×亜空ー04(方針)
「ん、どうした?珍しいな?茉莉がこの【増減の部屋】に来るのは。」
言いながら立ち上がり、一瞬にして僕の正面まで来た。
間の空間を【縮めた】のだろう。
「確か、苦手って言ってなかったっけか?この部屋。」
確かに言った。
端が見えない広すぎる空間は、何だか不安定になるから。
かといって、狭い所が好きな訳でもないけど。
「まぁね。………何でいつも【広げて】おくの?」
「狭いのは嫌いだし、広かったらスカッとするだろ!?」
「それにしても限度があると思うんだけど。」
「そうかもな。まぁそれに、修行も兼ねてるし。」
「修行とはまた大げさな。」
「大きい事はいい事だ、っていうのが俺のポリシーだからな!!」
さいですか。
「で、どうした?」
「うん、木霊さんを探してるんだけどね、初日に会って以来まだ一回も会ってないんだ。部屋に行ってもいつも留守だし………って何だよその顔。」
「いや、すまん。誰を探してるって?」
「だから木霊さんを―――」
「………誰だ?ソイツ。」
「は?」
急に変な事を言う。
誰だ、って、そんなの冗談にしたって笑えないぞ。
「コダマ、とか聞こえたけど、俺の聞き間違いか?」
「…………いや、それで有ってるけど。え?何を言ってるんだよ、亜空。」
「お前が何言ってるんだよ。そんな奴俺は知らないぜ。」
悪質な冗談かと期待したが、どうやら亜空は本気で言っているらしかった。