ここはどこ?
白い天井の、白い壁。白い床。
病院かと思ったけど、ベッドがない。
あるのは白い、ふわふわの大きなクッションというかソファ。 私はそれにもたれかかって眠っていたらしい。
すぐ側にもう一つある同じ物に優人が座っている。優雅にお茶を飲みながら。
「優人?」
「お、気がついたか。」
「何があったの?ここは?」
私の問いかけに優人は、滅多に見られないくらいの真面目な顔をして答えてくれた。
「俺はお前より早く気がついて、説明を受けた。
花梨、俺たちは死んだ。ここは言うならば死者がどこに行くか決める場所だ。」
「どこって?天国とか地獄へ?自分で決めて良いもんなの、それ?」
「選べる。俺たちのいた世界に生まれ直すか、別の世界に生まれ直すか、消えるか。」
「生まれ直す?」
「うん。もし俺たちのあの世界に生まれ直すのなら、大樹と小夜の双子の子どもとして生まれることが出来る。」
「大樹と小夜さん?結婚するの?私たちが死んじゃったから?」
「みたいだよ。大樹なら小夜を任せてもまあいいかって思えるし。」
「私も。小夜さんと大樹ならおっとり優しい似た者夫婦になると思う。そっか。でもあの二人の子になるのはちょっと嫌だな。なんか照れ臭いよ。」
「じゃあどうする?消えるってのは何らかのエネルギーに変換されるらしいぞ。新しい星とか」
「あんたはどうしてそうなるのよ?どうせなら別の世界に一緒に行こうよ。ね?」
「そっちだと少し年を置いて一人ずつ生まれることになる。そんなに医学とか発展してないらしいから、一人ずつ生まれるほうが安全なんだとさ。生まれるのは俺が先で良いか?」
「うん。あんたが本当のお兄ちゃんになるのかー。元々兄貴風吹かしてたけど、私があんた頼ってたのは事実だから仕方ないね。」
「生まれ直す際には、今までの記憶や知識はそのまま持っていけるように交渉しておいた。満二歳になったら覚醒するから。生まれた時から理性があると色々キツいだろうからな。」
「わかった。よろしく。」
私がそう言ってうなずくと、私のでも優人のでもないどこか機械的な声が聞こえてきた。
「それでは優人さん、ドアを開けて出てください。花梨さんはそのまま、しばらく休んでいてくださいますように。時間が来ましたらお呼びいたします。」
それを聞いた優人は立ち上がり、壁に現れたドアに向かう。ノブに手をかけた優人は振り返ることなくドアを開けて出て行った。たったひと言
「又な、相棒」
と言葉を残して。
優人、カッコつけすぎ。
私はソファによりかかってもう少し眠ろうと目を閉じようとした。
あの声がそれを許してくれなかったけど。