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五魔(フィフス・デモンズ)  作者: ユーリ
聖魔最終決戦編
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魔竜VS聖竜


 時はライルとメロウが戦い始めた頃に遡る。

 白銀鎧(プラチナアーマー)状態のリーティアに入っているクロードは、リナと別れた後空中で新たに聖竜の名を冠した男、アレックス・カイザルと対峙した。

「やあ、久し振りだね。 まさかこんな形で再会するとは」

「覚えていてくれたか。 無様に敗れた私を」

 古竜種ジークに股がりながら、カイザルは落ち着いていた。

 雪辱の相手であるクロードを前にして、かつてアラビカスで戦った時の様に激昂することなく落ち着いてい。

 その態度だけで、カイザルがあの時とは別人であることがよくわかる。

 するとカイザルは軽く頭を下げた。

「先にかつてのリーティア殿への非礼を詫びよう。 私の浅はかな認識で、貴様とパートナーを侮辱した事、心から謝罪しよう」

 当時カイザルはリーティアをただの人形扱いし、クロードの逆鱗に触れ敗北した。

 そんなカイザルのいきなりの謝罪にクロードは意外そうな顔をし、リーティアに話させる。

「本当に変わられましたね。 あの時と同じ方とは思えません」

「貴女にそう評されるとは嬉しいな、リーティア殿。 なに、私も漸く理解出来ただけだ。 真のパートナーを得てな」

 カイザルが撫でるとジークは喉を鳴らした。

「このジークと二人で、今度こそ貴様達を倒す。 それこそ、かつての無様な私から脱却する真の一歩となるだろう」

 ランスを構えるカイザルに対し、クロードは魔力を集中させる。

「そうか。 でも悪いね。 私達も負けられないんだ。 今度こそ、守りたい場所があるから」

 言葉が終わると同時に、クロードはフレアランスを放った。

 それに対しジークは咆哮と共に雷の息吹(ブレス)を放つ。

 熱線と雷光の激突が魔竜と聖竜の開戦を告げた。

 熱線と雷光が相殺し煙が上がると、直ぐ様幾つもの熱線が煙を突き抜けカイザル達を襲う。

 クロードのフレアダンスを、カイザルはジークを操り旋回させかわしていく。

「随分容赦がないな」

「ガルジ君を倒した君に加減するのは失礼だろ?」

「そういえば彼とも戦ったんだったな。 なら此方も飛ばしていく」

 カイザルはジークの背を蹴りクロードへと跳躍する。

 まさか空中で竜から飛び降りるとは思っていなかったクロードだったが、すぐに対処しカイザルのランスを両腕で受け止めた。

 ガキンと金属音が鳴り、カイザルは舌打ちする。

「やはり自力ではまだその鎧は貫けないか」

「そう簡単には、いかないよ!」

 クロードはカイザルを弾き返すと、飛ばされたカイザルはランスを掲げた。

「ジーク!」

 カイザルの声に反応したジークは口から先程の息吹(ブレス)を放つ。

 息吹(ブレス)はカイザルのランスに当たり、その体に雷を宿らせる。

「なっ!?」

 カイザルの行動に驚くクロード中、ジークの背にカイザルが戻る。

 同時にジークの体もバチバチと音をたて帯電し始める。

「言っただろう? 飛ばしていくとな!」

 するとカイザルは先程よりも遥かに速くクロードに接近する。

 クロードはフレアランスで迎撃しようとするが、カイザルはそれをなんなくかわす。

「無駄だ! 雷の速さを捉えられると思うか!」

 カイザルと交差すると、リーティアを覆う鎧の左腕の装甲が欠けた。

「!? これがガルジ君の鱗を砕いた理由か」

「その通り! ジークの息吹(ブレス)で貫通力を増したこの突きの前では、あらゆる装甲が無意味!」

 旋回し再び接近するカイザルにフレアダンスを放つクロードだが、ジークのスピードに追い付けず全てかわされていく。

「聖峰アレスでの修業の中、私は己の無力さに絶望した! だがそんな私を救ったのがジークだった!」

 再び交差すると、今度は右脇腹の装甲が剥がされる。

「くっ!?」

「まだ幼いジークは古竜種ながらその力の扱い方を知らず孤立していた。 私達は出会った瞬間、足りないピースが埋まった思いがした! 互いに足りない部分を補い合い、私達はとうとう頂上にある竜の神の像まで辿り着いた!」

 三度交差すると、今度は兜の右側が砕かれ、リーティアの右側の顔が露になる。

「伝承の様に神から力を授かる事はなかったが、それでも私はかけがえのないものを得られた。 ジークのお陰で、漸く私は今まで見えなかったものが見えた気がした。 私に力を貸してくれるジークに応える為にも、バハムート! 今度こそ私はお前を越える!」

 カイザルはすぐに反転するとその場で渾身の力でランスを突き出す。

 だが今度は距離が足らず、クロードは後方へと逃げる事が出来た。

「そう簡単に越えさせるほど、魔竜は甘くないよ!」

 だがその瞬間、クロードは己の失策に気づく。

 それを証明するかのようにカイザルはニヤリと笑うと思いきりランスを引いた。

 高速の突きによって生まれる真空空間に高速の引き手を行うことで一気に周囲の空気が引き寄せられる。

 それによりクロードの入るリーティアの体も引寄せられ、カイザルに向かっていく。

「終わりだ! バハムート!」

 カイザルは今度こそ止めとばかりに突きを放った。

 狙いはクロードが入っていると思われるリーティアの腹部。

 雷を宿したランスを、カイザルは渾身の力で振り切った。

 瞬間、何かが両者の間に割って入り、変わりにカイザルのランスを腹部に受けた。

「き、貴様!?」

 リーティアから飛び出したクロードが、その身を呈してリーティアを庇っていた。

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