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第8章 D · 曙光下の決意

初任務のはずが、とんでもない存在が姿を現しました。

どうなるのか――最後までお付き合いください!


——遠くの震撼


営地の反対側。ピトス(ピトス)はシュウリ(シュウリ)と数名の取り巻きを連れ、さらに森の奥へ。


「ふんふん~あのアレン、今ごろはゴブリンに追い回されてるだろ?」ピトス(ピトス)は胸を組み、勝ち誇った笑み。

「惜しかったな。俺と王都へ来てりゃ、こんな田舎で土冒険者なんてせずに済んだのに。」


シュウリ(シュウリ)もくすくす笑い、悪意を隠さない。

「あのちび魔法使いも一緒でしょ? もう泣きながら逃げてる頃じゃない? ああ、晒し者になる瞬間をこの目で見たいわ。」


取り巻きが囃し立て、笑い声が林に響く。


その時、天が爆ぜた。


「ドオオオオ――――ン!!」


黒雲が渦を巻き、眩い青白い雷柱が垂直に落ちる。大地が震え、葉は降り、鳥獣は四散する。


ピトス(ピトス)たちは硬直し、笑いはぷつりと途切れた。


取り巻きの一人が蒼白になり、尻もちをつきかけて叫ぶ。

「な、なんだよあれ!? 魔王の侵攻か!?」


シュウリ(シュウリ)は本能的に胸元を押さえ、蒼ざめた顔で遠雷の光に目を釘付けにする。

「……この力……」震える声が漏れる。

「普通の魔法じゃない。一度であの規模の破壊を……誰……?」


ピトス(ピトス)は拳を握り、こめかみに冷汗。顔は笑みを保とうとするが、胸中は荒れ狂う。

「ば、馬鹿な……この力……少なくとも黒曜級……いや、もしかして……」


脳裏を、伝承の語がよぎる。


――“王命級”。


国の命運すら左右する、史書にしか残らぬ伝説の冒険者。


「まさか……」ピトス(ピトス)の瞳孔が縮み、息が止まる。

「王命級の冒険者……だと!?」


恐怖は毒蛇のように背骨を駆け上がった。嘲笑うことも忘れ、背筋に氷が降る。


雷鳴の余韻が林にこだまし、焦げと硝煙の匂いが空気に混じる。

ピトス(ピトス)は心臓をばくつかせ、こめかみを汗が伝う。歯を食いしばって震えを押し殺すと、マントを乱暴に払って怒鳴った。


「こ、こほん! ふん……ビビるな! 俺たちは強いんだ、違うか!?」


静寂にその声だけが浮き、震えは隠しきれない。


後ろの冒険者たちは魂が抜けたように青ざめ、膝が笑っている。誰も賛同の声を上げない。


その時、子分の一人がおずおずと漏らした。

「も、もしかして……依頼にあった……ゴブリンの大祭司……?」


「パァン――!」


ピトス(ピトス)は逆上し、掌で横っ面を張った。子分はよろめき、倒れかける。

「縁起でもねぇことを言うな! もう一言でもぬかしたら、真っ先に盾にしてやる!」


子分は「ひぃ」と悲鳴を上げ、慌てて頭を下げる。

「す、すみません! わ、悪気は……!」


シュウリ(シュウリ)は黙ったままだが、顔色は硬い。いまの一撃の力が、大祭司の域を明らかに超えていることを肌で悟っている。


ピトス(ピトス)の不安は増すばかり。

「まさか……本物だったら……戦えるわけねぇだろ……」


背骨が氷になったように冷え、恐怖が影のように絡みつく。それでも彼は虚勢で噛み殺し、腕を振り上げて怒鳴った。


「進むぞ! ぼさっとするな、行け!」


子分たちはおびえながらうなずくが、足は鉛のように重い。


ピトス(ピトス)の口元には相変わらず嘲る笑み。だが、その瞳の奥に走った怯えに誰も気づかない。


——ピトスの突撃


森の奥、先ほどより広い空き地が現れる。粗末な木柵が半円を描き、中央にはぼろい獣皮の天幕。焚き火から濃い煙が上がっている。


入口の見張りゴブリン(ゴブリン)は人間を見て叫ぶが、ピトス(ピトス)に一瞥されただけで怯み、踏み込めない。


