気紛れサンタクロース
今私は大変なまでに追い詰められていた。
これまで頼りにしてきた私の力は一つも意味を成さず、逆に奴の放つもの全てが私を打ち抜いていく。
なんという絶体絶命。
もはや私の命は風前の灯火。だが、このまま終わってしまうわけでにはいかない。
その程度の覚悟で私は今日ここに臨んでいないのだ。死なばもろともである。どうせやられるなら、最後に特攻かけてやるしかない。
私に残された最後のスキルをもって、この状況を打開してやる――!
奴の顔がこちらを向く。
焦点があう。ロックオン――!
そのまま私は――顔面を奴めに近づけて――その唇を奪い取った――!
口づけは一瞬。後ずさったそいつの顔を見ながら私は勢いに任せて一言。
「激ラブマジっす! 付き合って!!」
……うわぁ。頭悪そうな告白だなぁ……。
と、自分で自分に結構ガチで引いたりしたのだが。
「え、あ。…………はい」
あれ?
なんだか、私大勝利見たいなのですが。
今日という特別な日に。私の考えてきた作戦は思いっきり空回りし続けたけれど。
なんだか最後の最後に、どんでん返しをしてしまったようだ。
まあ、サンタさんの気紛れプレゼントだとでも思っておこう。
思いっきり叫びだしたい衝動を堪えつつ、私は心の中で思った。
メリークリスマス。てへ。