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鏡面に写るのは…

ひとつ、秘密を教えてあげる。

わたしの部屋の姿見には、ときどき「海」が映る。

それは本物の海じゃなくて、もっと静かで、もっと深くて、息ができないほど綺麗な、そんな海。

ねぇ、あなたは誰かに「見つめられる」って、どういうことだと思う?

ナズナは教室に入ると、いつものように賑やかな声が響く中、彼女も自分のペースで足を運んだ。みんなの目を引くことはないが、その空気にはどこかしら活気が溢れている。今日もまた、クラスメートに無邪気にからかわれることになるだろうと予感しつつ、ナズナは軽くため息をついた。


「おはよー!ナズナ!!あのささっき話してたんだけど今度また放課後にみんなで遊びに行こうよ!」

「いいよ、でも、早めに帰るからね。門限守らないと、後で面倒くさいからね」

「はーい!相変わらずナズナん家厳しいねー」

「まぁね、うちのお父さん心配性だから、あっほら席つかないとチャイムなるよ」

『はーい!!お姉ちゃん!!』

「誰がよ!!笑笑」



放課後、ナズナは家に帰る途中、普段と変わらない景色を歩いていた。家に帰っても、父親は仕事ばかりで、母親はもういない。時折、寂しさが押し寄せるが、それでもナズナはしっかりしていなければならないと思っていた。

「父親が心配性?嘘ばっかり…私に興味すらないくせに」


「ただいま〜」

家に帰ると、まずは飼っている犬に声をかける。

「おーい、太郎帰ってきたよーおやつあげるね」と軽く笑いながら太郎におやつの犬用ビーフジャーキーを渡す、部屋に戻ると何も言わずに私は母の姿見の前に立った。鏡の中の自分を見つめながら、ナズナはその静かな表情に少し物足りなさを感じていた。

「うまく今日も笑えてたかな」

暫く笑顔の練習をしていた時

ある瞬間何かの気配を感じた。姿見に、ふわりと月光のように浮かぶ少女の姿が見えた。その美しさに、ナズナは一瞬、呼吸を止める。無言で此方を見つめるその目はまるで深い深い海の様な目の色で、静かに見守るその姿に、ナズナは思わず息を呑んだ。まるで海の底で心を解かれていくような、少し怖くて心地よい感覚。

「嗚呼、今日か久しぶり海月、久しぶりアクアリウム」


第一章、読んでくださってありがとうございました。

ナズナのやんちゃさと静かな孤独、そして不思議な存在「海月少女」の第一歩を、ほんのり感じてもらえたら嬉しいです。

次回は2人の馴れ初めとアクアリウムについてストーリーに書けたらいいなって思っています。

姿見の奥、アクアリウムの中にはまだまだ秘密がいっぱい。

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