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相棒となら異世界だって!  作者: 眠熊猫
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優人はリュート、花梨はリン

私は五歳になった。こちらでの名前はリンだった。

兄のリュートは八歳。三つ年上の元優人。


私が二歳になった日の夜、夢で前世の人生を纏めて見せられた。多少寝坊したが二歳の子どもが寝坊してどこが悪い。現に両親は昨日はしゃぎ過ぎたかしら、くらいにしか思わなかったし。

優、じゃない、リュートはニヤッと笑っただけ。

思い出しても、思い出さなくても大好きな兄さんがここにいた。


あ、ここでは生まれた日を祝わない。生まれた月の一日に誕生祝いをしてしまう。多分だけど日を覚えられないんじゃないかな。カレンダーとかないし。

ではどうやって月を知るかというと、隣のナル村にある教会の鐘の音だ。毎日朝と昼と夕方の三回鳴るのだけれど、毎月の一日はいつも毎回一度しか鳴らさない鐘を二度ずつ鳴らすのだ。



リュートは色々なことを教えてくれた。

この国の名はデルトーク。この村は王都から少し離れた農村でコスというとか、言葉のイロハとか。

あとカレンダー。一年は十二ヶ月。三十日でひと月。

春夏秋冬と三ヶ月ごとに区切られていて、春の一月、夏の一月という呼び方をする。一年の始まりは春の一月。私たちは二人とも冬の二月生まれだって。

ここには緩やかな四季があり、冬になってもそんなに寒くないかわりに夏もそんなに暑くない。


そして私が貰ったスキルの話をしたら口惜しそうに

「無欲の勝利か」

とつぶやいたけど。良いんだよあんたはあんたで。

ちなみにリュートのスキルは

「鑑定」「剣術」「知恵」だった。

知恵なんて充分持ってると思うけどなあ。そう言ったら

「この世界に合った知恵が必要なんだよ。常識も法も違うんだからな。」

と反論されました。なるほど。


でまあ、五歳と二歳の幼児はあちこち歩き回り、時には走り回ってひたすら遊んだ。

薬草や山菜、食用になる木の実やキノコ、野生の果物のある所なんかをリュートに案内されながら。


うちは農家で畑とリンゴ(に似た実)の果樹園がある。他にヤギ(そっくりだからもうヤギでいいや)を数匹、ニワトリ(以下同文)を十羽くらい飼っている。

あと、家の近くにスダチとかカボスに似た酸っぱい実がなる木を二本植えている。一年中実っているから果汁を酢の代わりに使う為だ(スダチでいいやもう)。

農耕用に馬も一頭。月に一、二度作物を売りに行く時は荷車を牽かせる。この村では平均的な規模らしい。

ヤギのミルクはちょっと癖があるんだけど、二歳までさんざん飲まされたからもう慣れた。甘味は牛乳(元いた世界のやつね)よりあって美味しいと思う。


ただね、この世界にはまだチーズが無い。ミルクをわかしてスダチの果汁を入れて作るカッテージチーズみたいなのはあるけど。日保ちしないし味も淡い。

チーズ作るには乳離れしてない子牛の胃袋かある種のカビが必要だからなぁ。

いつかリュートの知恵のスキルを使ってどうしたら良いか調べようと思ってるんだけど。

あ。私チーズ大好きだったんだよ。










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