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離脱
パウルスは、亡骸をさも人質のように見せ、会話の流れで口元を隠し、呪文を詠唱していた。
使用した魔法は『光源』。
一般には、夜間や暗がりで明かりとして利用される、光の系統に属するものである。
パウルスはそれを自身の頭上で、超高出力、超短時間にして発現させた。
そうしてフォルティド兵の目をくらませるや否や、彼は速やかにその場から離脱。
また、去り際にその余裕があったため、敵兵のうち、最も階級の高そうな装いをしていた者へ一太刀を浴びせたことが、彼の抜け目の無さを物語っていた。
かくして、やはりフォルティド軍の本命部隊にして、作戦の要であったその精鋭たちは、予定外の足止めを喰らい、さらにはその将を失った。
戦力を欠いたフォルティドの精鋭部隊は、状況報告のため一名の伝達係を遣わせたのち、一応は進軍を続行。
他方、ブラナテラが遊撃隊、ヤコブ小隊は、敵の気配がなくなったことを認めると、再集合のために動き始めた。




