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五魔(フィフス・デモンズ)  作者: ユーリ
五魔捜索編
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魔人対聖人


 その場にいた誰もが驚きを隠せなかった。

 完全にキレていたリナも、ギゼルの攻撃で全身ボロボロだったクロードも、そして常に冷静だった敵のオメガですら、目の前の出来事に意識を奪われ茫然としている。

 そんな中、その驚きの原因であるエルモンドは、リナ達を見付けると目を輝かせる。

「おお~!!! リナじゃないか! 女の子らしくなって! ジャバにクロードも相変わらずだね~! リーティアも綺麗な姿だ! あ、レオナ~、君なかなか綺麗になったね~。 もしかして結婚でもしたのかい?」

 戦場でなければただ懐かしい友人にあっただけの様な反応のエルモンドに、先程までキレていたリナが思わず叫ぶ。

「てめエルモンド!!! お前なに生き返ってんだよ!? ていうかどうやって生き返ってんだよ!? つかこの状況見ろよ相変わらず空気読めねぇな!!」

「ふひひ、いいねいいね、リナはやっぱりそうでなくちゃ。 あ、それと君達来るの早すぎ。 僕の計算だと後18時間48分23秒後の筈なのに。 やっぱり3年近くの出来事を予想するのは難しいね」

「人の話聞け~!!!」

 憤慨するリナにエルモンドはケラケラ笑うと、その視線をノエルに移した。

「なるほど、彼がノルウェ君の息子か。 なかなか面白そうだ。 君なら予想より早く来たのも頷ける」

 興味深そうに自分を見つめるエルモンドは、本当なら40後半くらいなんだろうが表情のせいでノエルはそれより若く感じた。

「さてリナ。 君の質問をここで答えてもいいけど、それより先にすることがあるんじゃないかな?」

 エルモンドの言葉に、リナはムスッとしながら自身の相手に向き直る。

「さっさと手を貸せ! この寝惚け野郎!」

「ふひひ、了解魔王様」

 エルモンドはギゼルに向き直り杖を構える。

「そういうことだから、彼を倒すまで皆もう少し踏ん張ってね」

「簡単に言いやがる」

 悪態をつきながら、リナにいつもの余裕と冷静さが戻る。

 そして変化はリナだけではなかった。

「うがあああう!! エルモンド! 生きてた! おれ頑張る!!」

「ちょっと! なに急に勢いづいてるの!? 寄るなケダモノ!!」

 ジャバの勢いにイプシロンは思わず後退する。

「全く、せっかく後で言おうと思ってたのに、そうやって人の言うこと先に言うな!!」

 エルモンドに悪態をつきながらレオナはシグマの拘束から抜け出し、攻勢にでようと新たな武器を産み出した。

 五魔全員が、エルモンドの出現により息を吹き返した様にそれぞれ勢いづく。

 それだけエルモンドという存在は、五魔にとって頼もしいものなのだと、ノエルは感じた。

 ノエルだけではない。

 エルモンドと対峙するギゼルも、既にイトスから離れ、臨戦態勢へと入った。

「し・・・師匠・・・」

 イトスが未だ事態が飲み込めない中、エルモンドはゆっくり近づくとイトスの頭を軽く撫でた。

「ふひひ、初めての実戦で頑張った様だね。 いい経験出来たじゃないか」

「し、師匠・・・」

 涙を堪えるイトスに、エルモンドはニッコリ笑いかける。

「さあ、あとは僕に任せて。 クロードのことを頼むよ」

「は、はい」

 イトスをクロードの所まで下がらせると、エルモンドはギゼルを見た。

 ギゼルは最初こそ他の皆同様に驚いていたが、既に冷静さを取り戻していた。

「なるほど、偽死・・・いや、仮死を使ったか」

