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王家乗っ取り? 失礼ですね、私は毎日お花畑とスイーツのことしか考えておりません!  作者: すじお
1章

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第四章 花畑とスイーツの郊外ライフ

バルトン男爵の領地は王都から馬車で半日の距離にあった。

広大な平野に小川が流れ、野花が一面に咲き乱れている。


「わあっ……!」


到着した瞬間、シモーヌは感嘆の声をあげて駆け出した。

ドレスの裾を気にすることも忘れ、花畑に身を投げ出す。

「見てください、男爵さま! どこまでもお花畑です! ここにベンチを置いて、ケーキを出したら……絶対みんな笑顔になりますわ!」


バルトンは少し驚いたように目を細め、それから肩を揺らした。


「……なるほど。観光収入につながるな」

「えっ、そういうことじゃなくて……」


シモーヌは唇を尖らせたが、次の瞬間、にっこり笑った。


「でも確かに、収入が増えれば、もっとスイーツが作れますわね!」


彼女の信念は揺るがない。

スイーツとお花畑は人を無条件に幸福にする――その力を、ここで存分に広めたいと心から思った。



数週間後。

シモーヌの提案で領地には「花畑散策とお茶会セット」という催しが始まった。

観光客は色とりどりの花の中を歩き、最後に野外テントでケーキと紅茶を楽しむ。

彼女が焼いた苺のタルトやバルトンの厨房で作られたカスタードプリンは大好評で、客は笑顔で帰っていった。


「ほらね、言ったとおりでしょう? スイーツとお花畑は無条件に人を幸せにするんです!」


誇らしげに胸を張るシモーヌを見て、バルトンは小さく笑った。


「……本当に、そうらしいな」


帳簿を手にした彼の目は、満足げに輝いている。


「利益も上々だ。君のおかげで領地が潤っていく」

「まあ! それじゃあ、わたしの夢とあなたの夢が両方叶ってますのね!」


シモーヌが目を輝かせると、バルトンは少し照れたように視線を逸らした。


「……利益が出たら、君に好きなケーキを買おう」

「えっ!? 本当ですか!?」


シモーヌは飛び跳ねんばかりに喜ぶ。



「では、チョコレートケーキと、レモンタルトと、それから――」

「全部は無理だ」


バルトンが苦笑しながら頭を振ると、シモーヌはぷうっと頬をふくらませた。

だがその表情すら、花畑の中で光り輝いて見えた。

こうして、二人の生活は少しずつ形を成していった。

シモーヌは信念のままに花畑とスイーツで人々を笑顔にし、バルトンは冷静に資金を回して領地を発展させる。


利害の一致から始まった二人の結婚生活は、次第に「ただ効率的」な関係を越えて――甘やかで、あたたかな時間を育み始めていた。

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