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先導者ヨシキの物語  作者: 奈々宮 紬
1周目
9/10

[008]リボン

「みんな、少し集まってくれないか?」


ヨシキがそう言ったのでみんなで家の広場に集まった。


「さて、この前頼まれたリボンがやっと出来たんだ。」


その言葉で僕たちはわーっと喜ぶ。


「少し落ち着け......ってそんなに嬉しかったのか。」


「うん!ヨシキ、ありがとう。」

「ありがとう。」

「私もありがとう!」

「俺も......ありがと。」

「ありがとう。」


「そうか、それは良かった。」


ヨシキは最初は僕たちを落ち着かせようとしていたが、なんだかんだ嬉しそうだ。


「で、話があるんだ。リボンに込められた役割は少しずつ違っていてね、これを君たちが好きなのを選んでもいいんだが......良ければ私に選ばせてくれないか?」


ヨシキが選んでくれるってことかな?それなら......


「いいわよ。」

「僕もいいな。」

「俺も。」

「私もいいよ。」

「むしろ選んで欲しいな。」


僕たちの間で文句は出ないだろう。なんといっても、僕たちはヨシキを心から慕っているから。


「そうか、ありがとう。では、君たちに配分しようと思う。」


ヨシキはそういうと、黒くて細長い箱を取り出した。............ベレー帽や服も黒いと思ったら箱まで黒いんだ......。


「まず“剣使い”、これはコオに渡そうと思う。効力は精神の安定と攻撃力の強化だ。いつも水を作ってくれているのだから、精神のバランスが崩れてもらっては困るからな。」

「......ありがと、ヨシキ。俺、頑張るから。」

「うん、頼んだ。」


コオは俯きながらも嬉しそうにしている。......あいつのことだから多分照れ隠しかな?


「次に“盾使い”、これはエルに。効力は防御力の強化と反射神経の上昇だ。エルは足が遅いから少しでも生き残りやすくなるように、な。」

「ありがとう。私も頑張る。」

「無理はしないでくれよ?」

「それくらい分かってるよ。」


エルも文句を言いながらも嬉しそうだな。


「そして“弓使い”、これはキョウカに渡そう。効力は命中率の上昇と視力の上昇だな。キョウカは細かい作業が得意だからこういうのが便利だろう。」

「分かったわ。ありがとう、ヨシキ!」


キョウカは心から嬉しそうにしている。


「それから“槍使い”、これはトモにだ。効力は移動速度の上昇と回避率の上昇だ。今、危険な見回りという役割を果たしてもらっているからな。逃げる術は多い方がいいだろう。」

「うん、助かる。ありがとう。」


トモは静かだが、嬉しそうに顔を赤らめている。


「最後に“冒険者”、これはライに渡す。効力は体力の強化と思考力の上昇だな。重労働を課してしまっているから、体力を増やしておいた方がいい。」


ヨシキ、色々考えてくれているんだな。


「ありがとう、凄く嬉しいよ。」

「うむ、君たちの笑顔が見られただけで良かった。」


ヨシキも更に笑顔になった。僕を含めた子供メンバーはみんなリボンをじっくり観察している。


僕がもらったピンクのリボンには“冒険者”と漢字で書いてあるだけだったが、ヨシキがくれたということは本当に色々強化してくれるすごいものなんだろうなぁ。


「そういえば、ヨシキのリボンってなんの役割なのー?」


エルが思い出したように言った。そういえば、気になる。


「あー、私のリボンは“魔王”だな。効力は感情の強化と状態異常耐性だよ。」

「ヨシキ強そう。」

「確かに、魔王といえば強そうだな。」


魔王か......なんか意外だな。ヨシキ、優しいのにそんな悪者みたいなリボンなのか。


「あ、そうそう、言い忘れていたけどな。そのリボンは効力以外にも、体力を少しずつ回復させたり、普通に全てのステータスを1.2倍にしてくれたりといい効果があるから常に身につけておいた方がいいと思う。」


......本当にすごいものなのでは?まぁ、ヨシキからもらったものをほっておく気なんて全然なかったけど。


「さて、とりあえずリボンはこれぐらいでいいかな。」


ヨシキは黒い箱を閉じて、仕舞おうとした。ん?今何かまだピンクの物が......


「あれ?ヨシキ、箱にまだリボン残ってるけど......。」


まだ黒い箱にはピンクのリボンが残っている。


「あー、リボンは12個ずつしか作れないんだ。だから今配った5個以外は余ってるってことだな。」


へー、リボンって12個ずつしか作れないんだ。......なんでだろう?


「そういえば、リボンは失くさないように手首にでもまけばいいだろう。あ、一旦まくとちょっとやそっとでは取れないからそこだけは注意だな。」


一旦まくと取れない......?やってみようかな。


「......こういうことか。」


リボンを手にまくと、手首にまいたリボンが手首に埋まるように馴染んで、赤色のアザのようになった。違和感なんかはないけど、なんか変な感じがする。


「さて、リボンの話はこれぐらいにして、作業に戻ろうか。そろそろ、我が家も普通の家以上の生活が出来るようになりそうなことだしな。」


「「うん!」」

「「「分かった。」」」


さて、僕も畑仕事、再開しよーっと。

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