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五魔(フィフス・デモンズ)  作者: ユーリ
聖魔最終決戦編
312/360

最後の会議

 後に人魔決戦と呼ばれたバクヤ平原での戦いから数日。

 ノエル達連合軍は軍の再編を進めながら次の進軍の為の会議を行っていた。

 参加者はプラネらはノエルにリナ、そしてイトスの3人。

 更にアルビアからはエミリアとギゼル、ラバトゥからはアクナディン、ルシスからはマークス、セレノアからはダグノラ、ヤオヨロズからケンシンとマサユキ、そして蟲人からリリィと右腕を失ったマンティが参加していた。

「揃ったようだね」

 ラミーアがルシフェルを連れて現れると、会議が開始された。

「まずは大戦お疲れ様って所かね。 そして今回大した役に立てなかったのは侘びとくよ」

「いや、ラミーア殿の助言は我々作戦班としては大きな助けになったよ。 貴女が敵の特徴について情報を教えてくれなかったら、もっと危なかっただろうしね」

「ありがとねマークスの坊や。 じゃあ、その期待に今回も応えるかね。 キマリス」

 ラミーアが呼ぶと、サタンによって倒されこちらに付かされたキマリスが入ってきた。

 そして魔族に占拠された首都イグノラの地図を広げる。

 キマリス曰く、現象は次の通り。

 

 現在イグノラの周りには5つの砦が築かれている。

 それはアーミラを封じる為魔甲機兵団のミューが施した結界の形と同じ五芒星の形に建設されている。

 それがディアブロ、バハムート、デスサイズ、太古のジャバウォックであるウォッキー、そしてタナトスの居城にもなっている。

 その砦に捕らえたミューを始めとした当時結界を生み出していた魔甲機兵団第6部隊の隊員を結界の発生装置として活用する。

 そうする事でアーミラを直接攻撃させないようにするだけでなく、アーミラが外に出られない檻を作り出したのだ。

 ミュー達が生きている事自体は喜ばしいが、結界の存在はノエル達にとって厄介だった。

「ザガン達にも確認したが、砦は完全に完成しその役割を果たしているそうだ。 そして、結界を壊す為には砦に捕らわれているそのミューとやらをどうにかせねばならない」

「それでその為にはディアブロ達を全員倒さなきゃならないってわけかい。 全く、ディアブロの奴も厄介な手を使うようになったねぇ。 昔は脳筋も良い所だったのに」

「砦にと言ったけど、向こうのジャバウォックは暴走状態なんでしょ? そんな所に収まっていられるの」

「あいつに関しては居城というより檻って感じだろうねエミリアの嬢ちゃん。 ただ砦だろうが檻だろうが、要は結界を張ってる奴を守らせればいいんだ。 中で奴に暴れさせればいいんだから、何も問題ないよ」

「どの道全員とはやるつもりだったんだ。 今更どうこう言う必要もねぇだろ」

「ガッハッハッ! ええこと言うのぉリナよ! わしも同じじゃけぇ! 連中とはぶつからんといかんけぇ、今更どうこう言うとっても意味はないじゃろう!」

「乱暴な言い方だけど、その通りだよアクナディンの坊や」

 ラミーアは地図の上に乗ると、砦のある場所に前足を置いた。

「あたしらが一番決めなきゃならないのは、どうやってこの砦を攻略しなきゃならないかって事だけど、ギゼルの坊や。 結界は全員助けないと解けないかい?」

「無理だな。 向こうがどうやってミュー達に結界を張らせているのかはわからんが、発動しているなら全員を止めるのは必須。 無論維持する者が減れば結界の効力も弱まるが破壊は難しいだろう」

「となると、一点突破は無理か。 なら、あたし達が取る方法は1つ。 各砦を同時に各個撃破だ。 ただ気になるのはタナトスの砦だね。 奴は死んでるかどうか未確認だ。 生きてたらそれの対処しなきゃならないし、死んでたら死んでたで攻略法が変わる。 もしタナトスが死んでたら代わりにここに入るのは誰だと思うかいキマリスの坊や?」

「十中八九ベアードだろうな。 奴は他の四天王とは別格だった。 ならタナトスの代わりを勤めるなら順当にいけば奴のはず」

「となると、そこはタナトスとベアード、どっちが出てきても対応出来る面子じゃないとキツイって話かね」

「竜共の所には妾達蟲人が行くぞ。 屍とはいえ、妾の近衛をこの様な目に合わせたのじゃ。 蜥蜴共に蟲人の力を見せ付けねば気が済まぬ」

 リリィの横にいるマンティはタナトスが操るボルガルスに右腕を吹き飛ばされていた。

 一応吹き飛んだ右腕は残っているが、切断面の損傷が激しく元に戻すのはほぼ不可能だった。

 また空中戦で戦う事の多かった蟲人は必然的に竜と戦う事が多くなり、竜に傷付けられた者は大勢いた。

「私怨に駆られるのは感心しませんな蟲人の女王よ」

「民の無念を晴らせず何が王じゃ!? こやつの様に半身を失った者も少なくない! 何より、妾が許せぬ! 私怨結構! 民を傷付けられ黙っていられる程妾は寛容ではない!」

