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相棒となら異世界だって!  作者: 眠熊猫
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ソロバンの注文プラスアルファ

母さんを気遣いながら王都に向かう。乗っているのは馬車の御者台。結構ガタガタするのに母さんは平気な顔をしている。今日馬車に乗っているのは葉野菜とナスとトマトとピーマンなど、比較的軽い物ばかりとはいえ。でも明後日あたりにはじゃがいもやカボチャの収穫を始めようと言われた。


母さんはギルドの建物の近くに馬車をつけて職員と荷物の取り引きをした。

御者台に座って待っていると取り引きを終えた母さんが私を抱き降ろしてくれる。


大通りを曲がって小道に入って又曲がると母さんは立ち止まり、一軒の家を指差した。

「ここよ。私の従兄弟が職人なの。特注品ならギルドを通さなくても頼めるから。」

そう言うとドアを開けてその家に入る。

「ハウ、いる?セリだけど。」

「おう。久しぶりだな。どうした?またザルでも作って欲しいのか?」

そう言いながら奥の部屋から出て来たのは母さんの兄弟かと思うような人だった。

「今日は私の娘のリンがね。計算器を特注したいんですって。」

「ほう。リンか。生まれた頃に会ったきりだな。」

「はじめまして。ハウさん。」

それでどんな計算器を作って欲しいかをハウさんに話した。ハウさんは初めは面白そうだったんだけど、だんだん真剣な顔になって考え始めた。


「五の玉を作って別枠にする、か。すると残りは一の玉が四つになる。確かにこの方が数えやすい。間違い難い計算器になるな。

リン、これはギルドにも出来上がったら持ち込みたい。売り上げの二割をやるから売り出していいか?」

「一割で良いよ。それじゃあね、こんな物も作ってくれないかな?」

いわゆるリバーシーだ。縦横十マス、コマは百個で。やり方は子どもでもすぐ理解出来るし面白い。私はしないけど。リュートが大の得意なのだ。

でも、実際にやってみないと面白さは判らない。首を傾げながらもハウさんは引き受けてくれた。

どちらも明日には出来るらしい。明日はリュートと来ることにした。


翌日、リュートとハウさんの家に行く。

ドアを開けるとハウさんがいた。

「おう。リン。それにリュートか。よく来た。」

そう言うと計算器を見せてくれる。

五の玉を違う色の木で作っていて確かに判りやすい。

私とリュートの分の二つを注文したのに父さんと母さんの分まで貰った。自分の家族の分も作ったと言う。

「これは売れる。今までの物よりずっと間違い難いからな。売り上げの一割はリンの名前でギルドに口座があるからそこに入れる。」

「私の口座?」

「リュートのもあるぞ?シードルと干し果物の売り上げの一割を半分ずつ振り分けて入れてるそうだ。」

知らなかったよ。


「それからこいつ。頼まれた通りに作ったが、どうやって使うんだ?」

ハウさんが新たに出して来たリバーシーを見てリュートの目が輝いた。

「おじさん、これは遊ぶ物だよ。こうやって使うんだ。」

リュートと私でやって見せる。あっという間に私が負けた。次にハウさんとリュートでやる。惜しい感じでおじさんが負けた。リュート上手いよなあ。

「リン、これも売り」

「うん。売って。売り上げの一割をリュートと半々でお願いね。」

「わかった。」


結局私たちはソロバンとリバーシーをタダで手に入れた。




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