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五魔(フィフス・デモンズ)  作者: ユーリ
五魔捜索編
6/360

VSライル

早めに新しい話投稿です(^_^ゞ

「え?ライルさんと・・・ですか?」

 突然ライルと戦えと言われ困惑するノエルに、リナは続けた。

「まあぶっちゃけるとだな、今お前弱すぎる」

 瞬間、ノエルの背中に見えない槍が突き刺さる。

「多少魔力が使えて反射神経もそこそこ程度じゃはっきり言って話になんねぇ。 第一あのグリムとか言うのはともかく、チンピラくらい素手で軽くぶっ飛ばすくらい出来ねぇんじゃ足手まとい以外の何にもなんねぇよ。 しかも魔法の威力も低すぎる。チンピラであれじゃ、聖都の兵士なら一瞬で捕まるな」

 容赦ないリナの言葉に、ノエルは何本もの槍を全身に受けたような気持ちだった。

「姉さん、ちっと言い過ぎじゃ・・・」

「こういうことは最初にズバッと言った方がいいんだよ」

 悪びれないリナに対し心配そうにこちらを見るライルに、意外と優しい人なんだなとノエルは思った。

 だが実際リナの言う通りだった。

 今まではなんとか騙し騙しやってきたが、これからはそうはいかない。

 グリムとの一件で自分の存在が明るみに出ていることは明白。

 今より強くならなければ、何一つ為す事は出来ない。

「・・・それで・・・ライルさんと戦って鍛えろと?」

「お、察しがいいな。 まあ今日は改めてお前の実力見る程度だけどな。 どうする?やるか?」

「やります。 ライルさん、お願いします」

「おっしゃ~! いっちょ胸貸してやるよ!」






 外に出た3人は人に見られないよう近くの森に入る。

「それじゃやるか。ライル、手加減すんなよ」

「わかってますよ姉さん」

 そう言って肩を回すライルをノエル観察した。

 正直今まで情けない姿ばかり見せているライルにそこまでの驚異は感じていなかった。

 強いて言うなら、手加減しているとはいえリナに何発も殴られながらピンピンしているタフさくらいだ。

 後はその見た目から力任せで攻めてくるタイプではないかと予測を立てる。

 最後に自身の体の状態を確かめる。

 先程グリムにやられた傷があるが傷自体は浅く、電気のダメージもほぼ抜けている。

 十分動けると判断したノエルはライルに頭を下げた。

「よろしくお願いします、ライルさん」

「おお! どんと来いや!」

 そう言って構えると、ライルの雰囲気が変わった。

 瞬間、ライルが勢いよくノエルに向かってきた。

(速い!?)

 ノエルは見た目からは裏腹に俊敏な動きをするライルに驚きながら黒炎を展開し放つ。

 ライルはそれを最小限の動きでかわすとノエルの横から腕を取ろうとする。

 瞬時に腕から黒炎を出しそれを防ぐと、ノエルは急いで距離を置いた。

 ノエルは自分がとんでもない見当違いをしていることに漸く気付く。

 ライルはタフさだけが取り柄のパワータイプではなく、状況を見極めて戦える格闘家、しかもかなりの実力者だ。

 見た目と先程までのリナとのやり取りでライルを見謝った自分の浅はかさを反省しながら、ノエルは油断なくライルを見据える。

 ノエルは近くの木の枝に飛び移るとそこから黒炎を放つ。

 ライルがそれをかわすと素早く他の木の枝に飛び移り再び黒炎を頭上から放つ。

 常に相手の頭上を制する事で体格差の不離を無くそうという作戦だった。

「あめぇ!」

 その時、ライルは黒炎をかわしながらノエルの立つ木に拳を叩き込む。

 すると木は真っ二つに折れた。

 折れて倒れそうになる木から逃げようとノエルが飛ぶと、ライルがその目の前に立ちはだかる。

「終いだ!」

 ライルはノエルの顔面を殴ると、ノエルはそのまま地面に叩きつけられた。

「よ~しそこまでだ。 お疲れ、ライル」

「うっしゃ~! て大丈夫かおい?」

 地面に着地したライルはノエルに手を貸し立たせる。

「大丈夫です・・・ライルさん強いですね」

「そりゃそうだ! 伊達に毎日姉さんにどつかれてねぇからなんぎゃ!?」

「余計なこと言ってんじゃねぇよ」

 ライルに拳骨を食らわせるとリナはノエルに向き直る。

「まあそこそこ身軽なのはわかったけど、やっぱりスタミナはないな。 後黒炎に頼りすぎだ。 もっと体を基礎から作り直さねぇと応用しても効果が薄い」

「基礎・・・筋トレとかですか?」

「まあそこは考えてある。 今日はあの馬鹿ともやり合ったし、先戻って休んどけ」

「?リナさん達は?」

「ちょっと野暮用だ。 すぐ済む」

「わかりました。 ライルさん、ありがとうございました」

「おう! これから毎日鍛えてやっから覚悟しとけよ!」

 ニカッと笑うライルにお辞儀をすると、ノエルは例の小屋に向かって歩きだした。

「・・・姉さん」

「あ?」

「あいつ・・・そんなに弱いっすか?」

「いや、そこそこやる」

「のへぇ!? じゃあさっきのは・・・」

「声でけぇよ」

 慌てて口を押さえるライルに、リナはため息を吐く。

「でも実際体鍛え直さなきゃなんないのは事実だ。 あいつお前の動きに目は反応出来てたけど、体が追い付いてねぇ。 それじゃ折角の機転も活かしきれない。 それに・・・」

「それに?」

「あいつ・・・魔力手加減してやがるな、それも無意識に」

「・・・マジっすか?」

「あれだけ炎使えんだ。 黒の魔力だってもっとコントロール出来たっておかしくねぇ」

「んじゃ・・・なんでまた手加減なんか・・・」

「多分性格のせいだな。 あいつは親父に似て本当は優しい性格だ。 きっと魔力のデカさがわかってるから無意識に加減しちまうんだよ」

「・・・そんなもんっすかね・・・」

「・・・こりゃちっと考えねぇといけねぇな・・・」

 リナはノエルの事を考えながらライルと歩き始めた。

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