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王家乗っ取り? 失礼ですね、私は毎日お花畑とスイーツのことしか考えておりません!  作者: すじお
1章

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第五章 王都からの噂と再評価

「リュシエール嬢が……バルトン男爵領で、大繁盛しているそうだ」


王宮の広間に、その噂はあっという間に広まった。

花畑の観光とスイーツの催しが人気を博し、領地は活気づいているという。


「まさか……あの子が?」

「王家を乗っ取ろうとしていたのではなかったの?」

「違ったのね。あの子はただ……」


女官たちはざわめき、かつて冷たい視線を浴びせていた令嬢たちは口々に後悔の言葉を漏らした。

そして、その報告を耳にした王子もまた、思わず天を仰いだ。


「……彼女は、最初から自分の幸福を信じていただけなのだな」


彼は思い返す。

宴の夜、シモーヌが一口ケーキを口にして「みんながこれを食べたら、幸せになれるのに」と微笑んでいた姿を。

あれは策略でも計算でもなく――純粋な願いだった。


「シモーヌ嬢を呼び戻せ。……あの笑顔を、王宮に必要としている」


だが、王都からの書状を受け取ったシモーヌは、花畑のベンチに座って首をかしげた。

隣ではバルトンが帳簿をめくっている。


「……わたしを、王宮に戻したいですって」

「ふむ。君の力を利用したいのだろう」


バルトンは淡々と答える。

シモーヌは少し考えてから、ぱっと笑顔を見せた。


「でも、わたしにはもう……ケーキより甘い人がいますので」

「……は?」


思わず顔を上げるバルトン。

シモーヌは真っ直ぐに彼を見て、胸を張った。


「男爵さまのことです! あなたのおかげで、わたしはお花畑とスイーツで人を幸せにできているんですもの。これ以上に甘いことなんてありません!」


一瞬、風の音だけが二人の間を吹き抜けた。

そして、バルトンの口元に小さな笑みが浮かぶ。


「……君という人は、本当に……」


苦笑交じりの声は、不思議と柔らかかった。

こうしてシモーヌは王都の誘いをきっぱりと断り、バルトン領での暮らしを選んだ。


かつて「金目当て」と嘲られた少女は、今や――お金と花とスイーツで領地を豊かにし、人々を笑顔にする存在へと変わっていた。

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