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あんたなんて、ウチの子じゃない

作者: みっっか

 「あんたなんて、もう家の子じゃない。」

 低学年のとき言われました。


 「あんたなんて、ウチの子じゃない。」

 高学年のとき言われました。


 「あんたは施設で拾って来たんだ。」

 中学生のとき言われました。


 高校生になりました。


 大学受験をしました。


 明治大学に受かりました。

 もう、それは、表現できないほど、嬉しかったです。


 友達と遊びました。


 クラス全員で遊びました。


 中学時代の友達とも遊びました。

 大学を自慢しました。

 驚かれました。

 千葉大学に受かった友達と、どちらが上か、まだ入学もしていない大学を比べ合いました。


 高校を卒業しました。

 嫌いだった先生にも、なんだかんだで感謝しました。

 勉強詰めで、とっとと逃げ出したかった貧乏私立高校通いでも、なんだかんだで泣きました。


 友達と遊びました。

 県内トップの公立に行き自慢して来たヤツより、俺の大学の偏差値の方が高くバカにしてやりました。


 菜の花が咲き出しました。


 探し回って見つけた、同じ大学に行く小学校時代のクラスメイトのもとに大学から書類が届いたそうです。


 書類がなかなか来ないので写メをもらいました。

 光っていて読みにくかったです。


 あまりにも来ないので大学に問い合わせました。


 受験番号を聞かれました。


 webページはリンクの期限が切れていました。

 勉強机の引き出しには郵送された封筒しかありませんでした。

 

 家中探しました。


 額縁に入っていました。


 受験番号を伝えました。


 「ご入学なされていない」この言葉は今でも音韻まではっきり覚えています。


 手違いだと思いました。


 違う部署に回されました。


 「入学金が振り込まれていない」と言われました。


 ひつこく聞いていたら、「なら親に聞いてくれ」と厄介払いされました。


 親が帰って来ました。


 親に聞きました。


 「分からない」と言われました。

 明らかに焦っていました。


 とりあえずカップラーメンでも食べて落ち着け。

 母に言われました。

 その日は金曜日でした。


 受験勉強より使っていない勉強机わきのコーヒーメーカーでお湯を注ぎました。


 合格通知直前よりも長い4分でした。


 その日はそのまま布団に入りました。


 歯磨きを忘れたのは初めてでした。


 起きました。


 親がまだ寝ていました。


 友達と約束があったので、家を出ました。


 カラオケで持ち曲を外しました。笑われました。


 同期の桜を歌いました。


 「右翼かよ」と言われました。


 日本のこころ支持者には言われたくありませんでした。


 帰宅しました。


 親に謝られました。


 退出してもらい、


 訳もわからず、ベットに寝転びました。


 考えました。


 考えました。


 家は金持ちではありません。

 でも入学金くらい払えます。

 通帳を見たわけではありません。

 でも長年生活していれば分かります。


 考えました。

 

 考えました。


 考え、


 考え、


 泣きました。


 泣きました。


 そして、泣き止んだと思います。


 調べました。


 調べました。


 投げたら、買ったばかりのiPhoneが壊れました。


 殴ったら、ベットの柵が折れました。


 なんか、落ち着きました。


 落ち着きました。


 ボーッとしました。


 時間が経ちました。


 また考えました。


 考えました。


 そうしたら、


 このどうしようもない感情を、


 解決する方法が見つかりました。


 「あんたは、家の子じゃない」

 「そこらで拾った子だ。」


 やっと分かりました。


 養子にうんびゃく万も払うわけがありません。


 そう思いました。思ってしました。


 鳥が鳴いていました。


 朝でした。


 親が起きていました。


 数ヶ月前に初めてまともに触り出したインターネットで調べた結果、無理そうだったということを伝えました。


 親はうなだれました。


 でも、どこかホッとしているように見えました。見えてしまいました。思ってしまいました。


 まともに寝ていない頭で、俺は決心しました。


 伝えました。伝えてしましました。


 父は怒りました。母は逃げ出しました。


 母な怒るとすぐ殴って来ます。

 でも父に暴力を振るわれたのは初めてでした。


 軍人の曾祖父に鍛え上げたれた父はのは痛かったです。


 でも、最も言われたく無いことを言われたから。

 核心を突かれてしまったから。


 これほど怒っているのだと、


 そう思いました。そう思ってしまいました。


 だから、絞められながら伝えました。

 脇の下を殴られながら伝え続けました。


 俺は、笑っていたと思います。


 その後の記憶は曖昧です。


 ただ、


 コーヒーを台所で飲んでいたら、


 「どうせ無理なら、大学、断ったから」


 と、父に言われてからは覚えています。


 笑いました。


 笑い転げました。


 赤旗の社説より、

 笑点より、

 どんな漫才よりも、


 笑いました。


 18年間分からなかった、もっとも身近な、ミステリーを解決した名探偵です。


 たいそう面白かったでしょう。


 笑い飽きて、そのまま寝ました。


 起きたらベットにいました。


 部屋のドアを閉めました。


 俺の部屋が空いていないと、風が抜けないので、致すとき以外常に開けっ放しのドアです。


 漫画を読みました。


 寝ました。


 起きました。


 雨戸を閉めました。


 登山用に買い込んでいたウィダーを飲み切りました。


 ラノベを読みました。


 箱であったカロリーメイトも無くなりました。


 とあるを読み切りました。


 家族全員分の避難バックが空になりました。


 喉が乾きました。


 水を取りに出ました。


 母に土下座されました。


 笑い飛ばすつもりだったのに、


 何故か泣いてしまいました。


 抱擁されました。


 泣きました。


 あれから数日経ち、落ち着きました。


 大学は高校の付属校に入ることができました。


 模試の志望校欄に書くと、データ不足で判定不能となるあの付属校です。


 友達に合わせる顔がありません。

 未だに連絡をとっていない人が大半です。


 付きっきりで必死に教えてくれた、高校の先生にどう顔見せすれば良いのでしょうか。

 まだ高校に顔を出せていません。


 親には謝りました。

 そしたら謝られました。


 今、前で教授が講義をしています。


 これで俺の高校の附属大学だというから驚きです。


 免許センターのおっさんの方が分かり易かったです。


 まともな日本語でレポートを書くだけで単位がもらえるはずです。


 隣でベトナム人がマリカをやっています。


 Switchを忘れたせいで参加できません。


 そのせいでこんな胸糞悪い思いで小説を書いています。


 朝の俺を憎んでやりたいです。


 

 

 

 

 


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