[001]ヨシキ
見渡す限り、何もないただ灰色の世界。
......いや、建物の残骸と思しき廃墟が大量にあるだけの世界。
「よくもまぁ、やってくれたな。」
リフレインを発動するのも間に合わなかった。
「さて、どうしようか。」
体はボロボロ。しかも守るべき存在も引き連れて、この残骸しかない世界を生きぬけというのか。
「連絡も無理か......。」
ポータルがない以上、何も出来やしない。
「まずは生活基盤の作成から......ん?」
この気配......まさか、な。
気配を感じたところへ向かった。
「これは......驚いた。」
コオ、キョウカ、トモ、エル......もしかして、前に起動していたリフレインを切らずにリフレインを展開したから呼び寄せられた......?いや、まさか、そんな......
......今は一人で葛藤している場合じゃないな。守るべきものが1つから5つに増えてしまった......いや、ちょっと待て。この歪んだ時間軸に巻き込まれるべき者は5人のはず......どうして彼だけ来なかったんだ?
いや、来れなかった......?なぜ、来れなかった。争ったのか?いや、普通の人間には能力干渉など、不可能なはず......
分からないことが多すぎる。これは......骨が折れそうだ。せめて、彼が居れば......。
「......何の用だ。」
「んー?せっかく来てあげたのに酷いじゃないか!」
「私はお前が嫌いだ。さっさと帰れ。」
「いやいや、この子保護してほしいって言いに来たんだけど。」
「......まさか。」
「うん!奇跡の実験体のクローン体だよ!」
......彼の頭脳があれば、或いは生き残れるかもしれないな。
「彼ってば結構色んな知識詰め込まれてるっぽいねー!“ロード”は結構実験体に好待遇みたい!」
「なにが言いたい?」
「べっつにー!まぁ、ってことで、ヨシキ、バイバーイ!」
「いつも急に現れて急に帰っていくな、サクシャは。」
さて、これからどうしようか。
衣食住の確保が優先だな。
それにしても......
「なぜ、急に世界が崩れたんだろうか。」




