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五魔(フィフス・デモンズ)  作者: ユーリ
聖魔最終決戦編
284/360

集う仲間達

よろしくお願いしますm(_ _)m


 様々な問題に対処しながら着々と準備を続ける中、プラネに漸く各国が集結を初めていた。

 一番最初に到着したのはマークス率いるルシス兵1万8千人。

 エルフ騎士自国の護りの為に2千人置いてきたが、それでもルシス最高戦力であるエルフ騎士(ナイツ)も全員連れてきた魔術軍団だ。

 続いてラバトゥは本隊である1万2千人の軍隊。

 魔族との戦闘で多くの兵を失ったが、アクナディン自ら交渉し引き入れた周辺諸国であるミム国兵千、レムザ兵5百、シス国軍千4百が加わり、武王率いる軍として復活を遂げた。

 更にリリィ率いる蟲人達の軍勢千8百人、案内役を務めたギェンフォードの軍勢5千5百もアクナディン達と共にプラネ入りを果たした。

 そしてその他の勢力も到着する予定である今日、それぞれの代表が集まる会議が開かける事になった。






 会議室には既にノエル、リナ、エミリア、イトス、ラミーア、そして現在プラネに保護されているセレノアのダグノラとセレノア王メリウス、そして先にプラネに到着していたマークスが座っていた。

