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たいしたことはしていません。みなさんのおかげです。  作者: 那須 儒一


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11/11

11話 最強の師団長

タクトとステラが謁見の間から姿を消すと、

リーンは大きく息を吐き、静かに曲刀サーベルを構えた。


「他の師団長は異界人を追え! この狼は私が仕留める!」


ダインが響き渡る声で命じると、数名の師団長が一斉に駆け去った。


「おっさん、一人で平気かよ?」

リーンは口元だけで笑う。


「ふっ……負けた時の言い訳にされては堪らんからな」


「はっ、ぬかせよ」

その軽口の裏に、リーンは身体が震えるほどの高揚を感じていた。


「リーン、お願いです! 剣を収めて……まだ間に合います!」

涙に濡れた瞳でメディアが叫ぶ。


リーンは、ほんの一瞬だけ彼女を見つめた。

「メディア女王。俺の正義は……ここには無い」


剣を静かに下げ、はっきりと言い切る。

「もう、貴方には付き従えない」

「メーザイン。王女をお連れしろ。ここでは巻き添えになる」


「メーザイン、待って! リーン、お願い、もう戦わないで!」

メディアの叫びを背に、メーザインは無言で彼女を抱え、闇へと退いた。


静寂が落ちる。

「……これでようやく本気を出せる」


リーンが踏み込む。

残像が何十にも分裂し、四方八方からダインに斬撃が襲いかかる。


「無駄だ」

ダインが手をかざした瞬間、黄金の鎧が脈動し、

空気が弾けるような破裂音が響いた。

ーーーバチッ!


残像が一斉に掻き消える。


リーンは一瞬、目を見開く。

(最強の名は伊達じゃねぇ……)


「言い訳は済んだかね?」

余裕の笑みを浮かべたダインの指先に、細い電光が生まれた。


発生したプラズマが一直線に伸び、リーンの胸を貫く。


リーンが膝をつく。

「ふっ。その程度で師団長とは笑わせる。キミを買い被りすぎていたよ」


ダインが勝利を確信した、その瞬間ーー。

リーンの身体が淡く揺れ、霧のように消えた。


「残像だ!」

振り返るより早く、背後から曲刀の唸りが迫る。

斬撃がダインの頬をかすめ、血が一筋落ちた。


「ぐっ……油断したか」


「なんだよ、言い訳か?」


「貴様ァァァ!!」

怒りが爆ぜた。


ダインの黄金の鎧が膨張するように輝き、

無数のプラズマが謁見の間全体へと降り注ぐ。


「くそっ、間に合わねぇ!」

リーンが剣を盾代わりに掲げた瞬間――


眩い光が視界を覆った。

巨大な光壁がリーンの前に出現し、プラズマの嵐をすべて受け止める。


「ふぅ……キミは本当に無茶ばかりする」

光壁の中心に、ジークが颯爽と立っていた。


「かっこつけやがって」


「キミにだけは言われたくないね」


二人が肩を並べた、その前でダインが舌打ちする。

「揃いも揃って……騎士団の恥さらしが」


ダインの右手に雷が収束していく。

「はっ!」


ジークの光壁がさらに輝きを増す。

「ぜあああああ!」


ダインの掌から放たれたプラズマの槍が、雷鳴と共に直進した。


轟音が響く。

光壁が砕け散り、ジークが吹き飛ぶ。


「ジーク!」

その叫びと同時、リーンの姿が掻き消えた。


次の瞬間、ダインの背後に斬撃が伸びる。


だが、ダインの背中からノーモーションでプラズマが発生し、

背後に迫るリーンの胸を再び貫いた。

「二度同じ手は食わぬ」

そう言い放つダインの足元で、影が静かに揺らいだ。

(……気のせいか?)


一瞬だけ、ダインの背筋を悪寒が走る。

その時だった。

幻狼げんろう断影たちかげ

影が牙を剥いた。


ダインの影からリーンが上半身を現し、

曲刀で鎧ごと両足を切り裂く。

「ぐぁっ!」


膝をつくダイン。

「貴様らぁぁぁぁぁ!」


怒号と共に、天へ巨大な雷柱が立ち上がる。

世界の色が白に染まりーー


――その日、王城は跡形もなく消し飛んだ。

後に人々は語る。

「あれは戦闘ではなく、災害だった」と。

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