「ふん、ここだ。」ピトス(ピトス)は舌で唇を湿らせ、貪欲と自信を混ぜた目で笑う。

「あいつを見ろ。赤い紋を身に描き、手に杖……間違いねぇ、大祭司だ!」


天幕から、がっしりした体躯のゴブリン(ゴブリン)が立ち上がる。双眸は陰紅に光り、全身に不吉な紅の文様。長い牙。握る木杖は低く唸る。只者ではない威圧。


その脇に、破れた甲冑をまとうゴブリン騎士ゴブリン・ナイトが四体並び、獰猛な視線を向ける。


シュウリ(シュウリ)は鼻で笑い、髪を払って毒づく。

「所詮ゴブリンの分際で、威圧のつもり? ふふ。私のファイアボールで焦げ肉にしてあげる。」


子分たちもすぐさま相槌。

「そうだそうだ! 俺たちがいれば瞬殺だ!」


シュウリ(シュウリ)が振り向く。

「ピトス、戦術は?」


ピトス(ピトス)は眉を跳ね上げ、嘲るように高笑い。

「はぁ? ゴブリン相手に戦術? 誰をなめてんだよ。」


シュウリ(シュウリ)は顔を引きつらせ、言い返しかけて勢いに呑まれ、言葉を飲み込む。


「野郎ども!」ピトス(ピトス)は剣を突き上げ、喉を張る。

「隊列――突撃ぃ!」


「応っす! 親分!」子分たちは喉を裂いて叫び、続く。


——突撃開始。


後衛のシュウリ(シュウリ)が両手を上げると、炎が一点に収束し、火球となって奔る。数体のゴブリン(ゴブリン)が悲鳴を上げて倒れ、黒煙が立つ。


「雑魚ね。」彼女は冷笑した。


先頭のピトス(ピトス)は剣を振るい、血飛沫を撒く。身を回して一閃、剣風が唸る。

「旋風剣――!」

怒号とともに十余体が斬り伏せられ、四散する残骸。


四体のゴブリン騎士ゴブリン・ナイトがすぐに圧をかけてくる。子分たちは慌てて前に出て必死に受け止める。シュウリ(シュウリ)は再び印を結び、火球を連射。爆ぜる炎に二体の騎士が後退。ピトス(ピトス)は横を抜け、長剣で甲冑を裂き、そのまま叩き伏せた。


「ははは! 物の数じゃねぇ!」ピトス(ピトス)は勝ち誇る。


子分たちも声を枯らし、押し寄せる雑兵ゴブリン(ゴブリン)をどうにか捌く。


その最中、営地の中央で、ゴブリンの大祭司ゴブリン・ハイプリーストがようやく天幕から姿を現した。歩は重く、目は冷たい。身の紅い図は燃え上がるよう。


ピトス(ピトス)は剣先で指し、冷笑する。

「ふん! お前が大祭司か。たかがその程度! 人間の力を教えてやるよ!」


子分の一人が手柄欲しさに叫ぶ。

「へい! 首は俺がもらう!」

そのまま一直線に突っ込んだ。


「愚か者。」


低く威厳のある声。次の瞬間、大地がめくれ上がり、巨大な土槍が地中から突き出す。

「ズブリ」

子分の胸を貫き、血が飛び、悲鳴は一拍で絶える。


「う、うわ――!」残りの子分たちは瞳孔を縮め、死人のように青くなる。


シュウリ(シュウリ)は息を呑み、顔色を失う。

「こ、これは……」


大祭司は冷淡に手を払っただけで、周囲の空気が爆ぜるように震動した。見えない衝撃が一気に押し広がり、無防備だったピトス(ピトス)とシュウリ(シュウリ)はまとめて吹き飛ばされ、地に叩きつけられる。砂塵にまみれて転がった。


ピトス(ピトス)は全身を震わせ、剣を取り落としかける。見上げた先の大祭司を凝視し、荒い息のまま瞳を見開く。


「に、二属性魔法……!?」声は震えた。

「土と……風!? こ、こいつ、二属性の大祭司だと!?」


シュウリ(シュウリ)は蒼白に震える。

いま目の前に立つ敵が、自分たちの手綱から完全に外れていることを、ようやく理解したのだった。


——戦場の錯綜


営地の中央、土槍の血はまだ乾かず、ゴブリンの大祭司が冷ややかに杖を持ち上げた。

「ドン――!」


杖先が地面を叩き、鼓膜を打つ響きが広がる。周囲の空気が一変して荒れ狂い、無数の鋭い風刃となって四方へと唸りを上げる!


