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俺が少女になる時に  作者: 山外大河
二章  ハザードサモン編
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6 サブウエポン

 工場を出て数分後、その時がやってきた。

 俺達の前方に魔法陣が展開される。

 それを見て藤宮は大鎌を出現させ、俺は腰に携えた刀を抜いた。


「……グルルルルル」

 召喚されたのは、全長二メートル程の狼の下級精霊。下級精霊といえど、何時噛み殺されても可笑しくない雰囲気を漂わせている。


「気を抜かないでね……宮代君」


「そっちもな!」


 刹那、狼が俺達の方目掛けて突っ込んで来て、俺達は左右に飛んでそれを交わす。

 実際に魔装具を使いだして分かった事だが、魔装具の武器を使用していると、身体能力が上がるらしい。

 全体的に浮上し、中でも俺の場合は瞬発力が非常に浮上しているようだ。

 その為今の俺は、普段の三倍のスピードで動く事が出来る。


「さて、こっちも反撃しますか!」


 俺が神経を研ぎ澄ますと刀が淡く光りはじめ、俺はその刀を力いっぱい振るう。

 俺の刀は藤宮の大鎌の様に斬撃を放つ事ができる。

 と言っても、初めて二週間の俺が同等な斬撃を放てるかというとそうではないが。

 俺の放った斬撃は、狼のサイドステップによって交わされる。

 ……まあ当たらない事は予想してたよ。


「藤宮!」


 俺が叫ぶと藤宮は、二週間前に熊の暴走精霊と戦った時とは非にならないスピードを駆使して狼に回り込んで大鎌を振り下ろし、狼の体を抉る。

 威力もあの時とは比べ物にならない……これが万全の藤宮の攻撃だ。

 攻撃を受けた狼はよろつきながらも、後ろへ飛ぶ。

 俺は刀を構えながら、狼に回り込んだ。

 ……一気に決める!

 神経を研ぎ澄まし、再び刀に光を灯す。


「うおおおおおおおおらあああああああああああああッ!」


 そして射程範囲に入ってきた狼目掛けて振り下ろした。

 ゼロ距離での斬撃。いや、斬撃を纏った剣撃と言った方が良いかもしれない。


「グギュ……ガ……ッ」


 俺の攻撃を食らってそんなうめき声を上げた狼は、魔法具を落とし、ゆっくりとこの場から消滅していった。


「……ふう」


 魔法具を拾って、そんな声を漏らす。

 まさか二週間で此処まで出来るようになるとはな……自分でも驚く成果だ。


「お疲れ様、宮代君」


 藤宮が大鎌を消して、駆け寄ってくる。


「お前もな……って言っても、これで終わりっていう保証は無いんだけど」


 俺が皮肉交じりにそう言うと、


『……また負の感情がまた霊界に流されている……その地点にもうすぐ特級精霊が出現するぞ』


 と、松本さんの声がインカムから聞えてきた。


「ってことは、この辺りのどこかに、時雨木葉が居るってことね」


「そうなるな」


 ってく……何処から送りこんでるんだ。

 どこかに隠れているのか、黒竜の時以降まともに姿を見せていない。


「っていうか、なんで黒竜の時は出てきて、それ以降は出てこないんだろうか」


「多分あの時は黒煙で視界が悪かったから出てきたんでしょ。視界が良い所だと、多人数でパーティーを組んでいるこちらと普通にはち合わせた時分が悪いから。まあ、今野の推測が正しいとすれば、魔法具はあくまでオマケにすぎなくて、取れれば取るって言う様な物なのかもしれないわ」


 本当の目的は、俺達ギルドを殺す事。

 でももしそうだとしたら、なんであの時変身を解いた俺に何もせずに、魔法具だけを拾って帰ったんだろう。

 今の俺ならともかく、当時の俺だったら抵抗すら出来ないはずだ。


「ま、時雨木葉の件についてはいずれ何とかするわ。今は目の前の敵を何とかしましょ」


 藤宮にそう言われて、俺はポケットから魔装具を取り出す。


『……準備は出来てるか。後二十秒だ』


「分かってるわ。ありがとう、松本君」


 そう返す藤宮。


「じゃあ、暴走精霊が出てくる前に、さっさと変身しちゃいなさい」


「分かった」


 藤宮に言われて、魔装具を起動させる。

 もうこの感覚にも慣れた。慣れてる自分が非常に恐ろしいが。

 服が女物の制服になり、俺自身も女の子に変わる。


「よし、変身完了!」


 そう言った俺の声も、女の子の物となっている。こういった所も自分でやってて違和感が無くなってくる所が、何度も言うが本当に恐ろしい。人間の適応力凄過ぎである。


「にしても本当に胸大きいわね……少し自重しなさいよ」



「しようと思ってできる様なもんじゃねーだろコレ」


 藤宮が俺の胸を凝視してくる。

 やめろ、物凄い恥ずかしいから。


『……二人とも身構えろ……来るぞ!』


 松本さんがそう言うと、前方の地面に魔法陣が展開される。

 現れたのは……巨大な亀。

 背中は勿論甲羅で覆われており、腹部も岩石の様な物で覆われている。

 しかも……二足歩行だ。本当に亀って呼んで良いのか?

 ま、別にいいか……さっさと終わらせよう。

 もうこの二週間で、この体は完全に使いこなせるようになった。

 だから不思議と、余裕に満ち溢れている。

 それほど……この魔法少女の魔装具の力は半端ない。

 俺は日本刀を地面に置き、身構える。

 日本刀の魔装具は男の俺様に作ってある。試しては見たがこの状態では使えない。


「行くぞ! えーっと……亀!」


 地面を蹴って勢いよく飛び上がった。


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