で?」

「今着ている服と一緒だよ。子供っぽいのが嫌じゃないの?」

「ぐっ、確かに言ったわね。だったら?」

「大人っぽい服ってないのかな?」

「探してくる!」


 結香は勢いよく売場へ飛び出して行った。どうも心配なので僕も結香の服をこっちで選んでおこう。


 それにしてもいい服がない。後日改めて他の店で見た方がよさそうだ。結香が戻って来たら帰ろう。そう思っていたら結香が服を持って勢いよく現れた。


「これで最後!これがダメだったら今日は諦める!」


 と、服を持ってきた。それは青と白色の服だった。


「何でこの服にしたんだ?」

「え? 直くん、同じのじゃダメって言ったじゃん。で、どういう服が着たいかというと、これかな? こんな色の服はめったに着ないから。私も、同じような服はもうやめようかと思ってて、でもなかなかやめられなくて……」


 その色は『GARDEN CALL』の歌詞に出てくる色の服だった。正直、このような服を結香が選ぶとは思いもしなかった。


「で、どうなのよ?」

「あ、ああ」

「話、聞いてた?」

「ああ、この服がどうかってことだよな」

「本当に聞いてた?」

「ああ、まあ」


 すみません。考え事してました。


「いいと思うよ。似合うと思うから、後で試着してみよ、うわっ!」

「直之さん、私も構ってよ!」

「ごめん、分かったから、離せ、痛いんだよ!」


 宇音にまた背後から締め付けられる。僕の前には今にも殺そうとしているほど怖い顔をした結香がいた。


********


「直くん、どう? 似合う?」


 その服を着て、試着室から結香が出てきた。白いスカート、青いシャツは今までの結香の感じとは違ってさわやかだ。


「宇音はどう思う?」

「悔しい!」


 宇音は拗ねていた。予想どおりなのだが、二人とももっと相手を褒めることはできないのか?


********


 後日、僕は宇音の選んだ布を持って浅田さんの元を訪れていた。


「これで、厚手の長袖を作ってくれないかな?」

「はい、で、サイズは?」

「4Lで」

「はい」

「驚かないの?」

「前のライブを見たからねー。あの後ろの大きな子のでしょ?」

「うん」

「最初見た時はビックリしたけどね。で、外にいるんでしょ?」

「そうだな」

「いつも一緒なの?」

「そうでも……」


 「そうでもないよ」と、言いかけたところで宇音が入ってきた。何故このタイミングなんだ?


「こんにちは。よろしくお願いします」

「あなたは……」

「直之さんのお嫁候補の有浦宇音です。よろしくお願いします」

「えー! そうだったのー!」

「いや! 誤解だ! 浅田さん!」


 浅田さんは真に受けて驚いていた。宇音は嘘を付くなよ。

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