「おほ! それに気付くなんて、君はなかなかいい目をしているね!」

 エルモンドはそう言うと小瓶を1つ取り出した。

「そう。 君の言う通り、狸とかがやる仮死行動を行う為の薬を作ってね。 いや~苦労したよ。 流石に3年程死んだままなんて、僕も実験なんてしたことなかったからね」

 エルモンドはふひひ、と笑いながら話すが、ギゼルからすればとんでもない話だ。

 そもそも仮死とは、熊や爬虫類等の一部の動物が冬を越すためエネルギー消費を極限まで抑える能力だ。

 普通ならどんなに長くとも半年が限界。

 それを本来仮死能力のない人間が自発的に、しかも年単位で可能にし、更にその後すぐこうして普通に活動出来る状態に肉体を保つ等、常識からすればあり得ないの一言だ。

 だがエルモンドはそれを可能にした。

 その事だけで、ギゼルにとってエルモンドが得たいの知れない恐ろしい存在だと認識するのに十分だった。

「しかしまさか仮死の可能性に気付くとはね~。 え~と、君は確か・・・」

「聖五騎士団最高幹部が一人、聖人・ウリエルことギゼル・ラグノ・・・」

「ああそうだそうだ! ギゼル君だ。 そうそう。 10年前魔甲機科学の権威だったね」

「!? なぜそれを!?」

「そりゃ知ってるとも。 世間に知られていない優秀な技術者のことくらいね。 なるほど君の義手や義足技術は当時から凄かったけど更に進化してるね~。 ここにいる子達を見ればすぐわかるよ・・・おお~!!!」

 まるで玩具を見るように目を輝かせるエルモンドは、あるものを見て更に目を輝かせ、ギゼルに突進した。

「く!?」

 突然のエルモンドの行動にギゼルは身構える。

 が、エルモンドはギゼルをすり抜け、その背後のものを捕獲した。

『いや!? ちょっと! 離しなさい!!』

「おほ~!!! これは凄い! まさか完全な機械生命体を造りあげるなんて! しかもこんなに優れた人格を人工的に作製するとは! 一体どういう仕組みなんだい? 気になるね~気になるね~」

『ちょっと!? どこ触ってるのよ!?』

 捕まえたアンヌを弄くりまわすエルモンドに、ギゼルは一瞬呆けると烈火の如く怒りだす。

「き、貴様~!! 私のアンヌに何をするか!?」

「アンヌというのかい。 素敵な名前だね。 もう少し詳しく見せてくれないか?」

『いい加減にしなさい! この変態が~!!』

 アンヌは体を巨大化させ、エルモンドを振り払おうとその羽で殴り付けた。

「ぬが!?」

 直撃したエルモンドはそのまま吹き飛ばされ木に激突した。

「アンヌ、無事か!?」

『ええ、お父様。 もう、なんなのあの人は・・・』

「いや~凄い凄い。 これは素晴らしいね」

 ギゼルとアンヌは声の方を向くと、アンヌの攻撃を受けたエルモンドが何事もなかったかの様に起きあがった。

『嘘・・・完全に入った筈なのに・・・』

「やはり何かあるということか」

 エルモンドのタフさに驚きながらもギゼルは冷静に分析した。

 そもそも先程ギゼルが墓を攻撃した時から既に違和感はあった。

 あれだけ激しく燃える中、エルモンドは火傷1つ負わず平然としていたのだ。

 魔力による防壁か、それとも別の何かか、ギゼルはあらゆる可能性を頭の中で巡らせる。

「質量の変化にあのパワー。 軽く1トンはあるね。 更にその子の知能、ルミノス結晶を使ってるみたいだね」

「なっ!?」

「ふひひ、やっぱりそうか。 魔鉱石よりも魔力を集積した魔結晶石。 その中でも更に魔力集積率が高く貴重なルミノス結晶なら頭脳代わりにするのに最適だ。 それに幾重にも人格の魔術式を重ねてるね。 しかもそれには、恐らくモデルになった人物がいるだろう? いや~君のその技術力は見事の一言だね」