 すると突然会議室の扉が勢いよく開けられた。

「ノエル! 元気にしとったか!?」

 蟲人(むしびと)の女王リリィが勢いよく奮気味に入ってきて、ノエルを初めとした人達は多少驚きの表情を浮かべた。

「り、リリィさん!? 随分ご機嫌ですね」

「うむ! 武王殿とそちらの拳王殿に連れられて初めて異国に来たがまさかこの様に全てが違うとは! そち達の話で聞いておったが、実際目にするとやはり違うのだな!」

 以前よりも明らかに素の状態で接してくるリリィを見て、余程違う国に来たのが刺激的だったんだなとノエルは感じた。

「ガハハハ! そがあに喜んでくれるたぁわしも案内した甲斐があったっちゅうわけじゃ!」

「本当はもう少し緊張感を持ってもらいたいですけどね、アクナディン様含めて」

 後から入ってきたアクナディンと現ラバトゥ王ファクラのやり取りを見て、先に到着していたマークスはクスリと笑う。

「王になっても苦労しそうだねファクラ殿」

「ええ、王になって色々失敗したかと痛感してます」

「どういうことじゃそりゃあ!?」

 アクナディンの反応にマークスはクスクス笑った。

「相変わらずだなおっさん」

「おおリナか! おまんらも元気そうじゃのう! 特にノエルはなんか逞しくなっとるな!」

「ええ、色々無茶させられましたから」

 ノエルとリナ、エミリアに視線を向けられサタンは口笛を吹いて誤魔化した。

「ふぅ、なんとか間に合ったのう」

「全く特訓明けに会議とか勘弁してほしいわ」

「ラスゴートさん! レオナさん!」

 久しぶりに姿を現したラズゴートとレオナをノエル達が出迎えると、ラズゴートはいつもの様に豪快に笑った。

「ガッハッハッ! いや申し訳ない! 少々手に入れたじゃじゃ馬の扱い方に苦戦しとってのぉ!」

「お前も今回は随分苦戦してたみたいじゃねぇかレオナ?」

「まあ、どっかの誰かさんみたいにコスプレさせられたりしなかった分楽ではあったけどね」

「てめぇ! こんだけ他の国の連中いる時になにバラしてんだよアホレオナ!?」

「こっちはずっと黙々と鎧相手に特訓してたんだからいいじゃない」

 いつもの様なやり取りを始めるリナとレオナに、ノエルはなんだか懐かしく思えた。

「何にしても、無事特訓は終わったみたいね」

「おおエミリア! ヴォルフ達も上手くやったみたいじゃな!」

「ええ。 既にアメルダ殿の声掛けで3百人程の手練が加わってくれたわ。 後はッ!?」

 瞬間、エミリアは剣を抜き放つ。

 ガキンという音と共に剣に衝撃が走り、同時に笑い声が響く。

「ヒャ〜ッハッハッ! 腕は鈍ってねぇみてぇだな!?」

「あなたは随分腕上げたみたいね、ガルジ」

「相変わらずムカつく野郎だなてめぇは。 わざわざぶち殺す為に来てやったってのによ」

「なんなら今やる? 私も実力試したいと思ってたし」

 余裕の表情を浮かべて受けるエミリアに、竜化した腕で斬りかかったガルジは凶悪な笑みを浮かべ腕を引いた。

「安心したぜ。 親父が死んで腑抜けてると思ったからよ」

「あなたが心配してくれるなんて、随分優しくなったのね」

「てめぇをぶっ殺すのは俺だって話だ。 腑抜けられてちゃ殺し甲斐がねぇからな。 だが今回は、魔族の雑魚共ぶち殺すのが先みてぇだがな」

「ありがとう、ガルジ」

 なんだかんだで気遣いを見せるガルジに、エミリアもアーサーの時見えなかった彼なりの優しさを感じありがたく思った。

 礼を言うエミリアにガルジは否定する様に舌打ちするとリナの方を向く。

「ディアブロ! バハムートやカイザルの野郎はどこだ!? アイツらもぶち殺すのは俺なんだからな!」

「ややこしくなるから当分ディアブロ呼びはやめろっての。 つうかあいつら今どこら辺にいるんだよ?」

「報告だともうすぐ着くそうだよ。 クロードの坊やが案内役してるんだから、問題ないとは思うけどね」

「そういえばジャバやルシフェルはどうしたのよ? まあジャバは会議とか柄じゃないとは思うけど」

「ルシフェルは今用事があるって出てってるよ。 あの野郎人の特訓放り出しやがって」

 レオナの質問に答えるイトスが膨れた様に言うとラミーアが小さく笑った。

「あいつが離れたって事はもう教える必要もないレベルになったって事だろうね。 それでジャバの坊やだけど・・・」

 ラミーアが説明しようとすると、ズシンという大きな地響きが鳴り響く。

「どうやら来たみてぇだな」


 ノエル達が外に出ると、ジャバを戦闘にジンガ達ノクラ森の若き魔獣達、そしてジャバが特訓していたフェンリルの群れが後に続いてやってきた。

「ジャバさん! ジンガ!」

「ノエル!」

 ジャバがノエルの声に反応すると、共に歩いていたジンガがノエルに駆け寄りじゃれついた。

「ジンガ! 逞しくなったね!」

 ジンガは返事をする様に鳴くと、ノエルに顔を擦り付けた。

「どうやらそっちも終わった様だね」

 そう言いラミーアはジャバの肩にかけてある白銀の狼の毛皮を見た。

 それは群れの長である狼王フェンリルのものだった。

「フェンリル、おれに全部教えてくれた。 そして群れを託してくれた。 おれ、あいつも背負って戦う」

「そうかい。 託せて逝ったか。 ならいいさ」

 ジャバはフェンリルが全てを託すに値する様になった。

 だから自分の身も捧げたのだろう。

 フェンリルの最期にラミーアは少し寂しげに目を細めるが、その最期が満足したものだったと察し意識を切り替える。

「さてと、これで魔獣達も仲間になった。 後は・・・」

「俺達とヤオヨロズってとこかね」

 声の先を見ると、鮫の頭を持つ男が静かに歩いてくる。

「あなたは、メガロさん!」

 かつてノエルと協力関係を約束した亜人、海人(シーマン)のメガロ。

 ノエルに名を呼ばれたメガロはニカッと笑った。

「一度しか会ってないってのに、覚えていてくれたとは嬉しいねノエル陛下」

「忘れるわけないですよ。 あなた達の支援にはいつも感謝してます」

「そう言ってもらえると助かるね。 っと、お初の方々には挨拶しとこうか! 俺の名はメガロ! 海人(シーマン)が長モンストロの名代を務める者! 以後お見知りおきを願おうか!」

 珍しい種族である海人(シーマン)の登場に周囲がざわめく中、メガロはノエルに真剣な面持ちで向き合った。

「今回の異変は俺達海人(シーマン)の領域である海にも広がっている。 それを止める為にモンストロは自分を含めた海人(シーマン)の戦士を今回参戦させる事を決めた」

「え!? でも海人(シーマン)の陸で戦闘の出来る人達はもう全員来ているんじゃ?」

「確かに活動時間の長い連中はそこそこ来てるが、陸で戦える連中はまだまだいる。 今ここに来るまでの水路を広げさせているが、直にモンストロを筆頭に3千の戦士が来る。 当然、俺も参戦させてもらおう」

 海人(シーマン)3千の参戦はノエル達にとってもありがたい話だった。

 もし海人(シーマン)達が加わればルシス、ラバトゥ、蟲人(むしびと)、そしてアルビア軍の3万8千、セレノア軍の黒曜隊含めた千2百人、プラネの6千5百人に加え合計8万8千9百人の大軍勢が出来上がる。

 それにヤオヨロズが加われば、恐らくその数は10万前後になる事はほぼ確定する。

 敵の正確な数がわからない状況で10万もの軍が編成できるのは、ノエル達にとって大きな助けとなる。

「ありがとうございます、メガロさん」

「なに、礼は長のモンストロが到着してからで構わない。 それに俺達も他人事ではないからな。 やるなら全力で助太刀させてもらう」

「まあ、数はどれだけいても足りないからありがたい話だね。 となると、これで本当に後はヤオヨロズが到着するのを待つだけだね」

 すると、ノエル達の前に慌てた様子でラグザが駆け込んできた。

「大変だノエル様!」

「どうしたんです? 何かあったんですか?」

「ヤバい事になった! ヤオヨロズの進軍ルートに魔族の軍勢が待ち構えてやがる!」

「なんなら!? それは本当か!?」

「まさか、待ち伏せって訳じゃないよな?」

「いや、報告の規模を聞く限り偶発的なもんらしいが、それでもこのまま何も知らないヤオヨロズ軍が攻撃受けるのはマズイ!」

「すぐに部隊を編成して援軍の準備を! 僕も出ます!」

「ワシも出ちゃるけぇ! 本番前の前哨戦じゃ!」

 ノエルの指示の元皆が動き出す中、ラミーアは静かに東の方を向いた。

「今から間に合うかどうか、クロードの坊や達を信じるしかないか」


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