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君と僕の勘違い  作者: きがしま
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第一話

タイトル一話目で投稿しましたが話動き始めるのは次かその次あたりなのでプロローグみたいなものです。

たぶん読んでも「?」だと思いますが過去編的なやつでそのうち補完する予定です

 ずっと、暗闇の中にいた。そこから誰かの人生を見ていた。僕の送った人生のように派手ではなくとても平凡で珍しくないものだったけれど、そこには確かに僕の人生よりもはるかに多くの幸せとはるかに多くの夢で溢れていた。

 そんな彼が理不尽な運命に向かって必死で抗っている。その原因が僕なのもわかっていて、それでも僕は何もできずただ見ているだけだった。そしてついに彼はその理不尽に飲み込まれ負けてしまった。

 倒れ伏す彼から何かを取り出すと、誰かが僕に差し出しこう言った。

「これであなたがもう一度始まります。あなたの願いを叶えるための、あなたのためだけのこの世界で。さあ、受け取ってください」

 その言葉が届くと同時に僕は—―――




 目を開けるとそこには暗闇の中で見ていた彼が倒れているのと、僕に向かって跪く数人の姿が見えた。

「僕は死んだはずじゃ......」

 思わずつぶやくと、跪いている一人が

「あの処刑のあと我々が貴方様の遺体を回収し、保管しました。魂と魔力の核に関しては我が仲間の一人に植え付け、それを先祖代々引き継ぐことで消滅を防いできました。そこにあるのがその保管所です」

「そうか、感謝しよう。わが友はどうだ。彼奴も私と同じように回収されたのか」

 問いかけると、

「申し訳ありません。あの方の遺体は処刑後王家の手により速やかに埋葬されたと聞いてます。故、この時代におられるのは団長のみです」

 その言葉を聞き、内心の動揺を悟られないようにしつつ、

「ではこの後はどうなる。彼の処理や住む場所、名前はどうすればいい」

「この後、魂の受け渡しが終了したことをうけ、肉体に魂を定着させるために魔力が大量に消費され、肉体と魂の再編集が行われます。それが終わったら団長は再度生を受け、存在することが可能になります。そこから先の過ごし方に関しましてはご自由に人生を送ってくださればそれが我々の幸せです」

「この後の生き方はとりあえず帰ってじっくり考えることにするが、再編集か、どんな感じで起こるんだ」

 そう言うと同時に身体が内側から焼けるように熱くなり、それに伴い魔力が一気に失われていくのを感じる。

「そうか、これが再編集か」

 そうつぶやきながら彼らを見ると、次々に身体が透けて行っていた。

「これはお見苦しいものを見せてしまいましたな。本来我々は既に死に絶え、この時代には存在できないモノたちです。今までは肉体と魂をずらしていたため何とかごまかせていましたが、それもここらが限界というわけです。消える前に団長と再び会えてうれしかったです。この先の人生に幸多きことを」

「そうか、一足先に逝っておるがいい。私もそちらに行ったらまたともに過ごそう」

 最後まで自分のために動いてくれた部下の最期を看取りながら、ひとまずこれが終わるまではおとなしくここにいよう。そう決め、気持ちを落ち着けるために目を閉じた。




 あいつがいないこの世界に何の意味があるっていうんだ

――――そう思いながら。

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