教会での学び
結局。特例で私は教会に通うことになった。
リュートと一緒に習っていた二人の男の子(名前はサイとニール)にはからかわれ、もう一人の女の子(名前はコーリ)には驚かれたけど。
それでもリュートが私を連れて来た理由を説明したら納得された。魔法って使い始めが一番危ないんだって。手や顔に火傷したりすることは結構あるから。気をつけてねって皆に念を押された。
コーリは仲間が出来たって喜んでくれた。女の子のクラスは人が少なくて、おまけに年かさの女の子(と言っても三歳上が二人と四歳上が三人)が近々教会に来なくなる予定らしい。
まあ要するに卒業だけど。どちらかと言えば修了だね。神官に頼むと試験が出されて全問正解だと
「もう教会に来なくてよろしい。」
と言われて七宝焼きみたいな赤と青の色がついた四角い二センチ角くらいのバッジが渡される。基本の学びが終わった印だ。基本服の襟につける。
仕事について見習いになり数年後。親か仕事の長がバッジを外せ、と言ってきたら一人前。
その試験を五人の女の子たちが明日受けるんだって。
もし全員が受かれば残る女の子は二人になってしまう(十二歳の子が一人)ので心細かったらしい。
今、私たちより年上の女の子たちはもう一人の女性神官、ララさん(ヤンさんの奥さん)が指導してる。
アリーさん(タークさんて男性神官の奥さんなんだって。)から本を受け取る。言われたページを開いてアリーさんの音読を文字を追いながら聞く。
数行で音読を終えたアリーさんが今度は同じ所を私たちに読ませる。そして石盤に書き写す。一ページの半分ほどで今日はお終い。
だけど。実はスキルの「言語習得」で本をぱらぱらめくっただけなのに本一冊全部を読めて書けるようになったのは反則だと思った。しかも覚えてしまったし。いやごまかす気満々だけど。
計算に関しては、リュートから少し教わったのだとごまかしてコーリと同じ内容から始めてもらった。
実際数字自体は教えてもらっていたし。
微分とか積分とかだと間違えるかもだけど、いわゆる
四則演算なら任せなさい。
しかも今のところ、足し算と引き算だけだし。
でも確かに、最初から計算器(五の玉がない、九個の玉が通されたソロバンだった)を使ってると理解しやすい。繰り上がり、繰り下がりが手と目で判る。
ただ一列に一の玉が九個あるから少し面倒。数えるのを間違えやすい。
これ、日本のソロバンに変えても良いかな?
小学生の頃、習ってたんだよ。級とかは取らなかったけどね。
帰ったら父さんたちに相談してみよう。
私とリュートはその方がきっと使いやすいもの。