 純粋に誉めるエルモンドに対し、ギゼルは言葉を失った。

 何故ならエルモンドの言ったことは全て当たっているからだ。

 たった少しアンヌを触っただけでアンヌの中枢の仕組みを分析し理解するエルモンドの能力は、ギゼルにとって驚異の一言だった。

 早期決着が最善と判断したギゼルは、右手に魔力を貯める。

「師匠気を付けて! そいつは魔力を封じることが出来るんだ!」

「魔力を封じるだって!?」

 イトスの言葉に、エルモンドの顔色が変わった。

「それは凄い! 是非ともやってみてくれ!」

「なんだと!?」

「師匠!?」

 あまりに意外なエルモンドの反応に思わずギゼルは声をあげる。

「魔力を封じる術なら聞いたことはあるけど、体験したことはなくてね! ほら遠慮せずに僕に味あわせてよ!」

「ぐ・・・どこまでも人をおちょくりおって! いいだろう! そんなに体験したければ喰らうがいい!」

 ギゼルはリナ達に放った膜を放つと、それはエルモンドを包み込んだ。

「お・・・おほ~!? 凄い! 魔力が欠片も出ない! 素晴らしい効力だよ!」

 魔力が封じられながらも更に喜ぶエルモンドをギゼルはある種の不気味さを感じながらも勝利を確信する。

「ふん! 貴様がどの様な力を持つか知らんが、魔力を封じられてはどうしようもないだろう! このまま終わらせてや・・・」

「ふむふむなるほど。 人の体にある魔力の放出口全てにコルクの様に自分の魔力で蓋をする術か。 実に面白い!」

「!?」

 自身の魔力封じの仕組みすらすぐに看破され驚くギゼルに、エルモンドは更に続けた。

「しかし君の魔力は平均的な魔力量しかないみたいだね。 それを腕に付けている腕輪で強化して術を放っているのか。 つまりこの魔力の蓋も強化されているわけだけど、それ以上の魔力を一気に噴出させればシャンパンみたいに蓋が飛んでこの術も解けるということだね。 ふむ。 やはり体験して得た経験というのはかけがえがないね」