「う、うわ――助けてぇ!!」


子分たちは取り乱し、刀剣を振って受けようとするが、脆い刃は瞬時にへし折られ、血が噴き、悲鳴とともに倒れていく。


シュウリ(シュウリ)も無傷では済まなかった。風刃が肩口を裂き、鮮血がローブを染める。

「ぐっ――! こ、こんな威力……!」


ピトス(ピトス)は歯を食いしばり、剣で必死に受けて金属音を散らす。いくつかは弾いたが、烈しい気流に叩きつけられて土に転がり、砂塵にまみれる。

「くそっ……こ、ゴブリン風情が……!」

顔は歪み、恐怖が頂点まで膨れ上がっても、虚勢の叫びはやめない。


——そのころ、離れた場所。


白忻ハイシンとアレン(アレン)は引き返そうとした矢先、風に乗って鋭い悲鳴を聞いた。

「きゃあ――助けて!!」


白忻ハイシンはびくりと肩を震わせ、耳まで強張る。

「……え!? 今の……助けを呼ぶ声?」


アレン(アレン)の顔色が変わり、即座に反応する。

「ピトス(ピトス)たちかもしれない! 声はあっちだ!」


彼はすでに柄を握り直し、足を返して眼差しを鋭くする。

「行くぞ!」


「はぁ!? ちょ、待って!」白忻ハイシンは飛び跳ねるように彼の腕を掴む。

「なんで助けるのよ! さっきまで私たちを“貧乏”って笑ってた連中よ!? ざまぁでしょ!」


アレン(アレン)は首を振り、真っすぐな目で告げる。

「だめだ。たとえ嫌いでも、彼らは人間で、冒険者だ。助けを聞いて見ぬふりはできない。」


白忻ハイシンは言い返そうとして、その正面からの視線に言葉を詰まらせる。

「……」頬が熱くなり、ぷいと横を向いて小さく毒づく。

「ふ、ふん! べ、別に彼らのためじゃないから! あなた一人で突っ込むと面倒になるだけ!」

心の声(白忻):「うわああ! なんでいつもそんなに正論でカッコいいの! 私の口が負けたぁ!」


アレン(アレン)は微笑だけ残し、言葉を足さず、歩を速めて駆けだした。白忻ハイシンも白目をむきつつ追いすがり、鼓動はうるさいほど跳ねる。


——大主祭、顕現


風が吠え、血の匂いが満ちる。戦いはもはや虐殺に近い。


シュウリ(シュウリ)は蒼白で、肩の傷から血が滴る。子分はすでに風刃で細切れにされ、地に散乱。先ほどまでの勢いは消え、残るは彼女とピトス(ピトス)のみ。みじめな有様だ。


ピトス(ピトス)は全身血まみれで吹き飛ばされ、剣を取り落としそうになりながら泥に伏す。ぜいぜいと荒い息で顔を上げ、前方の巨躯をにらむ。


大祭司はゆっくり近づく。紅の紋様は火光に燃え、牙は冷たい光を放つ。杖を掲げ、見下ろす目に情はない。


その時、林に急ぐ足音。


「ピトス(ピトス)!」


アレン(アレン)と白忻ハイシンが駆けつける。アレン(アレン)は即座に前へ出て剣を構え、白忻ハイシンは息を荒げつつも怪物をにらみ返す。


「て、てめぇら……役立たずが?」ピトス(ピトス)の目が歪み、怒りと恐怖が混じる。

「何しに来た! あれは大祭司だぞ! 俺たちでも歯が立たねぇ、死にに来たのか!?」


大祭司は鼻で笑い、冷ややかな声を落とす。それは判決の宣告のよう。

「大祭司、だと?」牙を見せて嘲り、嗤う。

「ふん。わしを過小評価するな。下位のそれごとき、並べるな。」


杖が地を叩き、空気が脈動する。紅の図は妖しく明滅。

「我は――大主祭。お前らの言う“大祭司”など、わしから見れば……塵芥にも劣る。」


「だ、だい……主祭!?」


ピトス(ピトス)は痙攣するように震え、瞳孔が縮む。

「ありえねぇ……こんな怪物が、なんでここに……!」


シュウリ(シュウリ)も顔面蒼白で、唇が震える。

「う、嘘……大主祭なんて伝説だけの存在……本当に……!」


大主祭の視線が彼女をなぞる。価値なき蟻を見る眼。


「醜悪……矮小……人間、脆弱。」


「黙れぇ!!!」シュウリ(シュウリ)は怒りで悲鳴を上げ、両手を掲げて魔力を収束。火球が轟音とともに飛ぶ。


「弱すぎる。」


大主祭は口端だけで笑い、杖を軽く上げると、空気が凝固した。


「ドン――!」

巨大な土塊が瞬時に形成され、唸りを上げてシュウリ(シュウリ)へ。


「ぎゃああ――!」

腹に直撃。血が噴き、彼女は吹き飛ばされて地に叩きつけられ、身を折って吐血。戦闘不能。


アレン(アレン)は目を細め、これまでにない重さで剣を上げる。

「……やはり異常だ。こいつの力は、司祭型の域をはるかに超える。慎重に当たる。」


白忻ハイシンは目を見開き、蒼ざめて心の中で叫ぶ。

心の声(白忻):「うわああ! 小任務のはずでしょ!? これ、精鋭レイドに隠しボス付きじゃん!!」


焦土化した営地に、火光と血の匂い。子分たちは沈黙し、シュウリ(シュウリ)も地に伏して動けない。ピトス(ピトス)は歯を噛み、瞳には恐怖だけ。


大主祭が杖を掲げる。空気は低く唸り、天地が震えるかのよう。


アレン(アレン)は一歩進み、剣を高く掲げ、敵だけを見る。言葉はない。あるのは静かな呼吸と抑え込んだ緊張。


白忻ハイシンは彼の側で両の拳を握る。指の節は白くなり、深呼吸。足元に微かな魔法陣が灯る。心臓は爆ぜそうでも、瞳は退かない。


風は吠え、雲の稲光がちらつく。


大主祭は牙を剥き、冷たい笑みを走らせ、杖をゆっくり持ち上げる。


アレン(アレン)と白忻ハイシンは同時に身を固くした。


戦いは――今、切って落とされる。


——第八章 終

第八章はこれで終わりです。

大主祭との戦いは次章から本格的に始まります。

ブクマや感想が制作の燃料になります。引き続きよろしくお願いします。


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