第4章C · 試着と噂、そして会客廳
泣いた後は、容赦なく処刑用ドレスの試着タイム。
会長との「降維打撃」差に絶望するハイシン。
そして噂だらけの廊下を抜け、待つのは……。
――公会宿舎 · 午後 試着
会長の命令で、ハイシンはついに真っ白なドレスに袖を通した。
鏡の前に立つと、胸元は大胆に開き、腰はきゅっと絞られ、裾は波のように広がっている。
「ウワワワワ! やっぱりダメぇぇ! これは処刑服だよぉぉ!」
両手で必死に胸を隠して縮こまるハイシン。
背後から会長が冷たく言い放つ。
「隠すと余計に下品に見える。――胸を張りなさい」
「ヒィィィ! これ以上張ったらサービスショットでしょぉぉ!」
会長は無言で近づき、ドレスの肩紐を整え、腰のリボンを結ぶ。
その瞬間、豊かな胸元が視界に迫り――
「……っ」
ハイシンは絶望した。自分の胸を見下ろし、会長の胸を見上げ、頭の中で爆発音。
《ウワアアア! 私は小さくない! ないけどぉぉ! この差は……種族差だよぉぉ!》
鏡に映る二人のシルエット。会長は優雅にして圧倒的。
ハイシンはただの子供にしか見えなかった。
公会廊下 · 噂
その姿で廊下を歩けば、冒険者たちの視線が一斉に突き刺さる。
「おい見ろよ、昨日あの火球ぶっぱなした女だぞ」
「しかも今夜は伯爵様の屋敷に招待だってな」
「ヘヘ……どうせお仕置きされに行くんだろ? お尻ペンペンされるに違いない!」
「ケ、ケンティだな! 絶対そうだ! ワハハハハ!」
「ウワワワワ! やめろぉぉ! 誰もそんな同人誌展開頼んでないからぁぁ!」
真っ赤になって叫ぶハイシン。
会長が一歩、冷たい視線を送っただけで廊下が静まり返った。
「歩きなさい」
「ウワアア……公開処刑が始まったぁぁ……」
――公会会客厅
重厚な扉を開けると、燭火が明るく照らす室内。
テーブルでお茶を飲んでいたエレンが顔を上げた。
「――ブッ!!」
口に含んだ茶を盛大に吹き出す。
真っ白なドレスに身を包み、胸元ざっくりのハイシンが立っているのだから。
「な、なっ……ハイシン……!?」
「ウワワワワ! 見るなぁぁ! 現代でも水着にパーカー重ねてたのにぃぃ! なんで今こんな露出地獄ぉぉ!」
胸を両手で隠しながら必死に縮こまるハイシン。
エレンの耳は一瞬で真っ赤になり、視線が泳ぎ、手元の茶器をガタガタ揺らす。
「お、俺、な、何も見てない! 見てないから!」
「ウワアアア! 完全に見たでしょぉぉ! 社死ぃぃ!」
部屋の空気が完全に凍りつく。
会長は冷ややかな瞳でハイシンを見下ろし、低く言い放った。
「……忘れるな。これで保守的なのだから」
「ウワアアアア!! これで保守的!? じゃあ他は地獄難易度なのぉぉ!?」
燭火が揺れ、会長の長靴の音が石床に響く。
背中は影となり、部屋全体を押し潰すような重圧を残した。
ハイシンは全身を震わせ、心臓がバクバク音を立てる。
――この異世界、やっぱり一秒たりとも安心できない。
——第4章、了。
ドレス姿でエレンの前に現れて、まさかのお茶吹き。
空気は完全に社死モード。
でも会長の冷たい一言で、次章への不穏な予感を残します。