 エルモンドの指摘に言葉を失うギゼルだったが、その表情は徐々に怒りへと変わっていく。

「貴様・・・どこまで私をコケにすれば気が済むんだ!?」

 ギゼルは先程クロードに放とうとした物より大きな火球を生み出すと、更にそれに電撃をプラスさせる。

 ギゼルにとってエルモンドの言葉は侮辱以外のなにものでもなかった。

 無論エルモンドにそんな気はない。

 純粋に自分が興味を持ったから受け、分析した結果凄いと思ったから賞賛しただけだ。

 だがギゼルからすれば、アンヌの構造を見抜かれ、自身の至高とも言える技も瞬時に見抜かれ、その欠点のみならず自身の魔力の弱さまで看破されたのだ。

 しかもわざと攻撃を受けるというおまけ付きだ。

 ギゼルにとってエルモンドの言動は屈辱的なものだった。

「ほほぉ、炎と雷を混ぜるなんて器用だね」

「ほざけ! 貴様がどんな手を使おうと、これだけの魔力密度の術を防ぐことは不可能! 私を侮辱した罪! 再び墓場に戻り後悔するがいい!!」

 ギゼルは炎雷球をエルモンドに投げると、轟音と共に直撃させた。

 着弾点から電撃を帯びた火柱が起こり、エルモンドの全身を巻き込んでいく。

「ふははははは! これで終わりだ! 貴様を倒せば、このまま五魔全員殲滅も可能だ!」

「リナさん!」

 エルモンドが火柱に包まれ声をあげるノエルに対し、リナは「心配ねぇよ」とニヤリと笑う。

「余裕だなディアブロ! だがいかに魔人といえども、我が最大魔力を込めた一撃には耐えられまい! 貴様も魔力が封じられた現状では、この状況を打開出来ん!」

 勝ち誇ったギゼルに、リナはやれやれと息を吐く。

「てめえ、五魔を舐めすぎだよ」

「なに?」

 瞬間、火柱が爆音と共に吹き飛んだ。

「なん・・・だと?」

「いや~また怒らせちゃったみたいだね。 人の心だけはどうしても読みきれないね」

 吹き飛び煙が舞う中、エルモンドの姿が徐々に現れていく。

 だがそこに現れたのはエルモンドだけではなかった。

 エルモンドの杖の赤い宝玉が光り、その上に深紅の肌に髪が炎その物の逞しい体躯を持つ魔人が浮いている。

 ギゼルはその魔人を見た瞬間、それがなんなのかわかり表情を一変させる。

「ば、馬鹿な・・・まさかそれは・・・」

「ほほう、イフリートの事まで知ってるなんて、君はなかなか博識の様だ。 っといけないいけない。 よく見たら結構燃えてるね」

 エルモンドは青と緑の宝玉を光らせる。

 すると青の宝玉から水で体を構成された美しい女神が、緑の宝玉からは背中に半透明の虫の様な羽を生やした手のひらサイズの妖精の少女が現れた。

 女神が手を上にかざすと水流が放たれ、妖精は風を生みだし水流の水を辺りに雨の様に蒔いた。

 水はギゼルの炎もデルタのミサイルによる爆炎の上に降り注ぎ、消化していった。

「よしよし。 これで大火事にならずに済む。 ありがとう二人とも」

「ウンディーネにシルフィー・・・まさか貴様・・・その宝玉は・・・」

「ふひひ、流石に察しがいいね。 君には魔力封じなんて貴重なものを体験させて貰った恩もあるからね。 特別に彼にも登場してもらおう」

 エルモンドは最後の黄色い宝玉を光らせると、大地の中から筋骨粒々の坊主頭の巨人がエルモンドの背後に現れる。

 宝玉から現れた4体の異形の存在の正体に気付いたギゼルは、動揺を隠せないでいた。

「馬鹿な・・・馬鹿な馬鹿な馬鹿な! イフリートにウンディーネにシルフィー、それにタイタンだと!? そんな馬鹿な事があるか!? それは・・・そいつらは、四大精霊ではないか!?」

