×亜空ー02(芸術的爆発、上)
「血が騒ぐぜ。」
またしても食堂で偶然であった僕らは、自然に一緒に机を囲む流れになった。
例によって亜空は、僕の斜め前に座っている。
そして、開口一番に良く分からない事を言った。
僕の聞き間違いで無ければ、血が騒ぐ、とか聞こえたのだが。
この場でそんな事を言う理由が思い浮かばないし、意味も分からないので、きっと聞き間違いだろう。
聞き間違いだろうけど、だとしたら何て言ったのか気になるな。
「………え?」
「血が騒ぐぜ!!」
違った。
残念ながら聞き間違いじゃなかった。
先程より大きな声で宣言された。
いきなり何を言い出すんだ。
「いや、え?何が?どういう意味?」
「だからな、血がふつふつと煮えたぎるように―――」
「うん、表現の説明じゃなくてさ、僕が聞きたいのは急にどうしたのかって。」
「別に。」
「別に?」
「ああ。ただ言ってみたかっただけ。」
「言ってみたかっただけ?」
返答が予想外すぎて、さっきから、ツバメ返ししてしまっている。
「言ってみたかったから、言ってみた。何かおかしいか?」
おか………しいような、おかしくないような。
………………いや、やっぱりおかしいだろう。
「おかしい、んじゃないかな。」
「えー、そうか?でもお前もあるだろ?そういう事。」
………………どうしよう。
正直な所、そんな事無いんだけど。
ノッていった方がいいのだろうか?この会話に。