仮説
なぜ、カエロヌ軍の警戒態勢は、初日から三日目まで、ほとんど変わらなかった――?
パウルスが最初に覚えた疑問は、そこだった。
スクドゥマ軍は三日目に攻撃的な布陣を見せた。にも関わらず、カエロヌ軍の警戒態勢は、より強固なものにならなかった。
もしかすると、カエロヌ軍は、その日に攻撃が無いことを知っていた――。そこから疑われることは、すなわち、内通者の存在――。
さらに、自らが内通者、もしくはそれを使う立場であるならば――敵の計画に変更が無いことについて、連絡を考える――。
さすれば、真に内通者がいた場合、明日の日中に何かしらの合図を送る――いや、強攻を明日に控えた今夜にも、動く可能性はある――。
パウルスは以上の推理をもって、小隊長ヤコブに相談した。
それは、仮説に仮説を、幾重にも積み上げた話ではあったが、一応の筋は通っている。
何より、ここ一番におけるパウルスの洞察力、そして危機管理能力の高さを、ヤコブは知っていた。
しかして、ヤコブは将軍クリストフォルスに許可をとり、ヤコブ、パウルス、他二名のブラナテラ剣兵、その計四名にて、スクドゥマ軍正規の哨戒とは別に、夜間の警戒にあたることにした。
とは言え、この話は憶測の域を出ないことから、一旦はブラナテラ軍内に留め、確定までスクドゥマ軍への報告は控えることとなった。
だがしかし、パウルスの予感は、ずばり的中した――!




