また何か作ってみたけど
私はリュートが教会に行ってる午前中に野原や裏山に行って採取をしてる。
今はナップサックと布で作った簡単な袋(エコバッグみたいな物だ)いっぱいに薬草やキノコ、果物を持って帰って来てる。量的にはリュートが居た時の三分の二くらいかな。
持ち帰ったキノコと薬草はきれいに洗ってからこの為に父さんに作ってもらったザルに入れて干す。
一日二日でカラカラになるから毎日持ち帰っても処理しきれないなんてことにはならない。
果物は春の二月の桑の実を採り終えて三月の木苺を今は摘んでる。もう少ししたら実る夏の一月のスモモ、夏の二月の杏は絶対摘んで干すつもり。
干し柿と干しリンゴは商品として大人気になった。だから家で食べる分が少なくなってしまった。それを補う為に山の果物を干しておく。ほんの少しずつしか作れないから自家用になるのだ。
今年は多分家に生えてきた渋柿だけで作っても結構凄い量の干し柿になると思うんだけど。
とにかくギルドからはもう干し柿は無いのかって問い合わせがすごかった。
干しリンゴはシードルを作った分だけ量が少なかったしね。
だからうちも含めて皆、この春に少しリンゴの果樹園を広げた。シードルもまた人気だったんだよ。特に村のおじさんたちに。
ワインは造られてるけど、ブドウの育つ場所が限られていて高価なんだって。
他にお酒は何かの雑穀で造られたビールと濁酒の中間のようなお酒(チクトック、子どもの酒という意味の名前がついてる)しかなくて。軽く発酵したお粥みたいな酒だから、酔う前にお腹がいっぱいになってしまうんだって。それって本当にお酒なのかな?
暑気払いには良い飲み物で安いから結構この村でも買う人がいるらしい。作り方を知ってるおばさんもいて教えてくれた。
子どもでも飲めるっていうから、父さんに一本買ってきてもらう。
そうして私の「鑑定」で調べた後、教会から帰って来たリュートに「知恵」を使って貰ってさらに調べた。
材料にする雑穀は何でも良いらしい。現に何種類か混ざってた。
ということはニワトリやヤギたちのエサにしてる雑穀でも作れる筈。
去年、シードルを造った時に大量に出たリンゴの絞りカスや、干す時に剥いた渋柿やリンゴの皮を家畜にやったら喜んで食べた上に毛並みも良くなった。産卵や乳量も増えたし。
でそれを食べさせた分だけ、雑穀が結構余ってる。
雑穀を発芽させて煮込んで少し冷ましてすり潰せば後は何日か放っとくと出来あがるこの酒に、パン酵母を少し加えて発酵させてみた。するとお酒のアルコール度数が高くなった。それを布に入れて絞る。かるく火を入れて完成。
綺麗に澄んだ日本酒もどきみたいなお酒が出来た。
これを広めたら…どうなるかな?
蒸留したら焼酎だよね?
しかし私なんだってお酒ばかり作ってるんだろう?
前世だって今だって好きじゃないのに。
え?神様がお酒好きなの?供え物に欠かせない?
そんな説話があるの知らなかったよ。私。
もしかして神様に誘導されたかな?
でもまあいいか。
リュートも日本人だった頃みたいにお酒好きになりそうだしね。




