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×千鶴子ー01(革命的)

「あ、来たわね。映写室へようこそ、茉莉君。」


部屋を開けた僕を、迎えた千鶴子さんに、怒った様子は無かった。

計らずも、約束を破ってしまった形になっていたので、文句の一つも言われるかと思っていたが。


「ちょっと貴方ちょっと、部屋に入る時はノックをするのが常識ってものだと思うんだけどそこら変は無視なのかしら、人間としてどうかと思うわ、小さいころに親に教えてもらったでしょそのくらい、もし私か千鶴子が着替えていたりしたら、あそうかそうねそれを狙っていたのね不潔だわ、だいたい貴方は―――」


が、代わりに、隅の方で何か機械らしきものを弄っていたフォリスに、色々と責められた。


いや、僕、ノックしたけどね。

それでどうぞって返事も貰ったからね。

フォリスが聞こえてなかっただけだと思うよ。


と言っても取り合ってもらえるとは思わなかったので、僕はその批判を甘んじて受ける事にした。


フォリスについて栞に相談してみた所、

「そんなの私に聞かれても困るよ。まぁ強いて言うなら、適度に受け流すのがいいのかもしれないね。」

という返事が返ってきたので、それを早速実践してみた訳である。



「――なんというか、普通の部屋ですね。どのへんが映写室なんですか?」


「まぁ今はねー。昨日来てれば面白かったのに。もしくは明後日。」


何がだろう。

「あの、それはどういう意味で?というか、来る日によって変わったりするんですか?」


「いやー色々と変わるんだよ?大体三日に一回、かな。……んーそうだね、口では説明し難いから、気になるのなら明後日の同じ時間にまた来るといいよ?」


「ええ、はぁ、よく分りませんが。二日でそんなに変わるんですか?」


「―――変わるわよ変わるから言ってるんでしょ貴方馬鹿なんじゃないの、変わらないのに言うわけないじゃない、そんな無駄な嘘をついてる時間も惜しいのよ千鶴子は、むしろ貴方と会話している時間も惜しいくらいなのよ、それは私も同じなんだけど、つまり貴方なんかに構ってる時間は無いって事なのよ、それなのに貴方ときたら約束を破った上に手土産の一つも持ってこないで何様のつもりなのかしら、あでも俺様とかくだらない事言ったら張った押すわよ、それから―――」


フォリスの言葉をBGMに、会話を続ける。

まあさすがにバックグラウンドミュージックは酷すぎかもしれないが。

それにしても散々な言われようである。そんなに嫌われるような事をした覚えはないのだが。



「変わるわよ、それはもう革命的に。」


しかし千鶴子さんもよく分らない事を言う。革命的と言われましても。

何と返したものか、少し逡巡していると、千鶴子さんは、さっきよりも大きめの声で言った。


「聞こえなかったの?革命的よ。それはまさにレボリューション!!」

最後の方はポーズをとりながら宣言した。変なスイッチが入ってしまったかもしれない。

とりあえず、ポーズに突っ込むのは止めておこうと、僕は思った。



というか、聞きたいのはそういう事じゃなく――――いや、いいか。明後日もう一度来てみれば分かるだろう。

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