 精霊とは、この世に存在するあらゆる自然の魔力から産まれた存在。

 体は魔力で構成されておりその力は大小様々で、普通の精霊ですら人間の一生では会えない程稀少な存在だ。

 その中で四大精霊は、この世を構成する四大元素、火、水、風、土を司る存在であり、他の精霊とは別格とも言える力を秘めた最上級精霊である。

 それが全員揃い、エルモンドに力を貸している。

 ギゼルは文献での情報しか知らなかったが、この状況にリナ達の力を初めて見た時以上の衝撃を受けていた。

「この子達は僕の古い友人でね。 普段は宝玉の中にいるんだけど、必要な時に力を貸してくれるんだ。 特にウンディーネとタイタンにはお世話になってるよ」

 その言葉でギゼルは漸くエルモンドのタフさの原因がわかった。

 大地を司りあらゆる鉱石の特徴を持つタイタンに防御力を、水の持つ浄化と癒しの力でウンディーネから回復力を得ていたのだ。

 その為、エルモンドはどれ程攻撃を受けても倒れずケロッとしていたのだ。

 四大精霊という予想外の存在とエルモンドの力の秘密にギゼルは明らかに焦っていた。

 その光景を見ていたオメガはギゼルが危険だと察知し、ギゼルを守ろうとする。

「おっと、どこ行くんだよ? 途中で止めるなんてつれねぇな」

 リナはオメガの前に立ち塞がり挑発的な笑みを浮かべる。

「どけ。 どかぬなら先に貴様を殺す」

「おいおい、さっきと違って随分感情的じゃねぇか。 そんなに奴が大事か?」

「無論。 ギゼル様は我らの救世主。 あの方の為なら、我ら全員どんな所業すら厭わん!」

 オメガは密かに腕に貯めていた電撃を拳に帯電させ、リナに襲い掛かる。

「おらぁ!」

 リナが気合いを込めると、まるで関を切った様な凄まじい魔力が溢れだす。

「な!? 馬鹿な! 貴様ギゼル様に・・・」

「エルモンドの説明聞いてなかったのかよ? 魔力の蓋をそれ以上の魔力でぶっ飛ばしゃ魔力は使えるってことだよ」

 先程のエルモンドとギゼルのやり取りを聞いていたリナはエルモンドの意図を察し、ギゼルの魔力をはね除ける為の魔力を貯めていたのだ。

「だから言ったろ? 五魔を舐めすぎだってな」

「おのれ! ライトニングドライバー!」

 既にリナの間合いに入り回避は不能と判断したオメガは、自身の最強の技での応戦を選んだ。

 必殺の一撃を放つ瞬間、オメガの体はリナに引っ張られる。

「な!?」

「てめえには特別に俺の隠し玉見せてやるよ。 引力って隠し玉をな!!」

 強力な引力に引き寄せられ体勢を維持できなくなったオメガに、重力を纏ったリナの拳が炸裂した。

「!?」

 直撃を受けたオメガの腹部はリナの拳によって貫かれた。

「ライルの借り、キッチリ返したぞ」

 リナが拳を引き抜くとオメガはその場で膝をついた。

「ぐ、デルタ!!」

 オメガの劣勢に、ギゼルは急ぎ援護の為レオナ達に爆撃を続けていたデルタに指示を出す。

「了解しましたギゼルさ!?」

 旋回しリナを狙おうとしたデルタを、熱線が貫く。

 デルタが熱線の方角を見ると、イトスに支えられながら片手から魔力の糸を出しリーティアを操るクロードの姿があった。

「私達を・・・忘れてもらっては困るよ」

 まだダメージが残る体でありながら不敵な笑みを浮かべるクロードを見ながら、デルタは墜落していった。

「おのれ五魔! よくも同胞を!」

「許さないわよ、貴様ら!」

 オメガとデルタがやられ怒りのまま突っ込むシグマとイプシロン。

「熱いの止んだ! もう負けない!」

「悪いけど、あなたの硬さにはもう慣れたわ」

 爆撃が止み自由となったジャバとレオナはそれぞれ拳と剣を振るう。

「くかぁ!?」

「ぬおおおおおおお!?」

 ジャバの拳がイプシロンを吹き飛ばし、レオナの剣がシグマの右腕を斬り落とした。

「おやおや、皆流石だね。 リナもちゃんと人の話聞いてたなんて成長してるんだね~、ふひひひ」

「く!? おのれ!」

 皆の活躍を嬉しそうに笑うエルモンドに対し、完全に形勢逆転されたギゼルはなんとか事態を打開しようと魔力封じをイフリート達に放つ。

 だが魔力の膜に触れても、イフリート達の魔力は欠片も衰えなかった。

「無駄だよ。 彼らは体の殆どが魔力で構成されている。 弱い精霊ならともかく、彼等ほどの魔力量を封じるのは君でも無理だよ」

 エルモンドはギゼルに向き直る。

「さて、そろそろ決着といこう。 君には色々面白い経験をさせて貰ったからそのお礼に、イフリートの業火を体験させてあげよう」

 イフリートは両手に炎を貯め始める。

「う、うわあああああああ!!」

 ギゼルは火球や電撃をイフリートに浴びせるが、その全てがイフリートの熱により消滅してしまう。

「さあ、これが本物の炎だよ」

 イフリートは両手の炎を合わせ1つの巨大な火球にすると、ギゼルに向けて投げ飛ばした。

 ギゼルは避けられず、火球が直撃した瞬間に起きた火柱に飲み込まれた。

「ぐおおおおおおおおおお!?」

 ギゼルの絶叫が響く中、火柱が治まるとギゼルはその場に倒れた。

「これが精霊の炎だよ。 いい経験が出来たね」

 エルモンドはまるで授業を終えた講師の様にふひひ、と笑った。


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