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幕間 「魔王」

 「神が死んだ土地」だとか「神に見放された土地」と呼ばれている土地があった。

 人類が栄華を極めている南大陸の、そのずっと北。冷たい風と太陽すら隠してしまうほどの分厚い雲に覆われた大陸。


 ヒトはここを畏怖と恐れから『魔界』と呼んだ。


 ずっとずっと昔から光の届かない土地。

 闇に包まれ、『ヒト』が生きていくのが難しい程の毒ガスが常に存在している土地。

 それが『魔界』であり、この世界の、この惑星(ほし)の果てだ。


 荒れ果てた土地に氷で閉ざされた土地。突然現れる、今なお噴火を続ける活火山という、過酷な自然。

 普通の土地では、そこのヌシであってもおかしくない強力なチカラを持つ魔物。


 この二つがヒトがそこで暮らすどころか、一瞬でも存在することを許さない。

―――たった二つの異例と、それに付き添った『魔人』たちを除いて。


 彼ら彼女らは決してヒトでは無かった。

 ある者は、ヒトに無い獣の一部が在り、代わりに高い身体能力や、その獣の能力を持っていた。

 ある者は、ヒトに無い長い耳が在り、代わりに高い魔法適性があり、上位魔法が使えた。

 ある者は、ヒトに無い器用さが在り、代わりに低い身長、ずんぐりとした体形があった。

 ある者は、ヒトに無い……、いや、この世界に無いはずの膨大な知識があった。


 彼ら彼女らは決してヒトでは無かった。

 むしろ、ヒトであると言われると怒るだろう。

 ヒトを憎み、ヒトを羨み、それでも反逆の狼煙を上げられなかった心優しき種族。

 いや、「心優しき」なんて言葉を飾るのは止そう。ただ、狼煙の上げ方すら忘れてしまった弱い種族だ。

 だからこそ、『魔界』と呼ばれている北へと逃げたのだ。

 ヒトのいない『魔界』へと。






 だが、彼らは何もしなかった訳では無い。


―――牙を研ぎ、剣を鍛え、魔法を磨く


 彼ら彼女らは決してヒトでは無かった。

 そして、決して弱いわけでは無く、むしろ全員が一騎当千の能力を持った最強の種族だ。


 始まりは些細なことだ。ヒトが、更なる物資、そして人的資源を求め北へと攻め入った。


 結果、彼らは魔界からとり、


 『魔王』


 そう呼ばれるようになった。



 そして・・・

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