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相棒となら異世界だって!  作者: 眠熊猫
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大人しくしています?

今年の秋も豊作だった。

母さんのことを話して、教会には都合によって月に何日か休むことがあると断りを入れた。


そうして麦と豆の収穫を終え、味噌の仕込みをし、干し柿を作り、リンゴの収穫が終わりかけた秋の三月の半ば。

うちに新しく弟が産まれた。名はリク。

冬は農閑期だから子どもが産まれたお祝いをすぐに、といっても四、五日後くらいにするんだけど、春から秋は皆忙しいから冬に祝うんだって。


赤ちゃんって、なんでこんなに可愛いんだろう。

まだふわふわの色の薄い髪の毛も、淡い瞳の色も、小さい手足も。可愛い可愛い可愛い。

うちのリクは世界一だ!


母さんに陣痛が起こると、父さんが教会に女性神官(助産婦の仕事もするんだよ。アリーさんが来てくれた。カナさんの時はもう一人のララさんが来てた)を呼びに行ったから、その間に私とリュートで母さんと生まれてくる子の為に祝福を祈った。

やはり魔法の光が母さんを包んで、母さんはすごく気持ちが落ち着いた、身体も楽になったよと言ってくれた。

実際すごい安産で、とても楽だったって。

嬉しかったよ。少しは母さんの役に立てて。


母さんはリクを産んだ次の日から働こうとしたからリュートと二人で全力で止めた。

せめて次の月が始まるまでは安静にしていてよって。

その間は私とリュートで家事をする。ま、私はリュートの手伝いくらいしか出来ないけどね。

つくづくリュートは女子力が高い。

でもね、リュート。料理を母さんより美味しく作らないのよ?


干しリンゴにする為に剥いた皮でイーストも作った。

剥いた渋柿やリンゴの皮のほとんどは家畜のエサにするんだけど、一部をカラカラに干して取って置くと新しいイーストを作る時の良い素材になる。

父さんに頼んで、家で飲む分のシードルは今年は少なめに作ってもらった。ジュースを多めに作りたいからね。

でも父さんはリクの誕生祝いに振る舞うからと、シードルを一樽分は別に確保してたけど。


シードルを売り出し始めた時、リュートはギルドに妊娠中と授乳中の婦人はお酒を飲まないように注意するよう進言した。

だって父さんも母さんもすごく喜んで飲んだから。聞いてみるとこの世界の人たちはほとんど酒好きなんだって。手に入りにくいから飲まないだけ。

私みたいにお酒がダメって珍しいくらいらしい。


だから注意の必要を感じたんだよ。

子どもが丈夫に育つ為だと強調してもらっている。

そんなわけで母さんは妊娠がわかってからは、ジュースか薬草茶を飲むようにしていたらしい。

今年、やけにジュースの減りが早かったわけだ。


お乳の出が良くなるように、日本にはあったタンポポ茶を母さんにあげたくて探した。

これはリュートにも手伝って貰えた。そうしたらこちらのビワに似た木(小さいビワそっくりの実がなるのに苦くて食べられない。染料には使う)の葉を炒ってお湯を注げば似た効用を持つって判った。

昔から言い伝えはあったらしい。でも苦いから飲まれなくなったんだって。


作って淹れる。コーヒー色だね。味見。確かに苦い。じゃ、大豆を一緒に炒ってみよう。うん。豆の甘味が苦味を少し減らしてる。でももう一味あると飲みやすくなる気がする。

コーヒーもカフェ・オ・レにすると飲みやすいよね?

ヤギのミルクを入れてみる。うん。ヤギのミルクは結構甘いからすごく飲みやすくなった。


母さんのところに持って行く。初めは

「ラフ(染料の木の名)の葉のお茶?あの苦いのよね?何入れたらこんな色になるの?ヤギのミルク?」

と嫌そうだったけど、大豆を一緒に炒って加えて甘味を出したこと、ヤギのミルクを入れたら甘味が強くなって飲みやすくなったと言ったら飲んでくれた。

「あら、これならお茶の代わりになるわね。」

今まで飲んでた薬草茶とラフ茶のオ・レを併用してもらうことにする。ミルクは栄養補給になるし。

薬草茶は確かに疲れを癒すけど、飲み過ぎると母さんは元気になり過ぎるから要注意だ。


ふと気がつくと、リュートは溜息をついていた。

大人しくしてるつもりはあったんだよ?ごめんよ。















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