7/15
丘の上に
暖かい光が辺りを優しく包み込む。
穏やかな風に肌を撫でられる感触に、そっと眼を開く。
視界いっぱいに在り、邪魔をされていない青い空。
緑の山々に、高く聳え立ち、頂上には雪が積り白くなった山。
何処までも続いていそうな碧の大地。
そして、見たことのない生き物。
広い広い世界にたった一人。
小さな小さな自分。
ただ一振りの剣と共に何処まで行けるかはまだ分からない。
分からない。そんな不安と、僅かな喪失感。
失ったのは過去の記憶。
覚えているのは過去の恐怖。
手に入れたのは未来への希望。
いや、不安だ。
それでも、進もう。
自分の足で。
二本の足でこの世界の大地を踏みしめ進んでいこう。
きっと未来は楽しいと一振りの剣を胸に抱き、歩き出す