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五魔(フィフス・デモンズ)  作者: ユーリ
五魔捜索編
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聖獣の襲撃

 翌日、ノエル達はゴブラドにラクシャダでの留守を頼みラズゴートに指定された場所へと向かった。

 場所は昨日ラズゴートと会った町の南にある草原。

 周囲に人気はなく、ちょっとした高岱がある程度の静かな場所だった。

「しっかし草原とはまたベタだなあのおっさんも」

 リナは軽口を叩きながら周囲を警戒している。

 調子こそ崩してはいないが、やはり油断は一切していない。

 それは他のメンバーも言える。

 レオナもいつでも剣を出せる様に構え、クロードも既にリーティアを戦闘形態の白銀鎧姿にしている。

 ジャバとジンガもつねに鼻で匂いを探っている。

 ノエルも気を引き閉め辺りを警戒するが、どうしても気になることがあった。

「ライルさん、大丈夫ですか?」

「ああ」

 気になって声をかけたノエルにライルは一言答えると静かに辺りを見回した。

 昨日の話し合いからずっとこの調子である。

 正直普段賑やかな分余計気になる。

 何故この様になったのかリナすら理由はわからないらしい。

 少なくともリナの知る限りラズゴートとの接点はないそうだ。

 もっとも追求することも出来るが、今はあえてしていないようだ。

 理由がなんであれ、それは本人が自分から語らないと意味がないと判断したのだろう。

 自分から話す気になるまで待つというリナなりの優しさなのだろう。

 他の皆もそれを察し聞こうとはしない。

 ノエルもそれ以上話さず、意識を辺りに集中させる。

「!ガウ!ガウ!」

「どうしたジンガ!?」

「ラズゴートの匂い!すぐ来る!」

 ジャバとジンガの反応に全員が臨戦態勢になる。

「どこだジャバ!?」

「上!来る!」

「上だと!?」

 リナが上を見上げると、小さな人影が徐々に大きくなっていたのが見えた。

「ぬおりゃあああああああ!!!」

「!?避けろ!!」

 ノエル達はすぐ四方に飛びその場が離れる。

 すると先程までいた地面に戦装束のラズゴートが思いきり斧を叩き付けた。

 瞬間地面に一気にヒビが入り、それが避けたノエル達の方へと急速に広がっていく。

「!?うあああああ!!?」

 すると突然地面が砕け、巨大な穴となり唯一穴の届かなかったリナを除き全員を呑み込もうとする。

「ノエル!皆!」

「おっと!行かせんぞ!」

 助けに行こうとしたリナの前にラズゴートの巨体が立ちふさがる。

 その事態に唯一クロードはリーティアを使い皆を回収しようとする。

 だがいくつかの影が突然穴に入ってきて、その一つがリーティアに飛びかかった。

「なに!?」

「行かせないわよ、クロードさん」

「君は・・・ハンナか!?」

 獣王親衛隊の一人、猫の仮面被った女性ハンナはそう言うとリーティアを引きずり込む様にで穴の中に急降下し、クロードもそれに引っ張られる形で穴の中へと落ちていく。

 ノエル達も同様に穴の奥へとバラバラに落ちていき、他の影達もそれを追う様に穴の中のへと消えていった。

 残ったのは闇で底の見えない大穴と、その近くで対峙するリナとラズゴートのみだった。

「なんだよ、騙し討ちは性に合わないんじゃなかったのか?」

「がっはっはっ! わしは戦う覚悟のない相手をいきなり襲うのが嫌いなだけだ! 戦う意思を持つ相手なら、これと策略になる!」

「勝手な理屈だなおい」

 リナは話しながら自分も穴に飛び込む隙を伺うが、ラズゴートには一部の隙もなかった。

「この下はなかなか広い地下洞窟になっていてな、枝分かれしてちょっとした迷路みたいになっとる」

「それで分散させて各個撃破か。 随分舐めた作戦じゃねぇか」

「なに。 わしらの目的はお前さんらを倒すことじゃないんでな。 バラバラになってもらった方が都合がいい」

「・・・ノエルか」

リナの一言に、ラズゴートは「流石よ」と言いニヤリと笑った。

「ノエル殿下をこちらの手中に納め保護する。 そうなればアーサーも聖帝も口出しすまい」

 そう言うとラズゴートは斧を構え直しリナを見据えた。

「わしはお前さんを下に行かせんよう暴れればいいだけってわけだ。 簡単なじゃろ?」

 口調と裏腹に絶対的な圧力を放つラズゴートに、リナは挑発的な笑みを浮かべる。

「本当このジジイは・・・でもな、お前こそノエルをあまりなめんなよ」

 リナの言葉にラズゴートも同じように笑い返す。

「なるほど、逞しく育たれた様で何よりだ。 ・・・ならこちらは思う存分暴れさせてもらおうか!!」

 ラズゴートの降り下ろした斧とリナの拳が、激しく激突した。


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