 同胞を傷付けられた事で怒りを顕にしマサユキの指摘に反論するリリィに、場の空気がピリつきだす。

 その中マンティはリリィに跪いた。

「何をして・・・」

「陛下、私は覚悟の上での負傷です。 他の者も同様に此度の戦には覚悟を持って挑みました。 お気持ち心より感謝致しますが、どうかそれで波風立てぬよう。 今は我ら一丸となって挑むべき時ですので、どうか感情をお鎮めください」

「なかなかいい部下を持っているじゃないかリリィ陛下」

 マンティの諫言に戸惑うリリィに、マークスも加わった。

「彼の言う通り、今は私怨に駆られる時じゃない。 その話で言えばヤオヨロズも竜に、ラバトゥは魔獣達に、そして私のルシスはデスサイズに借りがある。 セレノアは一矢報いる事が出来たみたいだけどね」

「わしはほぼ何も出来ておりませんがな」

 話を振られ苦笑するダグノラだが、それでも真剣な様子でリリィに向き直る。

「女王陛下のお怒り、このダグノラもよく理解しております。 しかし今はより確実な勝利に向かい話し合うべき時。 最善を尽くし勝利する事こそ、傷付いた同胞達への手向けとなると思いますが、いかがかな?」

 国を滅ぼされたダグノラの言葉は重く、リリィも己の短慮を理解した。

「いや、すまぬ。 妾の過ちじゃ。 この様な場で未熟な醜態を晒し申し訳ない」

「気にせんでええわ! お主の言うとることは何も間違っとらんしのぅ! それで民の事を思うちょる証拠じゃけぇのぉ!」

「まあ、頭に血が登るのはリナさんでウチは慣れてますしね」

「どういう事だこらノエル!?」

 リリィの醜態をなんでもないとアクナディンが笑い飛ばし、ノエルとリナのやり取りで場の空気は元に戻った。

 リリィが頭を下げると、ラミーアは仕切り直しにコホンと小さく咳払いをした。

「まあ、そう言わなくてもどの道あんたの所は竜の居城に行ってもらうつもりだよリリィの譲ちゃん」

「!? 真かそれは!?」

「ウチは空中戦出来るのは少ないからね。 それを考えれば飛べるやつの多い蟲人が竜に当たるのは当然さね。 それと、向こうにはクロードを当てるつもりだからヤオヨロズの連中にもいくらか参戦してもらうつもりだよ」

 竜への雪辱が出来ると聞きマサユキが微かに口角を上げた。

 なんだかんだ言い、マサユキも自分の国をやられた仕返しをしたかったようだ。

「ということは、わかりやすく五魔を中心に部隊を分けるの?」

「まあそのつもりだけど、あんた達聖五騎士団の幹部連中もそれぞれ組んでもらうよエミリアの譲ちゃん。 その方がなんだかんだで戦力分り振りやすいしね」

「となると、俺はエミリアと組むのかよ」

「私じゃ不服?」

「いや、十分だよ」

 ニヤリと好戦的にリナが笑うと、ルシフェルが簡易的なリストを広げた。

 その表には暫定的に主要戦力の誰がどこを担当するか書かれていた。

 振り分け以下の通り。


 ディアブロの砦。

 リナ・エミリア・ノエル・サタン・アクナディン・ケンシン・マークス・ダグノラ・エドガー。


 バハムートの砦。

 クロード・リーティア・カイザル・ジーク・ガルジ・水楼・リリィ・ヘラクレス・マゴイチ・ムネシゲ・ノーラ。


 デスサイズの砦。

 レオナ・アルゼン・ラグザ・ヴィクター・ボクネン


 太古のジャバウォックの砦。

 ジャバ・ラズゴート・ライル・ギエンフォード・アシュラ・メガロ。


 タナトスの砦。

 イトス・ギゼル・アンヌ・ラミーア・ルシフェル・オメガ・ヴォルフ。


 振り分けを見たノエルは首を傾げた。

「少し偏りがないですかこれ?」

「そうでもないよノエルの坊や。 実質一番厄介なディアブロに最大戦力を部つけるのは当然として、バハムートの所は竜の力を持つガルジの坊やや、飛び道具を使える連中を揃えた。 デスサイズはあんまり部下を持つタイプじゃないから白兵戦に強いのを纏めて、万一の為に広範囲戦闘の出来るエルフ騎士(ナイツ)配置。

ウォッキーに関しちゃジャバの坊やに任せるのが一番得策だからね。 その補助しやすい人選にしたよ」

「で、タナトスにはあんたも出るって事か」

「流石にいつまでも後ろにいるわけにはいかないしね。 それにあそこが一番未知数だからね。 あたしが行くのが一番手っ取り早いよ。 ルシフェルもいるし、タナトスかベアードどっちが来ようが対応出来るはずさ。 それに、タナトス相手なら、個人的に聞きたいこともあるしね」

 少し空気が変わったラミーアに違和感を覚えながらも、ノエルは納得し引き下がる。

「ではとりあえず僕達の目標は砦での魔族軍主力撃破及び結界の排除。 そして残存勢力は結集後アーミラを打ち倒す。 それで構いませんね」

 皆が頷くと、そのまま細かい部隊配置についての細かい話し合いへと進んでいった。

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