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五魔(フィフス・デモンズ)  作者: ユーリ
聖魔最終決戦編
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最終決戦 開幕

 バステドで出撃したノエル達はすぐに5機共別れてバラバラに動いた。

 理由は勿論敵の砦の各個撃破の為。

 それぞれの目標である砦の最短ルートを進み、5機揃って多連式の砲台で一斉奇襲を仕掛ける。

 勿論それで砦を落とせるとは思っていないが、奇襲としては十分効果はある筈。

 この奇襲をきっかけにバステドの砲撃による援護を受けながら一気に砦へと雪崩れ込む。

 そして主力でその砦を守るであろうディアブロ達を撃破。

 結界を消して残存戦力でアーミラを倒す、もしくは封印する。

 その為にもこの奇襲は成功させなければならない。

 その為早々に皆バラけ、連絡もイトスのシルフィーの風による通信のみにした。

 そして今、それぞれのバステドが砦の付近まで接近に成功した。

『なんか随分あっさり来たな』

 バステド内で最期の通信を行う中でイトスはそう口にし、ノエル達と同情していたマークスも同意した。

「確かに。 いくらなんでも簡単過ぎる気もする。 今も距離を保っているとはいえ気づいていない筈はないのに」

『前の戦いで余裕がないってわけじゃないわよね?』

『流石にそれはないと思うよレオナ。 それに向こうには前回参戦しなかった竜もいるし、弱っているにしろ向こうにはタナトスがいる。 量は少なくとも迎撃してくる余裕位はある筈だ』

 クロードの言葉に頷きながらも、ノエル達にそれを確かめる時間はない。

 こうしている間にも奇襲が成立しなくなる可能性は高くなる。

 それにもう一つ、ノエル達には不安要素があった。

 サタンだ。

 出発当日「おじさんちょっと野暮用あるからそれ済ませたら合流するね♪」と言って突然どこかに行ってしまった。

 当然連絡も付かず、完全な行方不明状態だ。

 流石に逃げたとは思わないが敵に捕まったか、最悪倒されたのではないかと憶測が流れる状態だ。

 そうでなくても正直戦力的には痛い。

 そういった不安要素を消す為にも、奇襲は成功させなければならない。

「どの道ここまで来たんだ。 さっさと仕掛けちまうのがいいと思うけどよ」

『ウガウ! おれもいつでもいける!』

 リナとジャバもやる気に満ちており、ノエルは周囲の王達と顔を見合わせた。

「では当初の予定通り各バステドから一斉砲撃開始。 その後突入という事でいいですね?」

「ええ。 もうそれしか選択肢はないものね」

「号令頼むけぇのぉノエル王! 派手にかましちゃれ!」

 他の王達やバステドにいるクロード達も頷いたのでノエルは砦に向かい号令を言い放とうとした。

『よく来たな。 地上の民達よ』

 突然周囲に響いた声に皆警戒を強める。

 すると、各砦から魔王ディアブロの姿が映し出された。

「これは!?」

『なるほどね。 あたしらの動きはお見通しってわけか』

 ラミーアの声に反応せず、ディアブロは淡々と言葉を発する。

『まずは先の大戦の勝利を心から称賛しよう。 いくら余やバハムートが出なかったとはいえあの死の軍団を退けた貴様らの奮闘は評価に値する』

「随分と褒めてくれるんですね。 僕達を生贄程度にしか思っていないのかと思いましたよ」

 ノエルの言葉に、ディアブロの意識がノエルに集中する。

 魔術で姿を投影しているだけなのに、その威圧感は凄まじいものだった。

『貴様がこの軍団を束ねる者か。 なるほど。  余の力を理解して言葉を発するその度量。 先のラバトゥで会った聖獣王を名乗る老将同様見事なものだ。 そして見る限り、ルシフェル達を除いても同じ様な強き者が何人かいる様だな。 実に面白い』

「だったらなんだよ? 今更許してくださいって詫びでも入れるってのか?」

『地上で余の名を受け継いだ女か。 なかなかいい覇気だ。 だが、少々待て。 今余は貴様らの王と言葉を交わしている。 余からの最期の提案をする為にな』

「提案ですか?」

『ああ。 貴様らの降伏についてだ』

「降伏?」

『貴様らは勘違いしている様だが、余は地上の者の力を過小評価していない。 そして貴様らはそんな余の予測通りこちらの予測を越え力を示し続けた。 その事について余は最大限の賛辞を贈ると共に、貴様らに降伏を勧告する。 もしそれを受け入れたならば、貴様らには我ら魔族とほぼ対等な自治を認めよう』

 ディアブロの提案に、各バステドの中にいた者達がざわめきだす。

 ただの降伏勧告ならともかく、その後ほぼ対等な関係を維持する事を提案してくるなど、あまりに予想外だった。

『貴様らとしても、いらぬ犠牲は払いたくないだろう? このまま戦えば確実にそちらに多くの死者が出る。 その際そちらの有能な人材が死ぬのは地上に進出した我ら魔族にとっても痛手となる。 故に余はここに魔王として、貴様らの降伏を受け入れよう。 そしてその暁には先に言ったほぼ対等な関係の自治と、アーミラの魔力の共有を約束しよう。 これは余の偽らざる本心であり、最大の譲歩だ。 これを断れば今ここに進軍した者達だけでなく、地上の民は皆魔族の管理下に置かれる事となる。 さあどうする? プラネの王ノエルよ?』

「お断りします」

 間髪入れずに提案を跳ね除けるノエルに『ほぉ』とディアブロは興味深そうに目を細めた。

「確かに戦わないで済むなら僕達としてもその方が良い。 ですが、貴方の様な一部の人を犠牲にしての繁栄を僕達は許す訳にはいかないんです」

『生きるという事は必ず犠牲となる弱者が存在するという事だ。 それは善悪関係なく自然の摂理。 犠牲無き繁栄等理想論に過ぎない。 貴様も仮にも王を名乗るならその事は痛い程理解している筈だが?』

「貴方がそれを言いますか? 無理な理想を追い求めて魔王になり、地上進出までこぎつけた貴方が?」

 ノエルの指摘に、ディアブロは笑いだす。

 それは嘲り等の感情はなく、純粋に一本取られた事に対する笑いだった。

『なるほど。 確かにそうだ。 確かにそれなら余も理想を実現させる為に動いた夢想家と言えよう。 となれば、貴様が引かぬ理由も理解出来る』

 そこまで言うとディアブロの空気は一変した。

 先程まで感じていた威圧感が一気に増し、まるでリナの重力を受けている様な感覚がノエル達を襲った。

『ならばもはや何も言うまい。 異なる理想がぶつかればそれを排除するしかあるまい。 余も魔王として貴様らを排除し、その理想を叶えるとしよう』

「そうはいきませんよ。 勝つのは僕達です」

『よかろう。 もし貴様らが余の目の前に現れたならば、その時は全力で相手をする事を約束しよう』

 ディアブロの映像が消えると、各砦から軍勢が現れ始めた。

「はっ! 来よったか魔族共が!」

『これじゃ奇襲も何もないね。 さて、どうするノエルの坊や?』

「決まっています。 このまま突入します。 バステドは援護射撃しつつ、主力部隊はなんとしてでも砦に攻め入ってください」

 ノエルの言葉に「おう!」と全員が答え、バステドの出入り口のゲートへと集結する。

 ノエルはジンガに跨ると、そのまま全軍に号令を出す。

「連合軍! 進軍!」

 ゲートが開くと同時に、各バステドの多連式砲台が砲撃を開始し、ノエル達は戦場へと飛び出していった。

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